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【令和4年度概算要求】国土交通省の令和4年度概算要求について調べてみた

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今回は8月26日に公表された国土交通省の令和4年度概算要求についてご紹介します。

国土交通省では、まちづくり、道路、鉄道、住宅、空港、港湾などの整備、気象業務、防災対策、海上の安全確保など、私たちの暮らしに関わる分野を担当しています。

令和4年度予算の概算要求から、大幅に増えた予算などを確認し、政策動向を探ってみましょう!

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この記事の目次

令和4年度の要求額

一般会計は総額6兆9,349億円で、対前年度比1.18倍を計上しました。そのうち公共事業関係費として6兆2,492億円を上げています。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策、盛土による災害の防止対策、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた公共交通・観光の支援などについては、具体的な金額を示さない「事項要求」を行って、予算編成の過程で検討するとしました。

令和4年度予算概算要求では以下3つの重点項目があげられています。

1、国民の安全・安心の確保
2、社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大
3、豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり

どのような事業・施策に関する要求がされたのか、主な取り組みをみていきましょう。
参考・出典:国土交通省 令和4年度 概算要求概要

1.国民の安全・安心の確保

重点項目の1つめ「国民の安全・安心の確保」では、東日本大震災からの復興・再生と、近年相次ぐ大規模自然災害からの基幹インフラの復旧等の推進に予算を計上しています。ほかに、激甚化・頻発化する風水害や切迫する地震災害等に屈しない国土づくりを進めるための予算、インフラ老朽化対策をはじめとするインフラメンテナンスの予算、交通の安全・安心の確保に関する予算などを要求しています。

※以下、予算の大きい箇所など抜粋して記載します。
計数は令和4年度概算要求額、( )内は対前年度比を表しています。

【災害に屈しない強靱な国土づくりのための防災・減災、国土強靱化の強力な推進】

・あらゆる関係者により流域全体で行う「流域治水」の本格的展開:5,401 億円(1.07倍)
・集中豪雨や火山噴火等に対応した総合的な土砂災害対策の加速化・強化 :1,028 億円(1.08倍)
・南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策等の推進:2,028 億円(1.22倍)
・密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化の促進 :663 億円(1.10倍)
・災害対応能力の強化に向けた線状降水帯等に関する防災情報等の高度化の推進 :132 億円(1.51倍)
・災害時における人流・物流の確保 :5,771 億円(1.25倍)

気候変動による水災害リスクの増大に備えるために、堤防整備、ダム建設・再生などの対策をより一層加速すること、また土砂災害に対しては事前防災等を重視し、ハード・ソフト一体となった総合的な対策を推進するなど、自然災害に対する備えを行うための予算が求められています。

【持続可能なインフラメンテナンスの実現】

・インフラ老朽化対策等による持続可能なインフラメンテナンスの実現:8,350 億円(1.20)

いつ襲ってくるともわからない自然災害に対応するためには、平時からのインフラメンテナンスが不可欠ですが、インフラ老朽化対策の遅れによって機能に支障が生じているインフラが多数存在しているのが現状です。対策の加速化を図るための予算が8,350 億円計上されています。インフラの機能に支障が生じる前に対策を行う「予防保全」により将来の維持管理・更新費用の縮減を図りたい考えです。

【地域の総合的な防災・減災対策、老朽化対策等への集中支援】

・地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援(防災・安全交付金):10,291 億円(1.21倍)

激甚化・頻発化する風水害や切迫する地震災害等への対策として、地方公共団体等が実施する防災・減災の取り組みや予防保全に向けた老朽化対策などが重要になることから、地域における取り組みを集中的に支援するための予算を計上しています。

経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大

重点項目の2つめ「社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」では、まず感染症の拡大防止を前提に、社会経済活動を回復させること、そして経済の好循環を加速・拡大させるためグリーン化やデジタル化の推進、生産性の向上や国際競争力の強化に取り組むための予算を計上しています。ここではグリーン化とデジタル化についてみてみましょう。

【2050年カーボンニュートラル等グリーン社会の実現に向けた施策の展開】

・ZEH・ZEB の普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化:1,384 億円(1.36倍)
・グリーンインフラ等のインフラ・まちづくり分野におけるグリーン化の推進 :204 億円(1.94倍)
・自動車の電動化促進と電動化に対応した道路インフラの社会実装の推進 :9 億円(1.87倍)
・カーボンニュートラルポート等の港湾・海事分野におけるグリーン化の推進:682 億円(1.77倍)
・持続可能航空燃料(SAF)の導入促進や空港の再エネ拠点化等の航空分野における脱炭素化の推進:36 億円(2.05倍)

近年の気候変動による自然災害の発生に関して、地球温暖化対策は一刻の猶予も許されない課題となっているため、当初比で予算の増加がみられますね。

カーボンニュートラルの実現のため、国土交通省では国のCO2排出量の約5割を占める運輸、民生(家庭・業務)部門の脱炭素化に向けて、2030年度までの10年間に取り組む重点プロジェクトを「国土交通グリーンチャレンジ」としてまとめています。具体的な取り組み内容は以下のとおりです。

  • 住宅・建築物の更なる省エネ対策の強化
  • インフラ等を活用した太陽光発電等の地域再エネの導入・利用の拡大
  • 脱炭素と気候変動に配慮したまちづくり
  • 次世代自動車の普及促進
  • グリーン物流の推進
  • 船舶・鉄道・航空の脱炭素化
  • カーボンニュートラルポートの形成等

【国土交通分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)や技術開発、働き方改革等の推進】

・デジタルトランスフォーメーションの推進 :70 億円(1.80倍)
・オープンデータ・イノベーション等による i-Construction の推進 :12 億円(1.33倍)
・海運・造船の国際競争力強化や海洋開発等の推進 :154 億円(1.16倍)
・建設業、運輸業、海運・造船業、宿泊・観光業における人材確保・育成 :38 億円(1.04倍)

新型コロナウイルスへの対応として、公共工事の現場でデジタル技術を活用した非接触・リモート型の働き方への転換を図るなど、感染リスクに対する取り組みが求められています。物流施設におけるデジタル化・自動化、ドローンを活用した配送など、生産性向上の点から物流分野でもDXを推進したい考えで、公共工事や交通・物流といった国土交通分野のDXを進めるための予算が計上されています。

3.豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり

重点事項の3つめは「豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり」です。暮らしやすい地域づくりへの要求はこれまでも上げられていましたが、今後はポストコロナにおける住み方や働き方を見据えた、東京一極集中型ではない「分散型」の国づくりを進めていきたい意向が読み取れます。

【コンパクト・プラス・ネットワーク、スマートシティ・次世代モビリティの推進等による持続可能な地域活性化や分散型の国づくり】

・コンパクトで歩いて暮らせるゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進 :1,663 億円(2.12倍)
・個性ある多様な地域生活圏の形成 :225 億円(1.07倍)
・スマートシティの社会実装の加速 :23 億円(7.70倍)
・次世代モビリティの普及促進 :4 億円(1.40倍)
・地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備 :5,319 億円(1.24倍)
・地域の基幹産業の競争力強化のための港湾整備 :171 億円(1.05倍)

令和4年度 観光庁関係予算概算要求

ここまで3つの重点項目をみてきましたが、最後に、観光庁関係予算の概算要求も簡単にご紹介します。

国土交通省の外局の1つである観光庁では、令和4年度はコロナ禍で深刻な影響を受けた観光産業の存続に引き続き注力しながら、ポストコロナを見据えた新しいコンテンツの形成支援にも取り組んでいくとしました。観光庁関係予算概算要求から、大幅な予算増と新規の施策を確認しておきましょう。
参考・出典:令和4年度 観光庁関係予算概算要求概要

・新たなビジネス手法の導入による宿泊業を核とした観光産業の付加価値向上支援:7億円(6.97倍)
この施策では、前年度予算額のおよそ7倍の予算要求がありました。宿泊業を地域の観光産業・旅行消費の核となる業種として位置づけて、地域全体に波及する付加価値を生み出す取り組みを支援していく考えです。単独の宿の取り組みではなく、地域全体で連携・協業する事業が重点的に支援されます。

・ポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援事業:4.5億円(新規)
人々の行動・生活様式・働き方が変化し、ニーズが多様化していることから、新たな市場・ニーズを開拓し誘客に取り組もうとする地域に対しての支援を行います。専門家等によるノウハウ支援や、コンサルティングを受けたコンテンツを使ったモニターツアー実施支援などが上げられています。

・持続可能な観光推進モデル事業:4.5億円(新規)
持続可能な観光(サステナブルツーリズム)への関心が世界的に高まるなか、日本版持続可能なガイドライン(JSTS-D)の実践を通じて観光地経営のモデルを形成し、その取り組みの全国展開を図るとしています。

来年度、観光庁では感染症対策や、旅行者の受入環境整備、インバウンドの段階的復活にむけた補助金のほかに、来訪者増加のための新しい仕掛けづくりに対する補助金制度の実施があるかもしれませんね!

▼現在宿泊事業者が活用可能な補助金は、こちらでまとめています!

宿泊事業者におすすめ!感染症防止対策に活用できる補助金【東北~関東地方】

宿泊事業者におすすめ!感染症防止対策に活用できる補助金【中部、近畿、中国、四国、九州】

まとめ

今回は国土交通省から公表された令和4年度の概算要求の内容についてご紹介しました。

概算要求では「国民の安全・安心の確保」、「社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」、「豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり」に関する取り組みに対し予算が上げられていました。私たちの暮らしを守る、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策や新型コロナウイルスの影響に対応するための施策については、金額を示さない事項要求を行い、状況をみながら予算編成過程にて検討するとしています。

気候変動の影響により多発する豪雨などの自然災害から国民を守るとともに、2050年カーボンニュートラル(脱炭素化)の実現にむけたグリーン投資の推進とデジタル技術の積極的な活用、新しいライフスタイルにもとづく分散型の国づくりに力を入れていくことが国土交通省の概算要求からうかがえました。この要求を元に、1月の国会でどのような閣議決定がなされるのか、注目してみていきましょう!

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