令和時代のスタンダードな学校像として、Society5.0時代に対応するために打ち出された「GIGAスクール構想」では、一人ひとりが自分のペースで学ぶ「学びの個別最適化」を実現するため全国一律のICT環境整備が急務とし、1人1台の端末および高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することを目指すとしました。
出典:GIGAスクール構想の実現について
学校現場でパソコンやインターネット環境の整備が進むなかで、それに使えるソフトやサービスの導入に活用できるのが「EdTech(エドテック)導入補助金」です。国がEdTechソフトウェア事業者への補助を行うことで、EdTechを導入する学校等には本年度の導入実証に係る経費負担は基本的に発生しないという点がこの事業のポイントです。(※電気料・通信料や端末購入費等は除く)
新型コロナウイルスの影響で一斉臨時休校となった際にICT教材が注目されましたが、学びの自立化・個別最適化という点からもEdTech教材は注目されています。今回は、EdTech事業者、学校等教育機関の皆さま必見の「EdTech導入補助金」をご紹介します!
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この記事の目次
EdTech(エドテック)導入補助金とは?
学校現場にEdTechを導入する事業者に対してその経費を補助する制度で、事業者が補助申請者となり、自治体・学校法人等の学校等設置者と連携し事業を進めていきます。学校でのEdTechの確実な活用・定着を図ることを目的としています。
出典:公募要領
教育現場で使用される、学習の効率化・高度化等に資するソフトウェアが導入実証の対象となり、端末等のハードウェアは原則、補助対象外です。ただしプログラミング学習ツールに付随するハードウェアが有償レンタルで導入される場合は、そのレンタル費が補助の対象となります。その際、プログラミング学習ツール(メインツール)の導入とセットになっていることが条件となります。
補助対象となる事業者
対象となる事業者は、中小企業等および大企業(みなし大企業含む)です。
大企業(みなし大企業含む)は、中小企業等とコンソーシアムを構成した場合のみ、補助対象事業者となります。
※みなし大企業の判断基準
① 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有される中小企業等
② 交付申請時において、確定している(申告済みの)直近3年度分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業等
事業者の要件は?
主な要件は以下のとおりです。
(1) 日本国において登録され、日本国内で事業を営む法人であること。法人には会社、特定非営利活動法人(NPO)、財団・社団、法人格を有する組合等を含む。(個人事業主は対象外)
(2) EdTechソフトウェア・サービスを学校等教育機関に対して導入できる中小企業等または大企業であること。
(3)安定的な事業基盤を有しており、税務署より発行された直近3年度分の納税に関する証憑書類の提出ができること。ただし、法人設立以降、3年度分以上の決算(法人税納税)を行っていない場合は、提出できる年度分の納税証明書をすべて提出すること。最低でも1年度分の納税証明書の提出を必須とし、提出ができない場合は交付申請の提出ができない。
(4)過去に教育サービスを学校等教育機関または教育・学習支援業者(学習塾等)に対し提供・販売した実績を有していること。
(5)利用者の個人情報・成績情報等を扱う場合は、それらの情報管理に責任を負い、万一事故等が起きた場合には自らの責任において必要な対応が行えること。
(6)学校等教育機関の実態および各種法令を踏まえた情報セキュリティの体制及び対策を確立し、個人情報保護に関するガイドラインを策定していること。また、事務局の求めに応じて、セキュリティ体制図及びガイドライン等を開示できること。
主な申請要件を公募要領より抜粋してご紹介しましたが、詳細は公募要領でご確認ください。
EdTech(エドテック)導入補助金 公募要領
補助対象事業
補助対象となる事業は以下のとおりです。
(1)学校教育法に規定する学校(ただし、幼稚園及び大学を除く)のほか、教育支援センター(適応指導教室)あるいはフリースクール※ 、文部科学大臣の認定を受けた在外教育施設(海外の日本人学校等)などの「学校等教育機関」に対してEdTechツールの導入実証を行う事業であること。
※本事業におけるフリースクールの定義
① 不登校児童・生徒に対する学習支援・指導・相談を主たる目的とし、交付申請時点までに2年以上の活動実績があること。
② 児童・生徒の在籍校との間に十分な連絡体制が構築されていること。
③ 複数世帯の児童・生徒(小、中学生)を受け入れていること。
(2)事務局が求める導入効果の測定等に応じられる規模のEdTechツールの導入実証を行う事業であること。ただし、導入する EdTechツールの数量(アカウント数)は利用者数を超えない範囲とする。(予備を含めない)
(3)事業実施主体となる EdTech事業者(補助事業者)と、導入実証事業の現場となる学校等教育機関および学校等設置者が一体となり、導入実証事業終了後のEdTechツールの継続的な活用の可能性を視野に入れて策定した計画を実行し、事後の成果報告やアンケート等への協力を行うことを確約することができる事業であること。
(4)原則、学校等設置者および学校長等(EdTechツール導入の責を負える者)の事業に対する合意と協力の意志があり、次年度以降の継続活用や予算化を検討できる資料(導入見積り等)を元として計画された事業であること。
(5)EdTechツールの導入以降、ツールの補助対象期間以降も、学校等教育機関への継続的な運用提案や効果測定の結果を基にした新たなツール利活用の提案を行うなど、導入先における学習環境の抜本的改善を目指した手厚いサポートを行う事業であること。
(6)EdTechツールを導入する際、補助対象経費で定める費目について、EdTech事業者の自己負担が必ず発生するとともに、その自己負担分について学校等設置者及び学校等教育機関の費用負担がない事業であること。
(1)について、1つの学校等教育機関に対して複数種類のEdTechツールの導入を行うことが可能です。
(2)については、少なくとも1学校あたり必ず1クラス相当分以上の児童・生徒に対してEdTechツールを導入する必要があります。
なお、申請は、EdTech事業者が主体となって行いますが、導入実証を行う現場となる学校等教育機関とともに計画を策定し、連携した申請が望ましいとされています。
補助対象となるEdTechツール
「EdTech導入補助金」のWebサイトにEdTech事業者の一覧が掲載されており、利用したいソフトウェア・サービスを扱う事業者選定の参考にすることができます。
▼交付申請を検討しているEdTech事業者の一覧
https://viewer.kintoneapp.com/public/d26acca704cbe1be276acf0fb76089a8c05d04dc2995a4e7fd38c646e65176ff#/
補助対象となるEdTechソフトウェア・サービスは大きく以下の2つに分けられます。
■メインツール(児童・生徒の学びや教職員の指導内容の充実に直接的に有効なもの)
■オプションツール(児童・生徒の学びや教職員の指導環境の基盤となる、教職員のみが使用するもの)
この2つのうち、児童・生徒・教職員が学習や指導のために使用する「メインツール」が主な補助対象です。校務支援システム等の「オプションツール」は、単独導入での申請はできません。また、書籍が単に電子化されただけの閲覧以外の機能を持たない電子書籍及びデジタル教科書は補助対象外となります。
また、クラウドサービスであることが補助対象の要件となっており、オンプレミス製品は補助の対象外です。クラウドサービスが要件である理由として、今後の学校教育現場におけるクラウド活用が推奨されていることと、家庭学習ともシームレスな形で活用できることが望ましいこと、サービス・フォロー等の利便性などがあげられます。なお、原則、EdTechツールの課金形態は月額制の販売方式であるものとします。
EdTech導入補助金の申請類型
申請類型は「A.中小企業型」と「B.大企業複合型」に区分されます。
「A.中小企業型」
中小企業等のみの申請類型。
中小企業等のEdTech事業者が学校等教育機関に対し、単独もしくはコンソーシアムを組んでEdTechツールを導入する申請方式です。
「B.大企業複合型」
コンソーシアムに大企業が含まれる場合の申請類型。
大企業のEdTech事業者と中小企業等のEdTech事業者で構成されたコンソーシアムが、学校等教育機関に対してEdTechツールを導入する申請方式です。※大企業の単独申請は不可
出典:公募要領
補助対象経費
(1) EdTechツール利用費
本実証事業を実施するために必要なEdTechツールの利用料金の原価 等
※(1)の補助対象期間は交付決定~2022年3月末日までです。
(2) EdTechツールサポート費
本事業においてEdTechツールを導入・利用する際に必要となる児童・生徒、教職員等に対して実施される初期設定・セットアップ費用の原価 等
(3) サポートに伴う出張旅費
EdTechツールサポートを実施するために必要となる国内で発生する出張旅費
※(2),(3)の補助対象期間は交付決定~事業実施期間中(2021年12月27日)までです。
補助率・上限額
【補助率】
A類型:2/3以内
B類型:1/2以内
【上限額】
・A類型(単独申請の場合)200万円×申請校数
・A類型(コンソーシアムの場合)200万円×コンソーシアム参加社数×申請校数
・B類型 200万円×コンソーシアム参加社数×申請校数
下図は、申請類型と補助率、上限額、下限額をまとめたものです。
出典:公募要領
なお、図は1申請あたりの導入費の補助上限額及び下限額であり、複数校に導入する際の学校ごとの経費配分に制限はありません。
どういうことかというと、例えばEdTech事業者であるA社が、A類型にて単独での申請を行うとします。導入実証を行う学校等教育機関の数は3校(X 学校、Y 学校、Z学校)とすると、A社の補助上限額は200万円×3校で600万円となります。
この場合、学校ごとに児童・生徒数や導入規模などが異なることが考えられるため、X学校で350万、Y学校で190万、Z学校で60万円(計 600万円)というように、各導入先の事情に合わせて金額を配分することが可能です。
EdTech導入補助金の手続きの流れ
最後に手続きの流れを確認しましょう。
申請はオンラインで行います。
(1)交付申請
EdTech事業者は、EdTech事業者ポータルでアカウントを作成した上で、基本情報と取扱いEdTechツール情報、導入先の学校等教育機関情報と導入計画を入力します。
申請内容の最終確認を行い「履歴事項全部証明書」等の書類を添付し事務局へオンラインで提出します。
【交付申請期間】
2021年6月11日~2021年7月9日 17:00
(2)交付決定・事業実施
採択の結果はEdTech事業者ポータルを通して通知されます。事業者は交付決定を受けた後に、EdTechツールの契約・導入を行います。
(3)実績報告(完了報告)
EdTechツールの導入が完了した後、補助事業期間内(交付決定後~2021年12月27日15時まで)に契約・導入等を行ったことが分かる証憑や導入に要した経費を証明する証憑を提出します。
(4)補助金交付
実績報告(完了報告)の後、事務局の確定検査が完了してから補助金交付の手続きを行い、補助金が交付されます。
(5) 事業実施効果報告
EdTechツール導入後の導入効果を報告します。
一方、学校等設置者・学校等教育機関の事業取り組みイメージは以下のとおりです。
(1)EdTech導入方針の検討
教育方針や計画を踏まえて、これからのEdTechの活用方針を検討します。
(2)EdTech事業者及びEdTechツールの選定
EdTechの活用方針に沿って、導入したいEdTechツールを扱っている事業者の候補をWebサイトのEdTech事業者の一覧を参考に選定します。
(3)EdTech事業者への打診
候補事業者に対して導入実証連携を打診します。
(4)EdTechツールの導入計画検討・策定
本事業への申請を前提に、EdTechツールの導入・活用に関する計画を検討し策定します。その際、必ず申請者となるEdTech事業者と連携し、計画の検討・策定を行うことになります。
まとめ
今回は、学校等教育機関にEdTechツールを導入するEdTech事業者に対してその導入にかかる経費を補助する「EdTech導入補助金」についてご紹介しました。
これから学校現場のICT環境の整備が進むなかで、EdTechソフトウェア・サービスを積極的に活用しより良い学びを実現することが非常に重要になってくるでしょう。EdTechの継続的・長期な活用を視野に入れ、「EdTech導入補助金」を新しい学びの実現の第一歩として活用してみてはいかがでしょうか?
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