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令和5年度補正予算案 環境省が描く脱炭素社会への道筋

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日本は今、環境政策の新たな岐路に立っています。環境省が提出した令和5年度の補正予算案には、エネルギーコスト上昇に対応し、国内投資を促進するための地域脱炭素化、断熱化、食品ロス削減など、循環経済を加速するための総額3664億円の計画が盛り込まれています。

この大規模な予算は、環境に配慮した持続可能な社会への転換を目指し、国内外からの評価を高めるべく、国立公園の整備や災害廃棄物処理、有害化学物質対策など、広範な分野に渡って配分されます。

一方で、気候変動や生物多様性の喪失といった、解決が急がれる環境問題も存在しています。本記事では、これらの環境課題への対応策と、それが如何にして持続可能な社会の構築、地域経済の活性化に貢献するのかを探っていきます。

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この記事の目次

補正予算の概要について

環境省は令和5年度の補正予算案を通じて、地域脱炭素化を促進し、エネルギーコストの上昇に対応する多角的な取り組みを計画しています。地域脱炭素移行・再エネ推進交付金には135億円、地域再エネ導入の計画づくり支援には19億円、民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業には82億円がそれぞれ配分されています。

これらの予算は、国内投資促進と物価高対策を目的に、再生可能エネルギーの導入加速化、建築物の断熱化、および再エネ主力化を含む脱炭素化の取り組みに重点を置いています。これにより、地方公共団体や民間企業が地域特有の再エネポテンシャルを最大限に活用し、経済活動の脱炭素化を推進することが期待されています。

地域・くらしのGXを通じた物価高対策・国内投資促進

以下は「地域・くらしのGX を通じた物価高対策・国内投資促進」に関連する環境省の補正予算案の内訳表です。

項目 予算額(億円)
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 135
地域再エネ導入のための計画づくり支援 19
初期費用ゼロ型太陽光発電等導入加速化支援 82
断熱窓への改修促進 1350
既存住宅の断熱リフォーム等加速化 14
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業 111
建築物等のZEB・省CO2化促進 62
商用車の電動化促進事業 409
工場・事業場における先導的な脱炭素化取組の推進 40
プラスチック資源・金属資源等の脱炭素型有効活用設備等導入促進 32
自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業 17
食品ロス削減、サステナブル・ファッション等の推進及び「デコ活」を契機としたライフスタイル変革推進事業 6
国立環境研究所防災用蓄電池設備更新整備及び有害排気浄化装置(スクラバー)安全確保更新整備 7
イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業 1

この表は、環境省が推進する地域脱炭素化や再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率の向上、資源循環の促進などに関する各事業への予算割り当てを示しています。これらの予算は、国内の環境技術の進展と普及を促し、経済的な負担軽減と投資の増加に寄与することを目的としています。

135億円を計上した「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」は、地域の脱炭素化を促進するために、意欲的に温室効果ガス削減に取り組む地方公共団体に対して提供される支援金です。この交付金は、「地域脱炭素ロードマップ」や「地球温暖化対策計画」、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略(GX推進戦略)」に基づいて、地域における再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上などの脱炭素製品・技術に関する新たな需要創出や投資拡大を目指すものです。

事業内容としては、以下の二つの主要な分野に焦点が当てられています。

1.脱炭素先行地域づくり事業への支援
カーボンニュートラル実現に向けて進んでいる地域に対し、再生可能エネルギー設備の導入支援、再エネ利用を最大化するための基盤インフラ(蓄電池、自営線など)、省CO2設備の導入、及びこれらに関連するソフト事業を支援します。

2.重点対策加速化事業への支援
再エネ発電設備を一定以上導入する地方公共団体に対して、地域共生再エネ等の導入、住宅の省エネ性能の向上などの重点対策の実施を支援します。

事業スキームとしては、交付対象となるのは地方公共団体で、脱炭素選考地域づくり事業支援の場合、交付金の交付率は原則2/3ですが、財政力指数が全国平均以下の地方公共団体には一部3/4の補助率が適用されます。実施期間は令和5年度中とされています。

中小企業の経営者層にとって、この制度は地域のエネルギー自給自足と環境改善に貢献し、長期的なビジネスチャンスを模索する機会を提供します。また、エネルギーコストの削減や新たな事業領域への進出など、企業の持続可能性と競争力を高めるための施策として活用することができます。

そのほか、経済産業省・国土交通省連携事業の「断熱窓への改修促進」では1350億円を投じて、くらし関連分野のGXを加速させるために、断熱窓への改修による即効性の高いリフォームを推進します。

脱炭素ビルリノベ事業で実現する、業務用建築物の省エネ改修とは?

令和5年度補正予算 CEV補助金「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」は継続

補正予算による省エネリフォーム補助金!家庭のエネルギー効率向上を促進

GXリーグが推進するカーボンニュートラルへの戦略とは

世界のGXに資する我が国の優れた技術への投資促進

「世界のGXに資する我が国の優れた技術への投資促進」に対する予算は以下の通りです。

項目 予算額(億円)
二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業 29
GOSATによる排出量検証に向けた技術高度化事業等 10

この予算は、途上国での脱炭素技術の導入支援と、GOSATシリーズを使用した温室効果ガスの排出量検証技術の向上に充てられる予定です。これらの投資は、地球規模での温室効果ガス削減に貢献し、日本の環境技術の国際的な展開を促進することを目的としています。

国立公園の魅力向上等を通じた地方の成長

「国立公園の魅力向上等を通じた地方の成長」に関する予算項目は以下の表の通りです。

項目 予算額(億円)
自然公園等の施設の整備 48
国立公園の利用推進 13
世界遺産保全管理拠点施設等の整備及び保全管理対策 6
ごみのポイ捨て・発生抑制対策等モデル事業 2

これらの予算配分は、国立公園や世界遺産の施設整備、利用促進、保全管理などに使用され、日本の自然遺産の価値を高め、地方経済の活性化に貢献することを目的としています。特に、ごみのポイ捨て防止や発生抑制対策に関するモデル事業は、公園や自然保護地域の環境維持に重要な役割を果たします。

災害対応等による国民の安全・安心の確保

「災害対応等による国民の安全・安心の確保」に関連する予算項目は以下の表の通りです。

項目 予算額(億円)
防災拠点への再生可能エネルギー設備導入支援 20
一般廃棄物処理施設の整備 1035
災害に強い浄化槽の整備 5
災害等廃棄物処理事業費補助金 49
廃棄物処理施設災害復旧事業費補助 5
PCB廃棄物処理設備の除去・原状回復事業費 40
課題対応型産業廃棄物処理施設運用支援事業 15
産業廃棄物不法投棄等原状回復措置推進費補助金 2
プラスチック等海洋ごみ回収・処理支援 35
鳥獣の捕獲事業支援 23
クマ緊急対策事業 1
昆明・モントリオール生物多様性枠組基金拠出金 7
特定外来生物防除等対策事業 4
PFAS対策推進 2
エコチル調査 6
国立環境研究所運営費交付金 4
環境省ネットワークシステム構築事業 8
環境省ホームページ構築事業 5
大気汚染物質広域監視システム整備事業 3
捕獲情報収集システム構築事業 0.4
国立公園業務管理システム更改調査研究事業 0.2
バーゼル法廃棄物処理法事前相談システム機能改修事業 0.5
産業廃棄物行政情報システム機能改修事業 0.3

この表は、災害時における国民の生命と財産を守るための環境省の予算配分を示しており、防災拠点の強化、廃棄物処理施設の整備、生物多様性の保全など、幅広い分野にわたる予算が含まれています。これらの予算は、国民の安全と安心を確保し、環境に配慮した持続可能な社会の構築に寄与することが期待されます。

まとめ

環境省の令和5年度補正予算案は、地域脱炭素化を推進し、国立公園の整備や災害対策といった環境保全に総額3664億円を投じることで、持続可能な社会づくりを加速しています。

中小企業経営者の皆様には、この予算を活用して自社のエネルギー効率改善や環境対応型のビジネスモデルへの転換を図ることで、経済活動のグリーン化を推進する絶好の機会となるでしょう。地域特有の再エネポテンシャルを活かし、新しい市場の開拓やコスト削減につながる施策に注目し、事業の持続可能性と競争力を高めていただければと思います。

参考:環境省 令和5年度補正予算(案)の概要(令和5年11月)

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