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産業雇用安定助成金【スキルアップ支援コース】とは|在籍型出向で従業員のスキルアップと賃金アップを支援

公開日:2022/11/29 更新日:2026/4/30
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自社にはない経験を従業員に積ませて新たなスキルを習得させたい、そして戻ってきた従業員には学んだスキルに見合った賃金で報いたい。そんな事業主を支援するのが「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」です。

在籍型出向により従業員のスキルアップを行い、復帰後に賃金を5%以上上昇させた事業主に対して、出向元・出向先の双方に助成金が支給されます。

本記事では、対象事業主、対象となる出向と労働者、助成額の計算方法、申請手続きの流れ、活用事例、よくある質問まで解説します。

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この記事の目次

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産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)とは

産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)は、労働者のスキルアップを在籍型出向により行い、出向復帰後の賃金を出向前と比較して5%以上上昇させた事業主に対し、出向中の賃金の一部を助成する制度です。出向元と出向先の双方が助成対象となる点が特徴で、令和4年12月2日に創設されました。

制度の全体像【早見表】

項目内容
助成対象出向元・出向先の双方
助成率中小企業2/3、大企業1/2
1人1日上限額8,870円(出向元・出向先の合計)
1事業所年度上限1,000万円
1人あたり受給回数1回まで
支給対象期間出向開始日から最長1年
対象地域全国
必須条件出向復帰後6か月間の賃金を5%以上UP
申請窓口都道府県労働局・ハローワーク・雇用関係助成金ポータル(オンライン申請可)

1人1日あたりの上限額は雇用保険の基本手当日額の最高額(令和7年8月1日時点)に基づき、毎年8月に改定されます。

対象事業主の要件

出向元事業主の要件

出向元事業主は、雇用保険適用事業所であることに加え、主に次の要件を満たす必要があります。

・労働者のスキルアップにより企業活動を促進し雇用機会等の増大を目的とした出向を実施すること
・職業能力開発推進者を選任していること
・出向復帰後の労働者に対し、6か月間の各月の賃金を出向前賃金と比較していずれも5%以上上昇させること
・対象労働者を、出向終了日の翌日から6か月超え継続して雇用していること
・基準期間(出向開始日前6か月から支給申請まで)に解雇等を行っていないこと

「職業能力開発推進者」とは、社内で職業能力開発を推進する役職者で、教育訓練部門の部課長や労務・人事担当部課長などが該当します。事業所ごとに1名以上の選任が必要です。

出向先事業主の要件

出向先事業主は全国の雇用保険適用事業所が対象で、主に次の要件を満たす必要があります。

・基準期間に解雇等を行っていないこと
・雇用量の減少が少ないこと(雇用保険被保険者数等の指標が、最近3か月平均で前年同期比、中小企業は10%超かつ4名以上、大企業は5%超かつ6名以上減少していないこと)

両事業主に共通する要件

出向元と出向先が、資本的・経済的・組織的に独立している必要があります。親会社・子会社間の出向や、代表取締役が同一人物である企業間の出向は対象になりません。

さらに、両事業主の双方が支給要件を満たす必要があり、一方が要件を満たさない場合は両方とも不支給となります。

対象となる「出向」と労働者

対象となる出向の主な要件

項目内容
出向の形態在籍型出向(終了後に出向元へ復帰)。移籍型出向は対象外
出向期間1か月以上2年以内
必要な合意労使協定の締結、出向元と出向先の出向契約、本人の書面同意
出向の目的労働者のスキルアップ目的(雇用調整・経営指導・人事交流が目的のものは対象外)
出向中の賃金出向前の賃金以上であること
従事業務の制限港湾運送、建設、警備、医療関係の業務は対象外

対象となる出向労働者

対象となるのは、出向元に雇用される雇用保険被保険者で、出向計画届に記載された労働者です。ただし、次のいずれかに該当する労働者は対象外です。

【対象外の労働者】
・期間の定めのある労働契約者(有期契約労働者)
・出向元での継続雇用期間が6か月未満の者(新規採用者は対象外)
・解雇予告者、退職願提出者、退職勧奨応諾者
・特例高年齢被保険者、日雇労働被保険者
・過去3年間に出向先事業所で就労したことがある者
・過去6か月間に出向元事業主の事業の一環で出向元以外で就労したことがある者
・独立性のない事業主間で雇い入れた役員・同居親族等

助成率と上限額・計算方法について

助成額は、出向元・出向先がそれぞれ負担した出向中の賃金に助成率を掛けて算出します。1人1日あたりの上限額は出向元と出向先の合計で8,870円です。

企業規模助成率
中小企業2/3
大企業1/2

中小企業の定義

業種中小企業の基準
小売業(飲食店を含む)資本金5,000万円以下または従業員50人以下
サービス業資本金5,000万円以下または従業員100人以下
卸売業資本金1億円以下または従業員100人以下
その他の業種資本金3億円以下または従業員300人以下

計算の流れ

具体的な助成額は次の手順で算出されます。

①出向元・出向先がそれぞれ負担した賃金額(X、Y)を算定
②それぞれの負担額に助成率を掛けて合計額(Z)を算出
③Zを上限額(8,870円×実労働日数)と比較
④Zが上限額を超える場合は、出向元・出向先の負担割合に応じて上限額を按分

ガイドブック掲載の計算例(中小企業・出向元96万円/出向先144万円負担)では、Z=160万円が上限額以下となり、出向元64万円・出向先96万円、合計160万円が支給されます。支給限度額は1事業所あたり1年度1,000万円までです。

重要ポイント:出向復帰後の賃金を5%以上UP

賃金上昇の判定方法

出向した労働者本人について、出向復帰後の初回賃金支払日の属する月以降の6か月間(賃金上昇確認期間)の各月に支払われる「毎月決まって支払われる賃金」を、出向開始日の属する月の前月に支払われた賃金と比較し、いずれの月も5%以上上昇させる必要があります。

1か月でも5%未満の月があると、原則として助成対象になりません。なお、賃金UPが必要なのは出向した本人の賃金のみで、社内の他の社員の賃金UPは要件に含まれません。

「毎月決まって支払われる賃金」の範囲

本制度の「毎月決まって支払われる賃金」とは、基本給や役職手当などを指します。詳しくは、以下の表を参考にしてください。

含むもの含まないもの(原則)
基本給時間外手当・休日手当
役職手当夜勤手当・出張手当
資格手当精皆勤手当・報奨金
能力に対する手当家族手当・通勤手当・住宅手当
-賞与・ボーナス

ただし、扶養家族の有無や通勤距離に関係なく一律支給される家族手当・通勤手当・住宅手当については、含めることができます。判断が難しい場合は管轄の労働局・ハローワークへ相談してください。

賃金UP時の注意点

賃金UPは定期昇給やベースアップ、賃金改定によるものでも認められます。ただし次のケースは助成対象外です。

・毎月決まって支払われる賃金以外の諸手当を引き下げて、毎月決まって支払われる賃金を引き上げた場合
・出向復帰後にいったん上昇させた賃金を、合理的な理由なく引き下げた場合

申請手続きの流れ

ステップ内容ポイント
1. 出向の計画労使協議、出向協定書・出向契約書の締結、本人同意の取得、スキルアップ計画の作成計画は対象労働者ごとに作成
2. 計画届の提出都道府県労働局またはハローワークへ計画届を提出出向開始日の前日まで(2週間前目安)、窓口・郵送・オンライン可
3. 出向の実施計画届に基づいて出向を実施変更時は変更届を提出
4. 出向復帰・賃金UP出向終了後に出向元へ復帰、賃金を5%以上UP復帰後6か月間の賃金が判定対象
5. 支給申請賃金上昇確認期間の最後の賃金支払日の翌日から2か月以内1日でも遅れると受け付けされない
6. 審査・支給決定・振込労働局の審査を経て支給決定出向元・出向先それぞれの口座へ振込

申請手続きは出向元事業主が出向先事業主の書類も含めて、出向元事業所所在地を管轄する労働局またはハローワークに行います。

具体的な活用事例

本制度の活用方法について、ガイドブックに掲載されている活用事例を3つ紹介します。

事例1:製造業から産業用電気機械器具製造業へ

事業体制の見直しで新製品開発に進出したい製造業の事業主が、海外でロボット需要が拡大している産業用電気機械器具メーカーに従業員を出向させるケースです。出向先のロボット組立の最先端工場で経験を積ませ、組立技術・ライン管理・安全管理技能の習得を目指しました。出向先も人手不足で質の高い人材を求めていたため、双方にメリットのある出向となりました。

事例2:日本酒醸造業から耕種農業へ

将来的に酒米の栽培も視野に入れている日本酒の蔵元が、スマート農業で生産性向上を図っている水稲・大豆の生産農業法人に若手従業員を出向させるケースです。米作りの技術習得を通じて、自社酒米栽培事業の基盤づくりにつなげる狙いがあります。

事例3:温泉旅館業からホテル・サービス業へ

老舗温泉旅館を経営する事業主が、最新型ホテルの優れたサービスを学ばせたいと考え、スタッフを出向させるケースです。出向先のホテル側も、老舗旅館からの出向者を受け入れることが自社スタッフの刺激になりスキルアップにつながると判断し、初めて出向を受け入れました。

参考:産業雇用安定助成金ガイドブック スキルアップ支援コース

よくある質問

同じ出向先に複数の人材を出向させても対象になる?

対象になります。ただし1事業所あたり1年度1,000万円の支給上限があるため、合計額がこの上限を超えることはできません。同一人物については1人1回までの支給に限られます。

新入社員も出向対象になる?

出向元での継続雇用期間が6か月未満の労働者は対象外です。新入社員を出向させる場合は、入社から6か月以上経過してからとなります。

賃金5%UPの対象は全社員?

出向した労働者本人のみが対象です。社内の他の社員の賃金を上げる必要はありません。本人の出向前賃金と出向復帰後6か月間の各月の賃金を比較し、いずれの月も5%以上上昇していることが要件です。

出向先がテレワークの場合も助成対象?

出向先での勤務形態(職場勤務・リモートワーク・在宅勤務)による対象可否の判断はありません。ただし、審査では賃金台帳などによる賃金の支払証明と、出勤簿などによる勤務実績の両方が確認されます。

企業グループ内の出向も対象になる?

親会社・子会社間の出向や、代表取締役が同一人物である企業間の出向など、独立性が認められない場合は対象外です。資本金の50%超の出資、取締役会過半数の兼務などが独立性のない判断基準となります。

出向期間が2年の契約でも最初の1年は助成される?

出向期間が2年以内であれば対象になりますが、助成金の支給対象期間は出向開始日から1年が経過する日までです。


まとめ

在籍型出向は、社内研修では届かない現場経験を従業員に届けられる手段です。本制度を使えば、その間の賃金負担を出向元・出向先の双方で軽減でき、復帰後の賃上げも前向きに進められます。

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