
中小企業の省力化製品の導入を支援する「中小企業省力化投資補助事業」が、2025年度に向けて再編されます。本記事では、現行制度との違いや、どのように運用改善されるのかを解説します。
※2月23日更新
中小企業省力化投資補助事業(一般型)の公募要領が公開されました。1次締切分の申請受付は、3月19日(水)10時から開始予定です。なお、本事業の公募は年間3~4回程度実施される予定です。
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この記事の目次
中小企業省力化投資補助金とは?
中小企業省力化投資補助金は、人手不足が深刻な中小企業が、自社の課題に応じた省力化製品を導入する際に、費用の一部を補助する制度です。制度は大きく一般型とカタログ注文型の2つに分類されます。
中小企業省力化投資補助金「一般型」
中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」
この補助金は「事業再構築補助金」の基金を利用して再編され、予算規模は約3000億円になる予定です。
参考:中小企業庁 中小企業省力化投資補助事業
従来の制度では、IoT技術を活用した機器やロボットなどの汎用製品を「製品カタログ」から選択して導入する方式でした。
2025年度からは、「カタログ注文型」に加え、現場ニーズや業務内容に対応できる「一般型」が新設されます。
この一般型では、企業が持つ特有の仕事の流れや事業内容に合わせた設備やシステムを取り入れられるようになるため、いわゆる「オーダーメイド」形式の支援として、柔軟な投資が可能になります。
2025年度の中小企業省力化投資補助金
現行制度では1/2の補助率ですが、2025年度では賃上げを実施する企業へのインセンティブが強化され、2/3への補助率引き上げが適用される予定です。また、新たな型では上限額も拡大し、従業員数101人以上の企業で最大1億円の補助が受けられます。
2025年度 中小企業省力化投資補助金の特徴
このように、2025年度の中小企業省力化投資補助金は、予算規模が3000億円に拡大し、補助上限額も最大1億円に引き上げられるなど支援が強化されます。
特に一般型でDX推進や大規模投資が可能となり、賃上げや最低賃金引き上げに取り組む企業には上限額の上乗せだけでなく、補助率引き上げの優遇措置も設けられ、中小企業の成長を後押しする内容となっています。
中小企業省力化投資補助金「一般型」
一般型は、中小企業それぞれの現場や事業内容に合わせて、省力化を実現するための設備やシステムを導入できる仕組みです。業務プロセスの自動化や効率化、ロボットによる生産の改善、さらにはデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進など、幅広い投資が対象です。この方式では、企業ごとのニーズに応じた柔軟な対応が可能で、より専門的で効果的な省力化が期待できます。補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合 | 上限額 | |
一般型 | 5人以下 750万円(1000万円) 6~20人 1500万円(2000万円) 21~50人 3000万円(4000万円) 51~100人 5000万円(6500万円) 101人以上 8000万円(1億円) |
1/2、小規模・再生 2/3 ※補助金額1500万円までは1/2もしくは2/3、1500万円を超える部分は1/3 ※最低賃金引き上げ特例:補助率を2/3に引き上げ(小規模・再生事業者は除く。) |
基本要件
中小企業省力化投資補助金における基本要件は以下の通りです。基本要件 |
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①労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加 ②1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上増加 ③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準 ④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ) |
また返還要件として以下のいずれかの要件を満たせなかった場合、交付された補助金を返還する必要がありますので、ご注意ください。
・基本要件の②が未達の場合
・基本要件の③が未達の場合
ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として当該事業年度の営業利益赤字の場合などや天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、返還が免除されることがあります。
基本要件のほか、その他の要件として、以下が定められています。
①補助事業者の業務領域・導入環境において、当該事業計画により業務量が削減される割合を示す省力化効果が見込まれる事業計画を策定すること。
②事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出すること。
③3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して付加価値額が増加する事業計画を策定すること。
④人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画を策定すること。
対象となる経費
対象となる経費は以下のとおりです。機械装置・システム構築費 | ①機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費 ②専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費 ③改良又は据付けに要する経費 ※1 生産性向上に必要な、防災性能の優れた生産設備等を補助対象経費に含めることは可能。 ※2 必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必要。 |
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運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費 |
技術導入費▲ | 知的財産権等の導入に要する経費 |
知的財産権等関連経費▲ | 特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用等 |
外注費◎ | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)す る場合の経費 |
専門家経費◎ | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用に関する経費 |
◎:上限額=補助対象経費総額(税抜)の1/2
▲:上限額=補助対象経費総額(税抜)の1/3
対象経費にかかる注意点として、本事業では設備投資が必要となっています。必ず単価が税抜で50万円以上の機器設置等を行う必要があります。また「機械装置・システム構築費」以外の経費は、総額で500万円(税抜き)までが補助上限額とれされていますのでこのあたりもご留意ください。
またその他のポイントとして以下が挙げられます。
・対象事業の経費における2/3以上が対象経費であること
・交付決定後の補助事業実施機関内の支払いが対象
・2社以上の見積もり
その他、対象経費とならない経費については公募要領をご確認ください。
申請スケジュール
中小企業省力化投資補助金「一般型」の申請スケジュールは以下の通りとなっております。第1回:
・受付開始:2025年3月19日(水) 10時開始〜
・受付締切:2025年3月31日(月)17:00
・採択発表日は2025年6月中旬(予定)
必要書類について
以下の様式が公式ページよりダウンロードすることができますので、申請前に事前に準備しておくことをおすすめします。・【指定様式】役員名簿
・【指定様式】株主・出資者名簿
・【指定様式】事業実施場所リスト
・【参考様式】大幅な賃上げに取り組むための事業計画書
・【指定様式】最低賃金引き上げにかかる要件確認書
・【指定様式】他の助成制度の利用実績確認書
・【指定様式】金融機関確認書
・【指定様式】労働者名簿
・【参考様式】事業計画書(その1〜2)
・【指定様式】事業計画書(その3)
中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」
カタログ注文型は、人手不足を解消する効果が期待できる製品を、あらかじめ用意された「カタログ」から選んで導入できる仕組みです。清掃ロボットや自動券売機、無人搬送車、スチームコンベクションオーブンなど、使いやすく即効性のある機器が対象となります。これにより、中小企業は複雑な手続きをせずに、簡単に省力化を進めることができます。補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合 | 上限額 | |
カタログ注文型 | 5人以下 200万円(300万円) 6~20人 500万円(750万円) 21人以上 1000万円(1500万円) |
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2025年2月28日より、カタログ注文型が変わります。主な変更点は以下の通りです。
■販売事業者の登録要件が緩和されます
販売店は、製造事業者からの招待不要で、販売事業者登録ができるようになります。
■補助金額(登録する販売価格)が、製造事業者の実績ベースから販売事業者の実績ベースになります
実際の販売状況を反映した補助額が設定されるようになります。
詳細な変更点や手続きの方法については、今後公開される公式資料を確認する必要があります。
参考:【重要】2025年2月28日(金)から中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)が変わります
まとめ
2025年度の中小企業省力化投資補助金は、現行制度と比較して支援範囲が広がる見込みです。これにより、中小企業はより効果的な省力化投資を通じて生産性向上を図ることが可能となります。ただし、補助金を活用するには、まず自社が抱える課題をはっきりさせることが大切です。そのうえで、どのような投資が必要かを考え、計画を立てる必要があります。新しい制度を使いこなして、会社の成長につなげていきましょう!
補助金の対象になるのかがわからない場合や、申請をすることが難しいと感じられる場合など、補助金活用のご相談は、お気軽に補助金ポータルまでお問い合わせください。