子どもたちの笑顔あふれる未来へ――。令和5年度のこども家庭庁補正予算は1895億円で、主に「こども未来戦略方針」に沿った子育て支援の迅速な実施に1433億円が割り当てられています。これには児童手当のシステム整備 、こども誰でも通園制度の試行やシステム構築、乳幼児健診の推進、貧困や虐待防止の強化、保育士等の処遇改善などが含まれます。
今回は、こども家庭庁の補正予算から、全ての子どもが安心して成長できる環境整備のための取り組みについてご紹介します。
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この記事の目次
「こども未来戦略方針」に基づく子育て支援のスピード感ある実行
1.「こども未来戦略方針」に基づく子育て支援のスピード感ある実行 【1433億円】 | |
(1)児童手当拡充に向けたシステム整備 | 232億円 |
(2)こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施に向けた試行的事業 | 91億円 |
(3)こども誰でも通園制度(仮称)の創設に向けたシステム構築 | 25億円 |
(4)乳幼児健診等の推進 | 25億円 |
(5)こどもの居場所づくり支援 | 13億円 |
(6)多様な支援ニーズへの対応 【こどもの貧困】 地域こどもの生活支援強化事業 こどもの生活・学習支援事業の拡充 【虐待防止】 アウトリーチ支援・宅食事業 こども家庭センター等におけるこどものSOSを受け止められる相談支援体制の整備 【障害児・医療的ケア児支援】 地域障害児支援体制強化事業の拡充 医療的ケア児等総合支援事業の拡充 医療的ケア児保育支援事業の拡充 |
61億円 |
(7)こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革に向けた戦略的広報 | 6億円 |
(8)「新子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿整備等 | 336億円 |
(9)放課後児童クラブの受け皿整備 | 21億円 |
(10)保育士等の処遇改善(特別会計) | 620億円 |
(11)出産・子育て応援交付金調査研究委託費 | 1億円 等 |
「こども未来戦略方針」に基づく子育て支援のスピード感ある実行のため、大きな割り当てを受けているのは児童手当のシステム整備232億円、そして保育士等の処遇改善の620億円です。
新しい通園制度の試行には91億円が割り当てられ、すべての家庭が利用できる柔軟な支援が提供される予定です。また、障害児や医療的ケアが必要な児童への支援強化にも30億円が投じられ、包括的な福祉サービスが強化されます。
そのほか、「新子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿整備に336億円を割り当て、保育所の新設や既存施設の耐震化、そして柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」の基盤整備を行い、待機児童の解消や保育の質の向上を目指します。
こども・子育て支援の推進
2.こども・子育て支援の推進 【346億円】 | |
(1)地域少子化対策重点推進交付金 | 90億円 |
(2)こどもデータ連携に係る実証事業 | 5億円 |
(3)保育の人材確保に向けた「保育士修学資金貸付等事業」 | 41億円 |
(4)ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業 | 25億円 |
(5)ひとり親家庭等に対するワンストップ相談体制強化事業 | 2億円 |
(6)児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業 | 3億円 |
(7)児童養護施設等の職員の処遇改善 | 40億円 |
(8)児童福祉施設や障害児施設等の施設整備 | 62億円 |
(9)児童福祉施設や障害児施設等の災害復旧 | 20億円 |
(10)障害児支援事業所における福祉・介護職員の処遇改善 | 42億円 等 |
「こども・子育て支援の推進」では、子どもや家庭が直面する多様な課題に対応するための346億円が計上されています。最も予算が大きいのは、地域少子化対策に向けた「重点推進交付金」で、これには90億円が充てられています。この交付金は、結婚や子育てを支援し、温かい社会づくりを促進するために使用されます。また、ひとり親家庭への食事支援事業には25億円が計上されており、こども食堂などの支援事業を通じて、困窮する家庭の子どもたちに対する食事の提供を行います。
その他の主要な項目としては、保育士を目指す学生への修学資金貸付に41億円、児童養護施設や障害児施設の施設整備に62億円、さらには職員の処遇改善に40億円が充てられています。これらの予算により、施設職員のモチベーション向上と職場環境の質の向上を図ることを目指します。
こども政策DXの推進
3.こども政策DXの推進 【93億円】 | |
(1)母子保健デジタル化実証事業 | 8億円 |
(2)保育所等におけるICT化推進等事業 | 29億円 |
(3)児童相談所等における業務効率化・ICT化推進事業 | 20億円 |
(4)こども政策DXの実現に向けた実証事業 | 10億円 等 |
令和5年度のこども家庭庁補正予算案における「こども政策DXの推進」部分では、総額93億円が予算配分されており、母子保健や保育サービスのデジタル化に向けた一連の取り組みが予定されています。
具体的な施策には、母子保健情報のデジタル化実証に8億円、公費負担医療資格のオンライン確認実証に1億円が割り当てられます。また、保育所のICT化を推進するために29億円、放課後児童クラブのICT化に8億円、児童相談所の業務効率化に20億円が予定されています。
AIを用いた児童相談所の緊急性判断ツールの開発には6億円が、児童相談所のシステム情報連携基盤構築に4億円が、そしてSNSを活用した相談支援体制のシステムに2億円が充てられています。これに加えて、障害児支援のICT化に5億円、こども政策DX実証事業に10億円が配分され、地域障害児支援体制の充実や行政手続のデジタル化を目的としたモデル事業が進められます。
性被害防止といじめ防止対策の強化
4.性被害防止といじめ防止対策の強化 【24億円】 | |
(1)教育、保育等の場における性被害の防止等の取組の促進 | 1億円 |
(2)保育所等における性被害防止対策に係る設備等支援 | 19億円 |
(3)学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証 | 4億円 等 |
「性被害防止といじめ防止対策の強化」では、24億円が配分され、教育現場と保育所での性被害防止といじめ防止の取り組みが強化されます。
例として、教育や保育業界における性被害を防止するための取り組みを促進し、そのための指針のひな型作成や広報活動に1億円が割り当てられます。保育所における子どもの性被害防止対策として、プライバシーを保護する設備の設置や、保育内容を記録するカメラの利用などに19億円が投じられ、これにより保育環境の安全性向上を目指します。また、学校外からのアプローチによるいじめ解消のための新しい手法の開発と実証には4億円が予定されており、文部科学省と連携して地方公共団体が専門家と協力し、いじめ問題の解決に取り組む計画です。
まとめ
令和5年度のこども家庭庁補正予算では、子どもたち一人ひとりの権利を保護し、豊かな成長を支えるために1895億円が計上されました。この予算は、迅速な子育て支援と社会の包摂性を高める施策に焦点を当てています。特に、児童手当拡充に向けたシステム整備や保育士の待遇改善には大規模な投資がなされており、通園制度の充実に向けた試行的な取り組みも計画されています。
また、性被害やいじめ防止のための新しい戦略にも資金が割り当てられ、教育現場での安全対策や保育所のプライバシー保護設備の設置に取り組みます。これらの施策により、こども家庭庁ではすべての子どもが安心して育つ環境を整えることを目指します。