
農業の担い手不足や高齢化が進むなか、次世代の就農者をどう育て、地域の農業を持続可能なものにしていくかが各自治体で課題となっています。特に就農初期には、機械の購入や施設の整備、経営ノウハウの獲得など、多くの時間と資金が必要です。
こうした状況に対応するため、長野県松本市では「世代交代・初期投資促進事業(新規就農者確保緊急円滑化対策)」を実施しています。今回は、新たに農業経営を始めた方がスムーズに事業を軌道に乗せるために設けられた、この松本市の支援制度についてまとめました。
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この記事の目次
世代交代・初期投資促進事業とは
この補助事業は、松本市において新たに農業経営を開始した就農者を対象に、経営の継承・発展・資源の有効活用を目的とした支援を行うものです。農業の世代交代を円滑に進めるとともに、地域計画に基づいた農地集積や持続可能な農業体制の構築を目指しています。対象となる事業内容は、農業経営の安定と拡大に向けた次の3つのカテゴリーに分類され、以下の費用に対しそれぞれ補助が適用されます。
(1) 経営資源の有効利用に向けた取組
修繕、移設、撤去などの費用。事業費25万円以上が条件で、整備後の資源は3年以内に譲渡または貸付が必要です。
(2) 円滑な経営移譲に向けた取組
法人設立や専門家謝金、旅費等が対象です。
(3) 経営発展に向けた取組
農機・施設の取得、果樹や茶の新植・改植、家畜導入、リース料などが対象です。事業費は50万円以上が条件になります。
補助率・補助額
補助率は取り組む内容によって異なり、最大で600万円までの補助が受けられる点も、本事業の大きな特長です。特に就農初期の資金負担を軽減することを目的としており、対象経費の範囲も幅広く設定されています。農業機械や施設の取得、法人化に向けた専門家への相談費用、既存資源の再活用に向けた修繕・撤去費用など、事業の性質に応じて柔軟な補助が受けられます。
(1)農業用機械・施設等の修繕・移設・撤去等の経営資源の有効利用や、(2) 法人化、専門家の活用等の円滑な経営移譲に向けた取組の場合、補助率は国1/3、都道府県又は市町村1/3となっていますが、自治体の補助率は任意のため確認することをおすすめします。
(3) 機械・施設等の導入(機械・施設、家畜導入、果樹・茶の新植・改植、機械リース等が対象)の場合は、都道府県支援分の2倍を国が支援(国の補助上限1/2)となっています。
国費上限 | 600万円 (上記内容(1)~(3)の合計) | |
補助率 | (1)、(2) | 国 1/3以内、都道府県または市町村 1/3※ |
(3) | 国 1/2以内(都道府県支援分の2倍を国が支援) |
※(1)、(2)の自治体負担は任意。
対象者と対象要件
本補助金の申請にあたっては、多くの要件をクリアする必要があるため、事前相談が必須となっています。また以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 独立・自営就農時に49歳以下であること
- 認定新規就農者または認定農業者であること
- 申請者の事業が地域計画に位置づけられており、目標集積率が現状を上回っていること
- 令和5年4月1日以降に農業経営を開始していること
- 青色申告を行っていること
- 機械や施設の取得について金融機関から融資を受けていること
- 他の新規就農者向け補助事業と併用していないこと
申請スケジュール
申請を希望する場合は、あらかじめ担当窓口への相談が必要です。書類の準備には時間を要するため、早めの対応をおすすめします。
令和8年度実施分の申請:令和8(2026)年1月31日まで
※令和7年度実施分の申請は、令和7年2月28日までとなっており締め切られておりますのでご注意ください。
まとめ
農業を始めるうえで、初期の設備投資や経営判断には大きな負担がかかります。今回紹介した「世代交代・初期投資促進事業」は、そうした新規就農者のスタートを支える制度です。
地域の農業を次の世代につなげていくためにも、こうした支援の活用は重要です。就農に踏み出したばかりの方や、事業譲渡を考えている方は、詳細を公式ページでご確認ください。
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