令和5年6月5日より、インバウンドによる誘客・観光消費の拡大を促進するための「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の2次公募が開始されました。
この記事では、本事業で設けられた3つの類型のひとつである「インバウンド販売モデル構築型」について解説します。過去の観光庁事業で対象の採択を受けた事業者は、本格的なインバウンド再開に向けぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
「インバウンド販売モデル構築型」の概要
「インバウンド販売モデル構築型」とは、過去に観光庁事業で採択された旅行商品に関して、本事業を通してインバウンド向けのコンテンツ改善とともに、販路基盤整備等を実施する事業です。
補助率・上限額
【補助率】
400万円までは定額(10/10)、400万円を超える部分は1/2
【補助上限額】
1,250万円
※参考
事業費が600万円の場合、補助額は「400万円+100万円(200万円×1/2)」で500万円です。
補助対象事業者の要件
下記に掲げる要件全てを満たす者が対象です。
・地域の関係者と連携する。 |
・地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会、民間企業等に該当する。 |
・地方公共団体でない場合は、事業に関する全ての市区町村の同意を得るものとする。 |
上記に加え、下記のいずれかの要件を満たすものとします。
・看板商品創出事業(令和3年度経済対策関係予算「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」)に採択されコンテンツタリフが完成済みであり、併せて旅行商品として販売されている、もしくは販売の準備が整っている。 |
・誘客多角化事業(令和2年度補正予算「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」)、域内連携事業(令和2年度3次補正予算「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進事業」)に採択され、併せて現在も旅行商品として継続的に販売されている、もしくは販売の準備が整っている。 |
・その他過去の観光庁事業(令和2年度以降)に採択され、併せて現在も旅行商品として継続的に販売されている、もしくは販売の準備が整っている。 |
補助対象事業
下記に掲げる要件全てを満たす事業が対象です。
・観光事業者が連携して地域に定着したコンテンツ(ツアー、アクティビティ、体験、イベント等)の磨き上げを企てる取組である。 |
・地域の産業連携を介して、観光消費拡大を企てる取組である。 |
・国内居住者もターゲットに据えながらも、インバウンド向けの取組である。 |
・モデルツアーのように、旅行者が地域へ実際に訪れる取組、販路形成、プロモーションなど、販売を想定した総合的な取組である。 |
・本事業終了以降、磨き上げたコンテンツを販売する、もしくは継続的に行うことを想定した取組である。 |
・造成するコンテンツ等に関係する観光資源に関しては、多くの訪日外国人旅行者が活用する地図検索サービスで、コンテンツについての情報を入力する。 |
・磨き上げたコンテンツに関しては、コンテンツタリフやOTA掲載用情報入力フォーマット等を作成した上で提出する。(観光庁が推薦する標準フォーマットの活用を推奨します) |
・事業費が600万円以上の取組である。 |
・販売モデル構築を行う旅行商品に対し、インバウンド受入のための他言語化を実施する。 |
・プロモーションを進める場合は、インバウンド向けに他言語での情報発信を実施する。 |
補助対象経費
下記①~③の経費が対象です。また、①と②は経費額割合が設けられています。それぞれ例を挙げてみていきましょう。
補助対象経費 | |
①観光資源を活用したコンテンツの造成に関する経費(経費額割合:事業費の20%以上) | -観光コンテンツ、旅行商品等の企画開発 -名産品の企画開発 -ワークショップ、協議会等の開催 -専門家からの意見聴取 -ガイドの育成 -観光イベントの実施 -共通クーポン券等の企画開発 -観光戦略の策定 -地域事業者や地域住民へのセミナーの開催 -造成したコンテンツに関連したモニターツアーの開催 -インバウンド受入に関する他言語対応等の経費 等 |
②備品の購入・設備の導入に関する経費(経費額割合:事業費の25%以下) | -コンテンツの造成やインバウンド受入等に要する備品の購入・設備の導入 等 |
③販路基盤整備・プロモーションに関する経費 | -造成したコンテンツを販売するために要する写真、動画、ホームページ、チラシ、パンフレット等、対外的な情報発信を目的とした素材やツールの作成 -造成したコンテンツのインバウンドも含め、販路拡大のための販路基盤整備・プロモーションに関する経費 |
【補助対象外経費】
なお、下記に掲げる経費は補助対象外です。
- 本事業に直接関連がない。
- 交付決定前に発生している。
- 経常的な経費である。(運営に関する人件費・旅費、事務所等に関する家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費、通信料等)
- 景品の購入や割引に関する経費など、旅行者が利益を得るもの。
- 実施主体の会食費、弁当代等の飲食費である。
- 本事業での資金調達で必要となった利子である。
- モニターツアー参加者の実施場所への旅費、間接補助事業者の出張等の旅費である。
留意点
予期できない災害との事由によって、事業の一部もしくは全部が実施不可能となる場合が考えられますが、事業開始後にこれらの事由が発生した場合、キャンセル料等の経費も対象となります。
観光庁の他事業への重複申請は認められますが、複数採択となった時は、いずれか一方の申請を取り下げる必要があります。
事業の流れ
①応募受付(~7月7日) |
②採択内示通知(8月下旬が目安) |
③必修研修受講(9月上旬を目安にオンライン受講) |
④事業計画書提出(9月上旬が目安) |
⑤交付申請書提出(9月上旬が目安) |
⑥交付決定(9月上中旬が目安) |
➆事業実施(交付決定後~令和6年2月29日) |
⑧完了実績報告・精算書類提出(令和6年2月29日締切) |
⑨精算(令和6年3月中) |
①応募受付~⑦事業実施までの流れについて、詳細は下記の通りです。
①補助を受ける事業者は、事業計画書を含む応募書類一式を記入が済んでから、特設Webサイトで入力・提出してください。
②提出書類に則り、有識者を含む選定委員会で審査を行い、事務局より結果を通知します。
③採択の通知を受けた事業者は、その後オンライン研修を受講(必修)します。
④採択事業者は、研修を踏まえた上で事業計画書を見直します。必要に応じて通知された額の範囲内で内容を修正し、交付申請書とともに提出します。
⑤採択事業者は、交付決定通知を受けたあと、事業を開始できます。
⑥採択事業者は、策定した事業計画書に則り、事務局の伴走支援(専門家による助言指導など)を受けながら事業を行います。
⑦採択事業者は、事業終了後に実施した事業の結果を報告し、かつ証憑等の精算に関する書類を事務局へ提出します。事務局の審査を通して、補助事業の成果が交付決定の内容等に適合すると判断された場合、上記「補助対象経費」に該当する費用の補助を受けられます。
申請手続き
【申請書類の受付期間】
令和5年7月7日12時まで
※特設Webサイトの応募ページより、電子申請で提出します。やむを得ない理由で電子申請が困難な場合は、事前に事務局へご相談ください。
【提出書類】
申請ページより、下記の提出書類を全て提出してください。
提出書類名 | 提出方法 |
事業計画書 | Webフォーム上で直接入力により提出 |
費用積算書 | Webフォーム上で直接入力により提出 |
事業実施スケジュール | Webフォーム上で直接入力により提出 |
事業概要 | PowerPoint形式で申請ページより提出 |
市区町村の同意書 | PDF形式で申請ページより提出 |
連携先の同意書 | PDF形式で申請ページより提出 |
【選定の観点】
提出書類は、下記の観点から審査を行います。
①持続可能な観光地域づくりへの寄与
②独自性・新規性
③具体性・計画性
④実施体制・持続性
⑤収益性
⑥インバウンド誘客に向けた計画性
まとめ
新型コロナウイルス感染症拡大に伴いインバウンド需要が減少し、観光業は大きな影響を受けました。しかし水際対策の緩和後、訪日外国人数は大幅に増加し、観光業に本格的な回復の兆しが見えています。
本事業では、過去に観光庁事業で採択された旅行商品に関して、インバウンド向けのコンテンツ改善から販路基盤整備までにかかる費用を支援してくれます。対象の事業で採択されており、旅行商品として販売していたり販売の準備が整っていたりなどに該当する事業者は、ぜひ「インバウンド販売モデル構築型」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。