
登山やトレッキングを通じて、私たちは自然の素晴らしさに触れることができますが、その一方で人の手による環境負荷も無視できない課題となっています。特に、標高の高い山岳地帯では、し尿処理やごみ処理といった日常的な行為も、環境への影響が大きくなりやすく、十分な設備が整っていない地域では深刻な問題を引き起こすこともあります。
長野県では、こうした山岳地域の自然環境を守るために、環境省の補助事業を通じて「山岳環境保全対策支援事業」を実施しています。この補助金制度は、国立・国定公園内の条件不利地にある山小屋を対象に、排水処理設備や廃棄物処理設備などの環境保全に必要な施設整備を支援するものです。本記事では、この補助金の概要や対象要件、申請スケジュールについて紹介します。
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この記事の目次
山岳環境保全対策支援事業とは
山岳環境保全対策支援事業は、美しい山岳景観の保持や自然環境の保全を目的として設けられた事業です。条件不利地の民間の山小屋等が実施する、公衆トイレとしての役割も担う環境配慮型排水・し尿処理施設の新設や増設、廃棄物の分別・処理施設等に対して、補助金を交付しています。
補助金の詳細(対象設備・補助率)
国立公園または国定公園内の条件不利地にある山小屋において施設整備を計画している事業者に対し、以下の設備の導入を支援します。【対象設備】
(1) 環境配慮型排水・し尿処理施設及び当該施設に係る周辺整備(換気扇、発電施設等を含む)
(2) 廃棄物の分別・処理施設
(3) 給水施設
【補助率】
1/2
【対象経費】
- 本工事費・付帯工事費
- 機械器具費
- 測量・試験・事務費など(環境大臣が承認するもの)
対象者と対象要件
この補助金制度を利用できるのは、自然公園(国立公園または国定公園に限る)内で、一般車道による到達が困難など、著しく条件が不利な場所において、施設整備を行う次のいずれかの個人または団体です。
・山岳環境保全対策地域協議会の構成員である民間の山小屋事業者 ・地域協議会の構成員によって組織された民間団体 |
【事業の要件】
交付対象となる事業の要件は、以下のとおりです。
(1) 登山者の利用に供する宿舎、休憩所、避難小屋に整備するものであること。
(2) 車道、商業電力、上水道、下水道のいずれかが利用できない条件が著しく不利な場所にあること。
(3) 一般登山者へ開放する等により、公共的な役割を担うものであること。
(4) 相当程度の利用者数があること、もしくは、想定されること
申請スケジュール
この補助金の申請には、受付期間が定められています。計画から申請準備まで時間がかかる可能性があるため、スケジュールをしっかりと確認したうえで、余裕をもって準備しましょう。
- 申請開始日:2025年3月10日
- 申請締切日:2025年4月25日
なお、本補助金を活用する場合には、地域協議会の推薦が必要となりますので、山小屋等の所在する市町村を管轄する地域振興局の環境担当課にご相談ください。
まとめ
長野県の「山岳環境保全対策支援事業」は、山岳地域での自然との共生を目指す取り組みです。環境整備が進むことで、登山者にとって快適な利用環境が整うとともに、貴重な自然を次世代へ引き継ぐ基盤づくりにもつながります。
山小屋の運営者や地域の関係団体が連携し、持続可能な山岳利用を進めていくうえで有効な制度です。対象となる方は、ぜひこの機会に制度の活用を検討してみてください。
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