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中小企業向け省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業の活用方法

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省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の二次公募が始まります。本事業は中小企業の省エネルギー設備への更新を促進するため、令和4年度補正予算にて設置された制度です。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金ではまず導入予定の設備の区分を確認し、場合によっては省エネ効果を計算したうえで事業区分を判断する必要があるなど、少々複雑な構造になっています。正しく申請を行うために、各要件や区分の確認方法を見ていきましょう。

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この記事の目次

省エネルギー設備への更新を促進するための補助金の二次公募について

省エネルギー設備への更新を促進するための補助金では、(A) 先進事業 (B) オーダーメイド型事業 (C) 指定設備導入事業 (D) エネルギー需要最適化対策事業の4つの区分が公表されました。各事業区分によって適用される補助金が異なります。

本事業では導入する設備が複数ある場合、申請する区分を判断するためには、導入設備すべての省エネ効果を算出する必要があります。その際、補助率は設備ごとにことがあるので注意してください。本記事では、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」上記(A)、(B)、(D)についてご紹介します。

中小企業向け省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業とは

地球環境問題への対応や2050年のカーボンニュートラル実現のための対策として、企業にはエネルギーへの態度を見直すことが求められています。エルネギー使用量を減らすためには、優れた省エネ技術を搭載した設備の導入が有効です。

本事業は事業者が計画した省エネルギーの取組のうち、導入ポテンシャルの拡大等が見込める先進的な設備・システムの導入や機械設計が伴うオーダーメイド型設備への更新等の取組を支援するものです。省エネ設備の導入費用の一部を補助することで、安定的かつ適切なエネルギー需要構造の構築を図ることを目的としています。

省エネルギー設備への更新を促進するための補助金の4つの区分のうち、「中小企業向け省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業((A) 先進事業 (B) オーダーメイド型事業 (D) エネルギー需要最適化対策事業)」で対象となる設備や事業は以下のとおりです。

(A) 先進事業
SII (一般社団法人環境共創イニシアチブ) が設置した外部審査委員会で審査・採択し、公表された先進設備・システム

(B) オーダーメイド型事業
既存設備を機械設計が伴う設備または事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する、オーダーメイド型設備

(D)エネルギー需要最適化対策事業
エネマネ事業者からEMS (エネルギーマネジメントシステム) 機器を導入して「エネルギー管理支援サービス」を契約締結し、計測・見える化・制御による省エネルギー化を図る取組や省エネルギー診断等によってチューニング等の運用改善を図る事業

本事業では(A)、(B)、(D)の補助対象設備を単独、または組み合わせて申請することができます。その場合、どの事業区分の要件を満たすかによって、申請区分や補助率の適用範囲が変わります。

ここから、(A)、(B)、(D)の3つの区分について、見ていきましょう。

補助対象事業

補助対象となる事業の要件は、以下の①~⑤です。

補助対象事業
①投資回収年数が5年以上である
②「エネルギー使用量が1,500kl以上の工場・事業場」と「中小企業者に該当しない会社法上の会社」は、省エネ法に基づき作成した中長期計画書等に記載されている事業である
③経費当たり計画省エネルギー量が、補助対象経費1,000万円あたり1kl以上の事業である
④導入した補助対象設備の1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告できる
⑤導入設備がトップランナー制度対象機器の場合は、エネルギー消費効率の基準値を満たす

また、以下の事業の場合はそれぞれ別途要件を満たす必要があります。

【工場・事業場間一体省エネルギー事業】
同一事業者が異なる事業所間において、ユーティリティ設備の共有等の省エネルギーを行う事業です。

■主な要件
①複数の事業所を一体として事業実施前後のエネルギー使用量を比較し、該当する事業区分の申請要件を満たす
②エネマネ事業者を活用する場合は、申請するすべての事業所に対して、エネマネ事業者との間でエネルギー管理支援サービス契約を締結する

【複数事業者の連携事業(連携省エネルギー計画の認定制度)】
複数の事業者が連携し、一体となって省エネルギーを行う事業です。

■主な要件
①複数の事業所を一体として事業実施前後のエネルギー使用量を比較し、該当する事業区分の申請要件を満たす
②原則として、連携省エネルギー計画の認定申請を行う事業とする。

また事業規模が大きく、複数年度にわたって取り組む必要のある事業も対象です。

いずれも(A)先進事業、(B)オーダーメイド型事業において申請することができます。

補助対象事業者

補助対象となる事業者の主な要件は、以下のとおりです。

補助対象事業者
①国内において事業活動を営んでいる法人または個人事業主
②必要な経営基盤を有し、事業の継続性が認められること
③設置する対象設備の所有者であり、対象設備の処分制限期間、継続的に使用する者
④補助対象設備を、交付規程で定める取得財産等管理台帳に記載のうえ管理し、補助金の交付の目的に従って効率的運用を図る者
⑤経済産業省から補助金交付等停止措置または指名停止措置が講じられていない
⑥公的資金の交付先として、社会通念上適切と認められない者でない
⑦風俗営業を営む事業所等でない
⑧成果報告時に、補助対象設備の1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告できる事業者
⑨会計検査院による現地検査等の受検に、誠実に対応する事業者

申請単位

申請は、原則としてエネルギー管理を一体で行う事業所単位で行います。工場・事業場間一体省エネルギー事業および複数事業者の連携事業の場合は、既存の複数の事業所のエネルギー使用量全てを合算して1つの申請単位としてください。

なお、エネルギー管理を一体で行う事業所単位とは「事業所で使用するすべてのエネルギーを一元的に管理し、エネルギーコストを正確に把握している事業所」の単位を指します。

申請パターン

事前に登録や公表を行わない (B) オーダーメイド型設備を除き、補助対象となる設備はあらかじめSIIが公表した設備です。これらの設備は単独または組み合わせて申請することができます。

組み合わせ申請を行う場合の要件は、以下の①~③です。

■組み合わせ申請を行う場合の要件
①1つの補助事業として計画し、1通の交付申請書を作成する

②事業全体の計画省エネルギー量は、以下の手順に沿って算出する
■補助対象設備毎に、計画省エネルギー量を算出する
■補助対象設備毎に算出した計画省エネルギー量を合算し、事業全体の計画省エネルギー量とする

③以下の「申請パターン表」を参照し、事業要件と省エネルギー効果の要件を満たす事業で申請をする


出典:公募要領
(a)+(b) の組み合わせ申請の場合、計画値が (A) (B) のどちらの省エネルギー効果の要件を満たすかで適応区分を判別します。ただし補助率に関しては、設備ごとに異なります。以下の例を参照してください。

【例】
①(a)+(b) の補助対象設備の組み合わせ
■計画値が (A) の要件を満たす場合
・(a) の先進設備やシステムは (A) の補助率
・(b) のオーダーメイド型設備は (B) の補助率

■計画値が (B) の要件のみを満たす場合
・(a) が (b) の設備要件を満たす場合には(a) を (b) として申請
・(a)(b) の補助対象設備はともに (B) の補助率

なお (d) は組み合わせ申請であっても (d) だけで計画省エネルギー率を算出し、その値が (D) の申請要件を満たしていれば、(d)には (D) の補助率が適用されます。

補助対象経費

補助の対象とるなる経費は、以下のとおりです。

補助対象経費
■設計費
機械装置、システム設計費等
■設備費
機械装置の購入、製造・改修に要する経費
■工事費
工事に要する経費

なおEMSについては、省エネルギーに寄与する以下のものに限られます。

■主装置・盤
計測制御主装置、ローカルサーバー等
■計測計量機器
電力量センサ、ガスメーター、流量計、水量計、温湿度センサ等
■機械監視装置
生産量制御管理装置、設備稼働状況監視装置等
■制御機器
制御用センサ、リレースイッチ、コントローラ、流量調整弁等
■通信装置
モデム、ルーター等
■モニター装置
監視用端末、PC、タブレット、モニター等
■ソフトウェア
導入拠点での需要予測、最適化計算等

補助率および補助金限度額

各区分の補助率と補助額上限は、以下のとおりです。

補助率

(A) 先進事業
■中小企業等
2/3以内

■それ以外
1/2以内

(B) オーダーメイド型事業
■中小企業等
1/2以内
ただし、投資回収年数7年未満の事業は3分の1以内

■それ以外
1/3以内
ただし、投資回収年数7年未満の事業は4分の1以内

(D) エネルギー需要最適化対策事業
■中小企業等
1/2以内

■それ以外
1/3以内

補助上限額

(A) 先進事業
■単年度
15億円/年度 (20億円/年度)

■複数年度
30億円/事業全体 (40億円/事業全体)

(B) オーダーメイド型事業
■単年度
15億円/年度 (20億円/年度)
連携事業:30億円/事業全体 (40億円/事業全体)

■複数年度
20億円/事業全体 (30億円/事業全体)
連携事業:30億円/事業全体 (40億円/事業全体)

(D) エネルギー需要最適化対策事業
■単年度
1億円/年度

■複数年度
1億円/事業全体

※( ) は、非化石を含む申請の場合の上限額です。エネルギーの非化石化を図る事業には、別途要件を満たすことで上限額の引き上げが認められます。なお、いずれも下限額は100万円 (ABは年度、Dは事業全体) です。

申請する事業区分の決定方法

中小企業向け省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業は、区分の考え方が複雑です。「どこ区分で申請したら良いのかわからない」というときには、以下のフローチャートを確認しましょう。

出典:公募要領
申請区分を判断する際は、まず導入予定の設備がどの区分に入るかを確認します。複数の設備を導入する場合は、設備ごとに判断をしてください。(a) (b) の組み合わせ申請となる場合は省エネルギー量の総量を算出し、それが (A) と (B) のどちらの要件と合致するか確認してください。区分の判断に迷ったときは、事務局に問い合わせましょう。

各事業区分の概要

それでは、各事業区分の概要を見ていきましょう。それぞれの区分の対象設備や要件をまとめました。

(A) 先進事業

SIIであらかじめ公表された、先進的な省エネ設備やシステムが対象です。代表的な設備には、水素ボイラ、バイオマスボイラ、高効率工業炉、ドレン回収装置、 ガスエンジン発電システム、地中熱回収型空調システム、気化冷却装置等が挙げられます。

補助対象設備

対象となるのは対象の設備のうち、以下の要件を満たすものです。

①既存設備・システムの置き換えまたは製造プロセスの改善等の改修を行い、その設備自体が省エネルギーに寄与する設備
②計測器の代わりにEMAを新設する場合は、指定する機能要件を満たす
③「廃棄エネルギー(蒸気・熱等)」を再利用する場合は、現在稼働している設備・機器から廃棄しているエネルギーを再利用する設備
④更新前後で使用用途が同じである
⑤兼用設備、将来用設備または予備設備等ではない
⑥中古品でない
⑦その他、法令に定められた安全上の基準等を満たしている
⑧付帯設備を他社のエネルギー負荷設備に設置する場合は、その安全性等の保証が担保される製品である根拠を明示できる

省エネルギー効果の要件

(A) 先進事業は、省エネルギー効果の要件として、原油換算量ベースで以下のいずれかを満たす事業が対象となります。

①計画省エネルギー率が30%以上
②計画省エネルギー量が1,000kl以上
③計画エネルギー消費原単位の改善率が15%以上

(B) オーダーメイド型事業

機械設計を伴う設備または事業者の使用目的に合わせて設計・製造する設備等のうち、設計図書等の納品物があるものが対象です。

補助対象設備

オーダーメイド型設備の対象として想定されている設備は、以下のものです。

①新規設計の設備 (フルオーダー品)
使用用途等に応じて、設備全体のエネルギー消費効率等を考慮して新たに設計・製造した設備
②類似設計の設備 (カスタマイズ品)
既存機器・システムを応用または組み合わせて特別な仕様の部品等を製造するために設計した設備等
③システム設計を伴う設備 (生産設備等を組み合わせた製造ライン)
製造工場等において、使用する生産設備等を組み合わせて設計した製造ライン
④システム設計を伴う設備 (自動化装置等を組み合わせた製造ライン)
製造した加工品の作業工程を自動化するために、搬送機械等と①また②の設備を連携させて設計した製造ライン

そのほかの補助対象設備の要件は、 (A) 先進事業と同様です。

省エネルギー効果の要件

(B) オーダーメイド型事業は、省エネルギー効果の要件として、原油換算量ベースで以下のいずれかを満たす事業が対象となります。

①計画省エネルギー率が10%以上
②計画省エネルギー量が700kl以上
③計画エネルギー消費原単位の改善率が7%以上

EMSを設置する場合の要件

(A) 先進事業または(B) オーダーメイド型事業でEMSを新設する場合、補助対象経費の「設備費」に含めることができます。EMSの要件は、以下のとおりです。

①エネルギーの計測 - 見える化機能の実現に必要な項目の計測を行える
- 更新設備および受電電力量の計測は必須
- ガス・油等は、1か月以内の検針票値入力でも可
②見える化 - 電力・ガスその他エネルギーを含め、1か月以内の事業所全体のエネルギー使用量を統一単位で閲覧できる
- 電力は全体と設備カテゴリ別の30分以内の電力使用量を閲覧できる
③接続機器の制御 - 各機器を自動制御する機能を有する
- 電力は30分受電電力量目標値の設定をしたうえで、自動制御を行う機能を有する
④制御ログの保存 - 必要な制御ログ等を取得・保存できる

(D) エネルギー需要最適化対策事業

EMS機器の活用によるさらなる省エネの推進を支援する区分です。

補助対象設備

「EMSのシステム要件」を満たし、エネマネ事業者が提供するエネルギー管理支援サービス等の実施のために必要不可欠なシステム・機器が対象です。あらかじめSIIの確認を受け、補助対象システム・機器として登録されている必要があります。

対象となるエネマネ事業者

対象となるエネマネ事業者は、SIIに登録されたエネマネ事業者です。SIIホームページで公表されています。
なお(D)エネルギー需要最適化対策事業を含む申請では、事業者の求めに応じてエネマネ事業者が各種と申請等を担当します。

省エネルギー効果の要件

(D)エネルギー需要最適化対策事業の対象となるのは、以下のいずれかを満たすものです。

①計画省エネルギー率が、原油換算量ベースで2%以上
②申請者が自ら定め、合理的な説明が可能な計測・制御の範囲内で、原油換算量ベースでの計画省エネルギー率が2%以上

※事業実施前後で比較するエネルギーを使用する範囲を、事業者が決めることができます。ただし、事業評価は事業所全体の計画省エネルギー量です。なお補助事業者は、成果報告時に運用改善の実施状況について報告する必要があります。

二次公募の申請手続きと注意事項

次は、申請のスケジュールや手続きの方法を見ていきましょう。申請に必要な書類は専用サイトで作成した後、ファイリングして、郵送で提出します。

まずはホームページでアカウントを作成する必要がありますので、手続きは余裕をもって行いましょう。

事業全体スケジュール(二次公募)

■公募期間
2023年5月25日(木) ~ 6月30日(金) 17時(必着)

■交付決定
2023年8月下旬予定

■事業開始
交付決定後から2024年1月31日まで

■実績報告
事業完了日から30日以内または2024年2月5日のいずれか早い日

■補助金の支払い
2024年1月末~2024年3月末まで

その後、事業完了の翌々年度の5月末日までに成果報告を行う必要があります。

申請方法

申請は以下の流れで行います。

①SIIホームページより実施計画書等をダウンロードし、申請書類を作成する
②SIIホームページでアカウントを登録する
③メールで通知されたURLから補助事業ポータルにログインする
④補助事業ポータルに必要な情報を入力する
⑤申請書類を出力し、ファイリングしてSIIに郵送する

まとめ

エネルギー価格の高騰が続くなか、省エネ設備の導入は経費削減対策としても意味を持つようになりました。環境に対する姿勢は、世界的な企業評価にもつながります。持続可能な社会に向けて世の中が大きく変わろうとしているいま、新たな設備の導入に踏み切ることは、将来的な企業成長にも大きな影響を及ぼします。

費用的な課題で設備の入れ替えができずにいる企業は、ぜひ中小企業向け省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業を活用しください。導入する設備の区分をしっかりと確認すれば、手続きの全体像が見えてきます。

公募要領をよく読み、申請方法や設備の種類をきちんと確認して、補助金を有効に活用しましょう。

参考:令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業

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