事業再構築補助金や事業承継・引継ぎ補助金では、申請にあたり「認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)の支援を受けて確認書を提出すること」が必須要件になっています。
この認定支援機関とは、いったいどのようなものでしょうか。
認定支援機関について知りたい方、事業再構築補助金でどのような支援機関の採択数が多いのか知りたい方は、ぜひ本記事の内容をチェックしてみてください!
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この記事の目次
認定支援機関とは?
認定支援機関は、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う機関のことで、具体的には、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等のことです。
中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、支援事業の担い手の多様化と活性化を図ることを目的に、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者を国が審査し、支援機関として認定しています。
どんな時に役立つ?認定支援機関の使い方
税理士や中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関といった認定支援機関に相談することで、経営の現状を正しく理解することが可能になります。また、経営課題の解決につながる多様な支援を受けることもできます。
たとえば、認定支援機関へ相談すると、以下のような利点があります。
1.信用保証協会の保証料が減額される
認定支援機関の支援を受けて事業計画の実行と進捗の報告を行うことを条件に、融資の保証料が減額(マイナス0.2%)されます。
2.補助金が申請できるようになる
認定支援機関が事業計画の実効性を確認することで、申請が可能となる補助金(事業再構築補助金や事業承継・引継ぎ補助金など)があります。
3.事業計画の策定支援で、課題への対応策が明確になる
認定支援機関とともに事業計画を策定することで、経営の現状を把握することができ、課題を発見することができます。
4.海外展開のための資金調達がしやすくなる
認定支援機関の支援を受けた事業計画に基づいて事業を行う場合は、海外展開の資金調達がしやすくなります。
認定支援機関からの支援事例
次に、認定支援機関のチラシから、支援の事例を2つご紹介します。
例①:金属製品製造業が【金融機関の支援】を受けて、過去最高の売上に
金融機関(支援機関)から、販売先の紹介や認証取得、新事業の立ち上げ等の支援を受けて、新製品の製造から販売までの流れを具体化した結果、新製品の製造・販売が成功し、過去最高の売上高となった。
例②:非鉄金属製造業が【税理士法人の支援】を受けて、生産性が1.5倍に増加
税理士法人(支援機関)が、新たな設備の導入の影響を財務的に分析して複数の導入案を提案し、それを基に導入を行った結果、生産コストが短縮され生産性が1.5倍に増加し、競合他社に優位性のある短納期化が実現できるようになった。
出典:認定経営革新等支援機関チラシより抜粋
上の例では、認定支援機関への相談が、販売先・取引先の増加や課題解決につながっています。専門的知識を有する認定支援機関に相談することは、業績アップや経営向上を図るための、有効な手段だといえるでしょう。
認定支援機関ごとの事業再構築補助金 採択数
さて、ここからは、少し視点変えて認定支援機関についてみていきましょう。
事業再構築補助金の申請要件のうちの1つ「認定支援機関要件」では、対象事業者は認定支援機関と相談して事業計画を策定し、「認定支援機関による確認書」を提出する必要があります。
さまざまな認定支援機関が申請者とともに事業計画をブラッシュアップし、事業再構築補助金の採択を目指す訳ですが、どこの認定支援機関が実績がいいのか、気になりませんか?
そこで補助金ポータルでは、事業再構築補助金の第1回から第5回公募の採択結果をもとに、各地の認定支援機関の実績を集計してみました。採択件数として、ご参考にしていただければと思います。(採択率ではありません)
以下、エリアごとの採択件数トップ10をまとめました。
(※申請者の所在都道府県別で算出)
東北エリア:岩手・宮城・山形・秋田・青森・福島
関東エリア:茨城・群馬・埼玉・山梨・新潟・神奈川・静岡・千葉・長野・東京・栃木
中部エリア:愛知・岐阜・三重・石川・富山
近畿エリア:京都・滋賀・大阪・奈良・福井・兵庫・和歌山
中国エリア:岡山・広島・山口・鳥取・島根
四国エリア:愛媛・香川・高知・徳島
九州エリア:宮崎・熊本・佐賀・鹿児島・大分・長崎・福岡
▼▼▼認定支援機関の実績を集計したデータは、エクセルでダウンロードできます。▼▼▼
集計データをダウンロードする
認定支援機関 支援利用の流れ
最後に、認定支援機関の支援を受けたいと思ったら、どのような流れで利用するのかを確認しましょう。
出典:認定経営革新等支援機関チラシより抜粋
支援は5つのステップで行われます。
1.経営ニーズの把握
2.支援機関の選定
3.支援機関への相談
4.事業計画の実現
5.モニタリング
まず1つめは、経営課題の把握です。「業績アップを図りたい」「財務内容や経営状況の分析を行いたい」などの、経営ニーズや課題を把握します。
次に、自社のニーズや課題にあった認定支援機関を探しましょう。認定支援機関は、「認定経営革新等支援機関検索システム」で検索することができます。または、各都道府県の「よろず支援拠点」に相談して紹介を受けることも可能です。
▼認定経営革新等支援機関検索システム
https://www.ninteishien.go.jp/NSK_CertificationArea
認定支援機関が決まったら、相談を開始します。これがステップ3です。
ステップ4では、認定支援機関を活用して事業計画を策定します。事業計画を実現することで、経営の改善につながります。
最後にステップ5として、支援を実施した案件について、計画が順調に進んでいるか、継続的なモニタリングが行われます。必要であれば改善策の提案なども受けることができます。
まとめ
今回は、中小企業の支援を行う「認定支援機関」について、調べてみました。
認定支援機関は以下のようなケースで活用できます。
- 経営を「見える化」したい…
財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析支援が受けられます。 - 事業計画を作りたい…
経営状況の分析、事業計画等の策定・実行支援、進捗状況の管理、フォローアップまで支援してもらえます。 - 国の補助事業等を使いたい…
共に事業計画をブラッシュアップし、補助金の採択につながるサポートを受けられます。 - 取引先を増やしたい…
認定支援機関のネットワークにより、新規取引先の開拓や販路拡大のサポートが受けられます。 - 専門的課題を解決したい…
海外展開や知的財産の管理等の専門的な課題は、最適な専門家が派遣され、認定支援機関と一体となった支援が受けられます。 - 金融機関と良好な関係を作りたい…
計算書類等の信頼性の向上により、資金調達力の強化につながります。
このように、認定支援機関は、中小企業・小規模事業者のさまざまな経営ニーズに応え、課題解決に向けた各種支援を行っています。
多くの企業がコロナ禍からの業績回復や物価高騰対策などの困難な課題に直面している今、自社の潜在力を引き出し、経営の強化につなげるために、各分野の専門家である認定支援機関の活用を検討してみてはいかがでしょうか。