本記事では、最低賃金枠の要件緩和についてご紹介します。事業再構築補助金の利用を考えている方は参考にしてみてください。
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この記事の目次
事業再構築補助金 最低賃金枠とは
事業再構築補助金は、中小企業等の新たな事業分野への進出・業態転換等を支援する制度です。宿泊業・飲食サービス業、卸売・小売業への交付が全体の3~4割を占めます。
従業員数等により異なりますが、通常枠では「補助上限額 最大8,000万円」「補助率 最大2/3」で支援を受けることができます。このほか、事業者の状況に応じた申請枠が設けられており、例えば以下のような枠があります。
【回復・再生応援枠】
引き続き業況が厳しい事業者等を対象に、補助率を最大3/4に引き上げます。(補助上限額は最大1,500万円)
【グリーン成長枠】
グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象に、補助上限額を最大1.5億円まで引き上げます。グリーン成長枠では、売上高10%減少要件が課されません。(補助率は、1/2または1/3)
最低賃金枠とは
最低賃金枠とは、最低賃金引き上げの影響を強く受ける事業者の再構築を支援するために昨年度より導入された枠です。3か月以上、最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いることを満たす事業者が対象になります。補助内容は以下のとおりです。
【補助金額】
従業員数5人以下:100万~500万円
従業員数6〜20人以下:100万~1,000万円
従業員数21人以上:100万~1,500万円
【補助率】
中小企業:3/4
中堅企業:2/3
事業再構築補助金には、社会の変化や経済環境の悪化に対応した事業再構築を支援する様々な申請類型がありますので、各類型の詳細は、関連記事をご参照ください。
▼こちらもあわせてご覧ください。
事業再構築補助金「最低賃金枠」の要件緩和について
事業再構築補助金は、応募する公募回によって要件が異なることがあり、10月上旬開始予定の第8回公募でも、最低賃金枠の要件見直しが行われることが分かっています。
その背景には、今年の10月からの過去最大の最低賃金引き上げや原油・物価高騰があります。
第8回公募からどう変わる
最低賃金枠の補助金額・補助率について、変更はありません。加点措置が行われ採択率において優遇される点や、最低賃金枠で不採択となった事業者は通常枠で再審査される点もそのままです。
最低賃金枠の要件のうち、変更になるのは次の3つです。
- 最賃売上高等減少要件
- 最低賃金要件
- 事業再構築要件を満たすための「製品等の新規性要件」
それぞれみていきましょう。
最賃売上高等減少要件の撤廃
事業再構築補助金の必須申請要件に加えて最低賃金枠の要件が別途設けられており、そのうちのひとつが最賃売上高等減少要件で「コロナ前に比べて売上高30%以上減少または付加価値額45%以上減少していること」というものです。
この要件が撤廃されます。つまり、第8回公募からは、最低賃金枠も通常枠と同じ「コロナ前に比べて売上高10%以上減少又は付加価値額15%以上減少」の売上高等減少要件が適用となります。
最低賃金要件の期間修正
もう一つは、「3か月以上、最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること」という最低賃金要件の対象期間が修正されました。
現行 | 2020年10月から2021年6月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること |
改正後 | 2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること |
事業再構築要件を満たすための「製品等の新規性要件」
最後に、「事業再構築」の定義に該当する事業であることを示すために満たす必要がある製品等の新規性要件について、3つある要件のうち、ひとつが任意要件になりました。
製品等の新規性要件 | |
現行 | ①過去に製造等した実績がないこと ②製造等に用いる主要な設備を変更すること ③定量的に性能または効能が異なること |
改正後 | ①過去に製造等した実績がないこと ③定量的に性能又は効能が異なること ※②は任意要件に |
まとめ
今回は、令和4年10月からの全国平均31円の最低賃金引き上げに伴い実施される、最低賃金枠の要件見直しについてご紹介しました。
改正後の最低賃金枠の主な補助対象要件は以下のとおりです。
- 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ前に比べて10%以上減少(または付加価値額15%以上減少)していること
- 2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
- 事業再構築指針に沿った事業計画を認定支援機関と策定すること
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
見直しの一番のポイントは、最賃売上高等減少要件がなくなったことでしょう。最低賃金枠は、通常枠等と比べて上限額は低めですが補助率は引き上げられていて、採択率も優遇されています。要件が合う方は、第8回公募で最低賃金枠への申請を検討してみてはいかがでしょうか。