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事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」の申請要件は?審査項目の見直しも

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新型コロナウイルスやウクライナ情勢緊迫化による原油価格高騰等の影響によって、経営状況が厳しくなっている中小企業が増えています。

事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」は、そんな時代に合わせた業態転換を図る企業をサポートする補助金制度です。

今回は、業績回復を図るため、社会の変化に即して思い切った業態転換を検討している企業の皆さまへ、事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」の申請要件や対象経費、申請の流れ、注意点を解説します。

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この記事の目次

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事業再構築補助金とは

事業再構築補助金」とは、コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を支援する制度です。「新分野への展開」「大幅な業態転換」など、思い切った事業再構築に踏み出す企業に対し、一定要件のもと補助金が支給されます。

主要申請要件

事業再構築補助金の主要申請要件は以下3点です。

1.売上が減っている
・2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年あるいは2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して、10%以上減少している。
・売上高の代わりに、付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)を用いることも可能。

2.事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。

3.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
・事業再構築に必要な事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する。補助金額が3,000万円を超える案件は、金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみでも構わない。
・補助事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(グリーン成長枠は5.0%)以上増加、あるいは従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加を見込む事業計画を策定する。

事業再構築補助金の種類

事業再構築補助金は「以下5枠+新設の原油価格・物価高騰等緊急対策枠」に分類されており、各項目で申請要件や補助金額が異なります。

枠の種類 主な要件 補助金額 補助率
通常枠 「主要申請要件」と同じ 従業員数20人以下:100万~2,000万円
従業員数21〜50人:100万~4,000万円
従業員数51〜100人:100万~6,000万円
従業員数101人以上:100万~8,000万円
中小企業:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)
大規模賃金引上枠 主要申請要件+以下両方を満たすこと
・補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から、3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げる
・補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から、3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させる
従業員数101人以上の中小企業・中堅企業:8,000万超~1億円
中小企業:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)
回復・再生応援枠 主要申請要件+以下のいずれかを満たすこと
・2021年10月以降のいずれかの月の売上高が、対2020年あるいは2019年同月比で、30%以上減少している
・中小企業活性化協議会等から支援を受け、再生計画等を策定している
従業員数5人以下:100万~500万円
従業員数6〜20人以下:100万~1,000万円
従業員数21人以上:100万~1,500万円
中小企業:3/4
中堅企業:2/3
最低賃金枠 主要申請要件+以下両方を満たすこと
・2020年10月から2021年6月までの間に3ヶ月以上、最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いる
・2020年4月以降いずれかの月の売上高が、対前年あるいは前々年の同月比で30%以上減少している
従業員数5人以下:100万~500万円
従業員数6〜20人以下:100万~1,000万円
従業員数21人以上:100万~1,500万円
中小企業:3/4
中堅企業:2/3
グリーン成長枠 ・事業再構築指針に沿った事業計画を、認定経営革新等支援機関と策定する(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
・補助事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均5.0%以上増加、あるいは従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加を見込む事業計画を策定する(通常はそれぞれ年率平均3.0%以上増加)
・グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みとして記載があるものに該当し、取り組みに向けた2年以上の研究開発・技術開発、あるいは従業員の一定割合以上に対する人材育成も実施している
中小企業:100万~1億円
中堅企業:100万~1.5億円
中小企業:1/2
中堅企業:1/3

事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」とは

「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」とは、事業再構築補助金の6枠目として新設された制度です。原油価格・物価高騰等緊急対策枠では、新型コロナの影響に加え、ウクライナ情勢の緊迫化等による原油価格・物価高騰の影響によって、経営状況が一層厳しくなった中小企業等に対し補助金が支給されます。

【第6回の加点要素】
この緊急対策枠は、第7回から申請可能です。第6回までは申請審査時の加点要素として、以下に該当する事業者が優先的に採択されます。
「足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響により、2022年1月以降のいずれかの月の売上高(あるいは付加価値額)が、2019年~2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少している」

原油価格・物価高騰等緊急対策枠の申請要件

緊急対策枠の申請要件は、以下4つで構成されています。

要件名 内容
事業再構築要件 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である。
緊急対策要件 ・足許で原油価格・物価高騰等の経済環境変化の影響を受けたことで、2022年1月以降の売上高(あるいは付加価値額)が、2019~2021年同月と比較して、10%(付加価値額の場合15%)以上減少している。

・コロナの影響を受けている。電子申請時に、コロナによって受けている影響の申告が必要。
認定支援機関要件 事業計画を認定経営革新等支援機関と策定している。補助金額が3,000万円を超える案件は、認定経営革新等支援機関および金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定している。
付加価値額要件 補助事業終了後3~5年で「付加価値額の年率平均3.0%以上増加」、あるいは従業員一人当たり「付加価値額の年率平均3.0%以上増加」を見込める事業計画を策定している。

原油価格・物価高騰等緊急対策枠の対象経費

補助対象経費となるのは、「事業再構築補助金の対象として明確に区分される品目」に限定されます。

ただし、「一過性と思われる支出」が補助対象経費の大半を占める場合は、原則として支援対象になりません。

補助対象経費の例は以下の通りです。

補助対象項目例 具体例
建物費(*1) ・建物の建築・改修
・建物の撤去
・賃貸物件等の原状回復
・貸し工場・貸店舗等の一時移転
機械装置・システム構築費(*2)
クラウドサービス利用費、運搬費
設備、専用ソフトの購入やリース
技術導入費、知的財産権等関連経費 知的財産権導入に必要な経費
外注費、専門家経費
*応募申請時の事業計画作成に必要な経費は対象外
製品開発に必要な加工、設計
広告宣伝費・販売促進費 ・広告作成
・媒体掲載
・展示会出展
研修費 ・教育訓練費
・講座受講

*1:建物費は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15条)」における「建物」「建物附属設備」に関連する経費が対象です。「構築物」に関連する経費は対象外となります。

*2:機械装置・システム構築費は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15条)」における「機械及び装置」「器具及び備品」「工具」に関連する経費が対象です。「構築物」「船舶」「航空機」「車両及び運搬具」に関連する経費は対象外となります。

その他、「補助対象外経費」の例として以下が挙げられます。

  • 補助対象企業の従業員の人件費や従業員の旅費
  • 不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
  • フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

原油価格・物価高騰等緊急対策枠の補助率、上限額

従業員数によって補助金額は変動します。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万〜1,000万円 中小企業:3/4(*1)
中堅企業:2/3(*2)
6〜20人 100万~2,000万円
21〜50人 100万~3,000万円
51人以上 100万~4,000万円

*1:「従業員数5人以下の場合は500万円を超える部分」「従業員数6~20人の場合は1,000万円を超える部分」「従業員数21人以上の場合は1,500万円を超える部分」は2/3となります。

*2:「従業員数5人以下の場合は500万円を超える部分」「従業員数6~20人の場合は1,000万円を超える部分」「従業員数21人以上の場合は1,500万円を超える部分」は1/2となります。

原油価格・物価高騰等緊急対策枠の申請時の注意点

緊急対策枠を申請する際は以下の点に注意しましょう。

  • 過去の公募回で採択あるいは交付決定を受けている場合、再度の申請はできない。ただし、採択された事業を辞退した場合を除く。
  • 別途公表の様式(足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けていることの宣誓書)において、具体的な影響の内容について説明する必要がある。
  • 通常枠等の場合、コロナ前の売上高を要件確認に用いるため、2021年以降に創業した事業者は補助対象外となるが、緊急対策枠においては、2022年と2021年の売上高を比較して緊急対策要件を満たす場合は補助対象になる可能性がある。
  • 内容が異なる別の事業であれば、同じ事業者が異なる補助金を受けることは可能。ただし、同一事業で複数の国の補助金を受けることはできない。複数回にわたって、事業再構築補助金を受けることはできない(グリーン成長枠を除く)
  • 不正、不当な行為があった場合は、補助金返還事由となる。
  • 事業者自身による申請が必要。
  • 他の法人・事業者と同一、あるいは酷似した内容の事業を故意に、または重過失により申請した場合、不採択あるいは交付取り消しとなり、次回以降の公募申請ができない。

補助金の申請方法

事業再構築補助金は以下の要項に従い申請します。

【申請〜フォローアップの流れ】
1.事業者が交付申請を実施する
2.事業計画をもとに交付が決定される
3.交付が決定した事業者は、12ヶ月あるいは14ヶ月の「補助事業期間」に設備購入等を実施する
4.事業者は実績報告を実施する
5.確定検査によって補助額を決定する
6.補助金が支払われる
7.事業計画のフォローアップを開始する(期間は5年間で、年次報告が必要)

補助事業の着手(購入契約の締結等)は、原則として交付決定後に行います。

ただし「事前着手承認制度」を活用して事前着手申請を提出し承認された場合は、2021年12月20日以降の設備購入契約等が補助対象となります。設備購入等では、入札・相見積が必要です。交付決定前に事前着手が承認されても、必ず補助金申請が採択されるわけではありません。不採択のリスクもあるためご注意ください。

採択された場合も、補助対象経費は交付申請時に認められた項目に限ります。

【申請期間】
第7回公募期間:2022年7月1日~9月30日*申請の受付は、8月下旬に開始予定です。
申請は電子申請のみの受付となります。「jGrants」という電子申請システムを活用するため、GビズIDプライムアカウントの取得が必須です。

【事前準備】

  • GビズIDプライムアカウントの取得
  • 事業計画の策定(企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定および解決方法、実施体制、資金計画など)
  • 認定経営革新等支援機関への相談

第7回公募からの審査項目(再構築点)の見直しについて

原油価格・物価高騰等緊急対策枠に限らず、第7回公募より審査項目(再構築点)が見直されます。

見直される審査項目は以下の点です。

第6回公募まで 第7回公募以降
既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか 既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスや足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか
ーーー 本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか
*新規設定

まとめ

原油価格・物価高騰等緊急対策枠を活用することで、自社の負担を減らして大胆な施策を実行できます。

時代に即した大規模な業態転換や変更の実施には費用がかかります。転換できれば業績回復につながる見込みがありますが、そもそも必要な資金を準備できなければ手を打てません。事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」は、社会の変化に対応するための業態転換を図る中小企業を、強力にバックアップする補助金制度です。

「業績アップに向けて大規模な施策を実行したいが必要な資金がない」という中小企業は積極的に活用しましょう。

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