3月30日、第10回事業再構築補助金の公募が始まりました。本事業は長期化する新型コロナウイルス感染症の影響を乗り切り、新しい時代への対応を目指して新市場進出や国内回帰等を行う中小企業等の支援するものです。
第10回公募からは、物価高等に苦しむ事業者への支援として、支援枠の新設が行われました。その中で「サプライチェーン強靱化枠」は、国内サプライチェーンの活性化に取り組む事業者を補助するものです。
今回はサプライチェーン強靱化枠の概要や申請の手続きについて、まとめました。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
▶︎変更点のポイントを解説
▶︎【成長枠】について
▶︎【グリーン成長枠】について
▶︎【産業構造転換枠】について
▶︎【サプライチェーン強靱化枠】について
▶︎【物価高騰対策・回復再生応援枠】について
▶︎【最低賃金枠】について
この記事の目次
事業再構築補助金 サプライチェーン強靱化枠の補助金額・補助率
サプライチェーン強靱化枠の補助金額と補助率は、以下のとおりです。
■補助金額
1,000万円~5億円
■補助率
・中小企業者等
1/2
・中堅企業等
1/3
事業再構築補助金 サプライチェーン強靱化枠の対象経費
補助の対象となる経費は、「建物費」と「機械装置・システム構築費」の2つです。ただし、生産のための機械装置の導入を必須とします。
建物費 | ①工場・建物の建設や改修に要する経費 |
機械装置・システム構築費 | ①機械装置、工具・器具の購入、製作に要する経費 ②ソフトウェア・情報システム等の導入に要する経費 ③上記と一体で行う、改良・修繕、据付けまたは運搬に要する経費 |
なお中小企業等とリース会社が共同申請をする場合には、機械装置またはシステムの購入費用に関し、リース会社を対象に補助金の交付をすることが可能です。
事業再構築補助金 サプライチェーン強靱化枠の申請要件について
次は、サプライチェーン強靱化枠の申請要件について見ていきましょう。補助の対象となる事業者や事業は、以下のとおりです。
補助対象者
本事業は日本国内に本社を有する中小企業者・中堅企業等のうち、製造業が対象です。ただし、補助金等指定停止措置等が講じられている事業者は補助対象となりません。
また中小企業等とリース会社が共同申請する場合は、このリース会社は中小企業者等に限りません。共同申請には、リース料から補助金相当分が減額されることなどの条件があります。
補助対象となる事業
補助対象事業の要件は、以下の①~⑨です。
①事業再構築指針に示す「事業再構築(国内回帰)」の定義に該当する事業である |
②事業計画について、必要な確認を受けている |
③事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5%以上増加、または従業員一人あたりの付加価値額を年率平均5%以上増加する見込みの事業計画を策定する |
④取引先から、国内での生産(増産)要請がある |
⑤取り組む事業は、製造業のうち、過去または今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属している |
⑥下記の要件を満たしている ・DX推進指標を活用して自己診断を実施し、結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出している ・IPA が実施する「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っている |
⑦設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い |
⑧事業終了後3~5年で、給与支給総額を年率平均2%以上増加させる |
⑨「パートナーシップ構築宣言」を公表している |
なお、第1回から第9回公募で採択を受けている場合は、以下の要件も満たす必要があります (支援を受けることができる回数は、2回が上限です)。
⑩既存の補助事業とは異なる事業内容である |
⑪既存の事業再構築を行いながら、新たに取り組む事業を行う能力を有している |
補助金額は、第 10 回公募締切時点における1回目の採択分の採択額、交付決定額または確定額のいずれか最も低い金額と、第10回公募のサプライチェーン強靱化枠の補助上限額との差額分を上限とします。
また複数の事業者が連携して事業に取り組む場合は、最大20者まで連携して申請することが可能です。
実施期間
補助対象となる事業の実施期間は、交付決定日から28か月以内です。ただし、採択発表日から30か月後の日までとなります。
ただし自己の責任によらない理由で実施期間内に事業を完了することができないときは、事故等報告を提出してください。補助事業実施期間の延長が認められる場合があります。
また早期の事業再構築を図るために必要となる経費については、補助金の交付決定前 (令和4年12月2日以降に限る) であっても経費の対象となることがあります。その場合、事務局から事前着手の承認を受ける必要があります。jGrantsより、申請を行ってください。
なお交付決定前に事業着手が承認されても、採択を約束するものではありません。
事業再構築補助金 申請手続きとスケジュール
事業再構築補助金の申請は、電子申請システムのみの受付です。また、申請には事前に「GビズIDプライムアカウント」を取得してください。
GビズIDプライムアカウントの発行には1週間程度の時間がかかりますので、早めの準備が重要です。
そのほか、手続きの流れやスケジュールを見ていきましょう。
手続きの流れ
手続きの流れは、以下のとおりです。
①公募
②申請
③採択通知
④交付申請
⑤補助事業実施期間
⑥確定検査
⑦補助金の請求
⑧補助金の支払
⑨事業化状況報告・知的財産権等報告
全体の事業スキームは、以下の図も参考にしてください。
出典:事業再構築補助金 【サプライチェーン強靱化枠】 公募要領 (第10回)
事業計画作成における注意事項
事業計画作成においては、以下の点に注意してください。
■電子申請システム操作マニュアルを熟読し、入力漏れやファイル名の誤りがないよう確認すること |
■申請する事業再構築(国内回帰)について、以下の点を具体的に提示しながら、事業再構築指針との関連性を説明すること ①補助事業の具体的取組内容 ・事業の現状、強みや弱み、機会や脅威、事業再構築の必要性、既存事業との違い等 ・補助事業で実施する国内回帰またはこれらの取組について ・建物の建設等の予定などのスケジュール ・個々の事業者が連携して遂行する事業の場合等は、事業者ごとの取組内容や役割等 ②将来の展望 ③本事業で取得する主な資産 ④収益計画 |
サプライチェーン強靱化枠の提出書類
申請に必要な提出書類は、以下のとおりです。
①事業計画書 ・事業計画書 |
②認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書 |
③決算書等 【法人の場合】決算書等 【決算書の提出ができない法人】事業計画書及び収支予算書等 |
④経済産業省ミラサポ plus「電子申請サポート」により作成した事業財務情報 |
⑤収益事業を行っていることを説明する書類 【法人の場合】 ・直近の確定申告書別表一の控え ・法人事業概況説明書の控え 【個人事業主の場合】 ・直近の確定申告書第一表の控え ・所得税青色申告決算書の控え |
⑥リース料軽減計算書(リース会社と共同申請する場合) |
⑦適切にリース取引を行うことについての宣誓書(リース会社と共同申請する場合) |
⑧事業再構築要件(国内回帰)の該当性を説明する書類 |
⑨取引先からの生産(増産)要請を証明する書類 |
⑩市場拡大要件を満たすことを説明する書類 |
⑪給与総額増加要件を満たすことを説明する書類 |
⑫事業場内最低賃金を示す書類 |
⑬別事業要件および能力評価要件の説明書(過去の公募回で採択されている事業者の場合) |
⑭連携の必要性を示す書類(複数の事業者が連携して事業に取り組む場合・代表申請者が提出) |
⑮連携体の構成員それぞれが事業再構築要件(国内回帰)を満たすことを説明する書類 (複数の事業者が連携して事業に取り組む場合・連携体の構成員が提出) |
⑯レジリエンス加点の申請書類 |
公募スケジュール
公募スケジュールは、以下のとおりです。
■公募開始
令和5年3月30日(木)
■申請受付
調整中
■応募締切
令和5年6月30日(金)18:00
まとめ
ポスト・コロナ、ウィズコロナへの移行が進みつつあるとはいえ、中小企業を取り巻く状況は依然として厳しいままです。世界的な情勢不安や物価高も、まだ終息の兆しが見えません。
こうした中で、海外で製造する部品等の国内回帰を進めることは、地域産業の活性化にもつながります。
設備導入や工場等の建築費用の負担をできるだけ抑え、その予算を企業成長へ回すことができれば、それだけ業績の回復も早まるはずです。
事業再構築補助金 「サプライチェーン強靱化枠」を活用し、地域とともに成長する企業を目指しましょう。