1. 補助金ポータルTOP
  2. 補助金・助成金コラム
  3. ものづくり補助金の事業計画に必要な賃上げ要件とは

ものづくり補助金の事業計画に必要な賃上げ要件とは

image

ものづくり補助金は、制度変更等に対応する中小企業・小規模事業者等を支援する補助金です。現在は第16次公募の申請期間が始まっています。

ものづくり補助金の対象は生産性を向上させるための設備や投資等の経費ですが、採択には賃上げに関する計画書の提出が必要です。今回はものづくり補助金と賃上げの関連性を解説するとともに、「大幅な賃上げ計画書」作成時のポイントや、賃上げ要請の今後について考察していきます。

▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する

この記事の目次

ものづくり補助金に賃上げ計画は必要?

ものづくり補助金には、各枠の要件のほかに、基本要件が設置されています。賃上げ計画の策定は、事業計画書に関する基本要件のひとつです。基本要件を達成できなかった場合は、補助金の返還義務が生じる場合があります。

基本要件の主な内容は、以下のとおりです。

①以下の要件を全て満たす、3~5年の事業計画を策定する
■給与支給総額を年率平均1.5%以上増加する
■事業場内の最低賃金を、毎年、地域別最低賃金のプラス30円以上の水準とする
■事業者全体の付加価値額を、年率平均3%以上増加させる
②以下に同意し、事業計画を策定・実行する
■申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していること
■財産処分や収益納付等も含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とする
■再生事業者に限り、各目標が達成できていない場合であっても返還は免除される

また、大幅な賃上げに取り組む事業者については、補助上限額が引き上げられます。この場合には、事業計画書とは別に「大幅な賃上げに取り組むための事業計画書」を提出してください。
大幅な賃上げに取り組むための事業計画書の書き方については、後程詳しく解説します。

事業場内最低賃金とは

賃上げ計画では、事業場内最低賃金が基準となります。この場合の「事業場」とは、応募申請書に記載する補助事業の実施場所のことです。事業場内最低賃金とは、補助事業実施場所で働く従業員に適用する時給額のうち、最も低い額を刺します。月給制などの場合は、時給換算した額です。なお、原則として、採択後の交付申請時に実施場所を変更することは認められません。

「大幅な賃上げに取り組むための事業計画書」の書き方

ものづくり補助金では、大幅な賃上げに取り組む場合、さらに補助上限額の引上げを受けることができます。その際には事業計画書とは別に、「大幅な賃上げに取り組むための事業計画書」を作成してください。

「大幅な賃上げに取り組むための事業計画書」では書式の指定はありませんが、事業内容に触れつつ、取組を通じて想定される大幅な賃上げの見込みについて記載する必要があります。

具体的には、以下の点を記載してください。

  • 利益の増加分を人件費に充当しているか
  • 一時的でなく継続的な賃上げの計画となるか
  • 従業員間の技能指導や外部開催の研修への参加等、従業員のスキルアップや技能向上に取り組んでいる (または予定がある) か
  • 体制面が整っており、営業面の強化も図られているか
  • 事業者の成長・事業継続と両立が可能な計画か

計画書は図表や写真等を用い、必要であれば記述欄を拡大して、詳細に内容を記載してください。なお、会社全体の事業計画の数値については、別途電子申請システムへの入力が必要です。

記載内容のイメージについては、以下も参考にしてください。

出典:ものづくり補助金 様式4_大幅な賃上げに取り組むための事業計画_20230419.docx

事業報告に必要な賃金台帳の提出について

事業報告の際、賃上げが規定通りに行われているかを確認する「賃金引上げ確認」が行われることがあります。対象となるのは、補助金の額の確定通知を2月末までに受けた事業者です。
賃金引上げ確認では、賃金台帳の提出が必要です。書類の提出方法や留意点について、見ていきましょう。

賃金引上げ確認に必要な書類

提出が必要なのは、当該事業者の3月の賃金台帳です。これは事業者が労働基準監督署等外部機関から求められた際に提出するものと同様の書類です。
賃上げ確認時に必要な賃金台帳は、以下の2点です。

①全従業員分の賃金台帳
締日もしくは支給日が、3月のもの。以下の3点を記載してください。

  • 当該事業者名
  • 「令和4年3月分」のように、報告年と月 (3月) ※3月分賃金台帳であることが分かるよう、締日か支給日を記載
  • 事業実施場所に所属し、勤務する従業員の総数

②事業場内最低賃金となっている従業員の賃金台帳
締日もしくは支給日が、3月のもの。以下の4点を記載してください。

  • 当該事業者名
  • 「令和4年3月分」のように、報告年と月 (3月) ※3月分賃金台帳であることが分かるよう、締日か支給日を記載
  • 対象の従業員の氏名
  • 報告年3月分の月間賃金額・月間総労働時間・時給換算の金額 (円)

賃金台帳の準備方法

賃金台帳は、以下の手順で用意してください。

①全従業員の「3月分」の賃金台帳の写しを用意する
氏名等の個人情報部分は、マスキング等を施してかまいません。
なお、自社で導入している賃金管理ソフト等を活用した「従業員氏名・3月分の対象賃金・月間総労働時間」の一覧表での提出も可能です。

②上記の賃金台帳から、事業場内最低賃金となっている従業員の「賃金台帳」を抽出する

③賃金台帳余白に、次の記入例のように追記する

出典:ものづくり・商業・サービス補助金事務局

提出方法

賃金台帳は、次の手順で提出します。

①必要事項を記載した賃金台帳をPDFファイルにし、事業化状況報告システムに添付する
②システム入力の際、「従業員数(人)」を入力する

直近3月末で従業員数が「0」の事業者は、該当の□にチェックマーク入力してください。

ものづくり補助金と賃上げ要件の今後

本来の意味において、物価の上昇は好景気を意味するシグナルです。原材料が上がり、物の販売価格があがることは、企業の利益増加を意味します。それが賃金に反映されることで、経済全体が豊かになっていくのです。

しかし、現在は値上げが企業利益に直結しない「悪いインフレ」の状態に陥っています。特に中小企業においては、必要な賃上げに取り組むだけの余力がないのが現状です。

日本はバブル崩壊以後、給与はほとんどあがっていません。先進国と比べ、数十年単位での賃上げ率が低いことも指摘されています。

その理由にはさまざまな要因が挙げられますが、生産性や労働環境にも課題があります。さらに少子高齢化によって労働人口が減り、生活様式の変化によって働き方が多様化したことで、従来の企業のままでは対応の難しい局面も増えてきました。

賃上げのためには企業成長が必要であり、そのためには設備投資を含めた企業改革が不可欠です。企業はいま、大きな変換期に差し掛かっています。

賃上げに対する要請は、ものづくり補助金をはじめとするさまざまな支援事業において、今後ますます重要視されていきそうです。

まとめ

ものづくり補助金では、中小企業等の設備投資による新商品・サービスの開発や生産性の向上を通じ、「働き方改革」「被用者保険の適用拡大」「賃上げ」「インボイス導入」等を支援するために設置された補助事業です。「賃上げ」はこれらの項目のうちのひとつではありますが、労働者の働きやすい環境を整えるという意味では、すべての項目に影響を与える問題です。

賃上げと企業成長を両立させ、新しい社会の形にあった労働環境を整えるために、ものづくり補助金を上手に活用してください。

関連記事

補助金ポータルからの
お知らせ

お知らせ一覧
ITトレンド_IT導入補助金
会員登録
補助金顧問
LINE登録
専門家パートナー募集中
補助金ポータル公式アカウントLINE@ クリックして友達追加する