3月30日、事業再構築補助金第10回公募が始まりました。事業再構築補助金はウィズコロナ・ポストコロナの時代において、中小企業等の新たな挑戦を支援する補助金です。
グリーン成長枠は、研究開発・技術開発または人材育成を行いながら課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援します。今回は、グリーン成長枠の「エントリー」と「スタンダード」についてまとめました。
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▶︎【最低賃金枠】について
この記事の目次
事業再構築補助金 グリーン枠の補助額・補助率
グリーン成長枠のエントリーとスタンダードの補助金額と補助率は、それぞれ以下のとおりです。
補助金額
【エントリー】
■中小企業者等
・従業員数20人以下:100万円~4,000万円
・従業員数21~50人:100万円~6,000万円
・従業員数51人以上:100万円~8,000万円
■中堅企業等
100万円~1億円
【スタンダード】
■中小企業者等
100万円~1億円
■中堅企業等
100万円~1億5千万円
補助率
■中小企業者等
1/2
※大規模な賃上げを行う場合は2/3
■中堅企業等
1/3
※大規模な賃上げを行う場合は1/2
事業再構築補助金 グリーン枠の申請要件
支援の対象となる事業者や事業の要件は、「エントリー」と「スタンダード」で一部異なります。申請の際には、該当する項目をよく確認しましょう。
それぞれの申請要件をまとめました。
補助対象者
補助の対象となるのは、日本国内に本社を有する中小企業者等・中堅企業等です。ただし、経済産業省等から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者は、補助対象となりません。
補助対象事業
グリーン成長枠に申請するためには、「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を作成することが必要です。
主な申請要件は以下のとおりです。
①「事業再構築」の定義に該当する事業である
②補助金額が3,000万円を超える案件は、認定経営革新等支援機関および金融機関の確認をうけている
③付加価値額の年率平均または従業員1人あたり付加価値額の年率平均が、4% (スタンダードは「5%」) 以上増加する見込みの事業計画を策定する
④グリーン成長戦略の課題の解決に資する取組である(詳細は下図)
⑤該当の取組に関連する1年 (スタンダードは「2年」) 以上の研究開発・技術開発等をあわせて行う
⑥事業終了後、3~5 年で給与支給総額を年率で平均2%以上増加させる
【④グリーン成長戦略の課題の解決に関して『成長が期待される14分野』はこちら】
出典:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
なおグリーン成長枠は、卒業促進枠※1、大規模賃金引上促進枠※2のいずれかと同時に申請することも可能です。(※1、2は後述)
ただし、すでに過去の公募で採択または交付決定を受けている場合は、以下の要件も満たす必要があります。
①過去の採択された枠は、グリーン成長枠でないこと
②すでに2回以上採択されていないこと
③すでに事業再構築補助金で取り組んでいる事業とは異なる内容であること
④既存の事業に加え、新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること
また、補助率引上げを受ける場合の追加要件は以下の2つです。
①補助事業期間内に、給与支給総額を年平均6%以上増加させること
②補助事業期間内に、最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
事業再構築補助金 グリーン枠の対象経費
補助の対象となる経費は、以下の①~⑩です。
①建物費
■事務所・生産施設・加工施設等の建物の建設・改修・撤去に必要な経費
■賃貸物件等の原状回復のための経費
■貸工場等の一時的な移転のための経費
②機械装置・システム構築費
■機械装置、工具・器具の購入・製作・借用に必要な経費
■専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築・借用に必要な経費
■上記とあわせて行う改良・修繕等のための経費
③技術導入費
④専門家経費
⑤運搬費
⑥クラウドサービス利用費
➆外注費
⑧知的財産権等関連経費
■特許権等の知的財産権等の取得や翻訳等に必要な費用
⑨広告宣伝・販売促進費
■パンフレット・動画の作成、マーケティングツール活用等に必要な経費
⑩研修費
■教育訓練や講座受講等に必要な経費
実施期間
事業の実施期間は、原則として交付決定日から14か月以内です。ただし、採択発表日から数えて16か月後の日までとなります。
事業再構築補助金 卒業促進枠とは
グリーン成長枠に申請する事業者は、成長・賃上げのインセンティブの上乗せ枠として「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」が付与されます。ただし、両上乗せ枠の併用はできません。
まずは、卒業枠の概要や補助金額を見ていきましょう。
■概要
補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援
■補助対象事業の要件
補助事業の終了後、3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること
■補助金額
グリーン成長枠に準ずる
■補助率
・中小企業者等:1/2
・中堅企業等:1/3
■実施期間
原則として、交付決定日から事業計画期間終了まで
■補助対象経費
グリーン成長枠の補助対象経費に準じる。
ただし、卒業促進枠の補助対象経費はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。
事業再構築補助金 大規模賃金引上促進枠とは
次に、大規模賃金引上促進枠について見ていきましょう。概要や補助金額は、以下の通りです。
■概要
補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援
■補助対象事業の要件
①補助事業の終了後3~5 年の間に、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
②補助事業の終了後3~5 年の間に、従業員数を年率平均1.5%以上増員させること。
■補助金額
100万円~3,000万円
■補助率
・中小企業者等:1/2
・中堅企業等:1/3
■実施期間
原則として、交付決定日から事業計画期間終了まで
■補助対象経費
グリーン成長枠の補助対象経費に準じる。
ただし、卒業促進枠の補助対象経費はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。
事業再構築補助金 グリーン枠の申請手続き
申請は、電子申請システムで行います。申請に先立ち、事前にGビズIDプライムアカウントを取得してください。
次は申請手続きの流れや、事業計画作成の留意点を確認しましょう。
手続きの流れ
公募から補助金の支払いまでの流れは、以下の通りです。
①公募
②申請
③採択通知
④交付申請
⑤補助事業実施期間
⑥確定検査
⑦補助金の請求
⑧補助金の支払
⑨事業化状況報告・知的財産権等報告
全体の事業スキームは、以下の図も参考にしてください。
出典:事業再構築補助金 公募要領(第10回)
事業計画作成における注意事項
申請には、事業計画の提出が必須です。事業計画を作成する際には、以下の点をそれぞれ具体的に記載してください。
①補助事業の具体的取組内容
■現在の事業の状況、強み・弱みや事業再構築の必要性、既存事業との違い、事業・業種転換、国内回帰の取組等
■投資する建物の建設・改修等の予定などのスケジュール
■枠と事業再構築の種類に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画
■他者・既存事業と差別化の方法や仕組み、実施体制等
■既存事業の縮小や廃止等により従業員の解雇を伴う場合には、従業員への配慮
■事業者が連携して遂行する事業である場合等は、事業者ごとの取組内容や補助事業における役割等
②事業化に向けて想定している市場や期待される効果
■具体的なユーザー・マーケットおよび市場規模等
■事業成果の優位性や課題、その解決方法
■事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・価格等
③本事業で取得する主な資産
■本事業により取得する主な資産の分類、取得予定価格等
④収益計画
■本事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等
■収益計画における「付加価値額」や「給与支給総額」の算出根拠
提出書類
申請に必要な主な書類は、以下の①~⑧です。
①事業計画書
②認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
③決算書
・直近2年間の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書等
④ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
「中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポplus」の「電子申請サポート」で事業財務情報を作成の上、PDFで出力してください。
⑤従業員数を示す書類
・労働基準法に基づく労働者名簿の写し
⑥収益事業を行っていることを説明する書類
■法人の場合
・直近の確定申告書別表一および法人事業概況説明書の控え
■個人事業主の場合
・直近の確定申告書第一表および所得税青色申告決算書の控え
➆給与総額増加要件を満たすことを説明する書類
・賃金引上げ計画の誓約書
⑧研究開発・技術開発計画または人材育成計画書
・別事業要件及び能力評価要件の説明書
なお、リース会社と共同申請する場合等は追加の提出書類があります。
公募スケジュール
事業再構築補助金第10回の公募スケジュールは、以下のとおりです。
■公募開始
令和5年3月30日(木)
■応募締切
令和5年6月30日(金)18:00
■採択発表
令和5年8月下旬~9月上旬頃(予定)
まとめ
事業再構築補助金では、令和4年度の補正予算にて、グリーン枠の条件を緩和した「エントリー」が増設されました。また賃上げ等へのインセンティブを設置することで、賃上げ支援も強化されています。
こうした動きには、厳しい社会情勢や長引く物価高が影響しています。コロナ禍における経営悪化からの回復が遅れている今中小企業にとって、新たな挑戦は予算的な負担が大きいものです。
事業再構築補助金では前向きな経営転換や新たな販路の開拓による企業の活性化を通じ、社会全体の経済回復が目指されています。社会的な変化に対応し、これから大きく成長していこうとする企業には、ぜひ活用してほしい制度です。