
トヨタ財団国内助成プログラムは「新常態における新たな着想に基づく自治型社会の推進」をテーマとした助成制度です。毎年4月から募集が開始され、2か月間程度で終了となります。活用するためには、早めの準備が必要です。
今回は参考として、2024年募集時の情報をまとめました。2025年のトヨタ財団国内助成プログラム応募の準備として、詳細を確認していきましょう。
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この記事の目次
トヨタ財団国内助成プログラムとは
昨今世界と日本を取り巻く環境は、急速に変化しています。新型コロナウイルスの世界的拡大や気候変動による異常気象・災害などのグローバルな問題が、日常生活にも直接影響を及ぼすようになっているのです。既存の社会システムや制度が抱える課題に対応し、情報技術も活用しながら、日本全体と各地域の持続可能性を高めていくことが求められています。
こうした課題を背景に、トヨタ財団国内助成プログラムでは「新常態における新たな着想に基づく自治型社会の推進」をテーマにした取組が助成されてきました。変化する「新常態」に対して市民・住民が柔軟に対応し、多様な主体との協力を通じて、課題を乗り越える力を育むことを目指します。
基本要件と応募団体の要件
トヨタ財団国内助成プログラムに応募するには、基本的な要件のほか、プログラムの要件をすべて満たしている必要があります。2024年の各要件を確認していきましょう。基本的な要件
トヨタ財団では、以下のすべてを満たすものを助成の対象としています。
■社会的な意義が大きいこと
■内外の課題を先取りするものであること
■未来志向であること
■持続可能性、発展可能性があること
■波及効果が期待されること
本プログラムでも、まずはこの基本要件に合致していることが採択の前提となります。
応募団体の要件
トヨタ財団国内助成プログラムの主な応募団体要件は、以下のとおりです。
■プロジェクトの目的・目標の実現に向けて必要な人材や組織が協力した「プロジェクトチーム」での応募であること
■企画や調査フェーズにおける取り組みの一定の実績が確認できること
■運営の中心を担う団体の組織体制や財政規模、事業実績などが確認できること
■目的や活動内容が特定の政治・宗教などに偏っていないこと
■反社会的勢力とは一切関わりがないこと
なお「プロジェクトチーム」とは、運営の中心を担う団体が他のNPOや公益法人、企業、自治体、大学等と連携し、プロジェクトが実施・推進されていく体制を指します。
助成カテゴリー
本プログラムの助成は、カテゴリーごとに実施されます。助成カテゴリーは、以下の2つです。
①日本における自治型社会の一層の推進に寄与するシステムの創出と人材の育成
②地域における自治を推進するための基盤づくり
市民・住民一人ひとりが暮らしや社会を支える自律的な担い手となることを目指し、自治体や教育機関、企業や民間事業者、地縁組織やNPOなど多様なアクターと協力する取り組みが対象です。
各カテゴリーの概要を見ていきましょう。
①日本における自治型社会の一層の推進に寄与するシステムの創出と人材の育成
■対象 日本全体で自治型社会が推進されていくことを目的とする、以下のプロジェクト ・各地域における自治の基盤づくりの動きを支え、促進する ・社会全体に波及する仕組みや制度づくり、その担い手となる人材の育成に取り組む |
社会的企業のスタートアップも含みます。
■プロジェクト要件 ①分野/領域横断的で、職種や属性、物理的距離などの境界を超えた連携・協力体制による取組であること ②既存の仕組みや従来からの手法を疑う・問う視座に基づく調査や実践を通じて、日本全体への普及や波及などを見据えていること ③特定地域での既存の取り組みの分析・検証等を踏まえて、助成期間中に新た2地域以上で実践・展開すること ④プロジェクトに適したデジタル技術を活用した検証・分析・提唱・実装などのプロセスが組み込まれていること |
■助成期間
2024年11月1日~2027年10月31日(3年間)
■助成上限額
1500万円
②地域における自治を推進するための基盤づくり
■対象 一人ひとりの「暮らし」を起点にした、以下の項目の基盤を作るプロジェクト ・地域資源や人と人の関係性を見つめ直す ・多様な関係者との対話を重ねる ・在りたい姿の実現を目指す |
地域内の主体性や参加・協力の仕組みを育てる取組が対象です。
■プロジェクト要件 ①分野/領域横断的で、職種や属性、物理的距離などの境界を超えた連携・協力体制による取り組み ②対象地域での実践を通じて、他地域への普及や応用が可能な人々の価値観の変容を促す「知」の検証・分析の視点が含まれていること ③プロジェクト関係者の参加や情報基盤の整備といった点でデジタル技術やICTが活用されていること |
■助成期間
2024年11月1日~2026年10月31日(2年間)
■助成上限額
600万円
対象経費
対象となる経費は、「人件費や事務局諸経費を含むプロジェクト実施に必要な費用」です。主な項目は、以下のとおりです。
■人件費
■借料・水道光熱費
■謝金
■委託費
■旅費
■通信・運搬費
■機械・器具・備品費
■消耗品費
■会議費
■印刷・製本費
■その他諸経費
詳細は応募者専用ページからダウンロードできる、「企画書(書式)」の末尾にて確認してください。
2024年助成対象プロジェクト
財団ウェブサイトでは、2024年度の助成対象となったプロジェクトが公表されています。ここではそのうちのいくつかを見ていきましょう。
①日本における自治型社会の一層の推進に寄与するシステムの創出と人材の育成 ■共創的なプラットフォームを起点に医療福祉を入口とした複数領域横断でのまちづくり 助成金額 1000万円 ■地域内外の交流を通じたコミュニティレジリエンス向上による自治型社会の実現 助成金額 1000万円 |
②地域における自治を推進するための基盤づくり ■「流粋暮らしネットワーク」プロジェクト 助成金額 416万円 ■「地域に必要なものは自分たちでつくる!」鎌倉の新しい魚屋から波及する住民活動 助成金額 550万円 ■しがらみでもないおまかせでもない“弱いつながり”がつくるまち 助成金額 600万円 |
ウェブサイトには、企画書も公開されています。ぜひ参考にしてください。
申請方法・スケジュール
それでは申請の方法や、全体のスケジュールを見ていきましょう。なおここでの情報は、2024年のものです。申請準備の参考として、役立ててください。
応募の流れ
応募はトヨタ財団ウェブサイトから行います。主な流れは、以下のとおりです。
①応募者情報の登録
トヨタ財団ウェブサイトにて、応募エントリーを行います。
②応募書類の作成
トヨタ財団からの届く通知に記載された応募者専用ページにて、「企画書」をダウンロードします。そのほか、必要な情報はシステム内に記入してください。
③応募書類の提出
応募者専用ページから、企画書を提出します。その後、応募完了通知が届かない場合は、事務局まで問い合わせてください。
なお事前に、オンラインや各地域での説明会が開催されます。日時や申込方法などはウェブサイトで確認してください。また、事前相談も可能です。そのほか、2024年のプログラム全体の流れは以下の図も参照してください。
出典:公益財団法人 トヨタ財団「2024年度 国内助成プログラム 募集要項」より抜粋
応募期間
2024年の応募期間は、以下のように設定されていました。
2024年4月8日(月)~6月11日(火)15時
2025年も同程度の期間に設定されることが推測されます。
選考基準
採択には審査が行われます。主な選考基準は、以下のとおりです。
①団体要件を満たしているか ②本プログラムの要件や趣旨に合致しているか ③プロジェクトの目的や目標の達成に向けて、以下の点が十分に評価・判断できるか ・適切な手法やプロセスが計画されており、その実現に向けた実施体制やスケジュール、予算が十分に考えられていること ・助成期間終了後の持続や展開を見据えての体制を含む戦略づくりや具体のアクションプランの策定が計画されており、その要点が読み取れること ④本プログラムで期待する結果や成果を満たし、日本社会/地域社会の持続可能性や発展可能性を高め、自治型社会の推進につながるプロジェクトとして期待できるか |
要項をしっかり確認し、趣旨にあった取組を計画しましょう。
注意点
応募は電子メールや郵送、持ち込み、FAXでは行えません。必ずウェブサイトからエントリーしてください。必要な資料は「基本情報」および「企画書」のみです。また応募期間締切の直前は、回線が混雑し送信できない可能性があります。早めに応募してください。
まとめ
トヨタ財団国内助成プログラムは、「新常態における新たな着想に基づく自治型社会の推進」をテーマとした助成制度です。募集期間は、毎年4月頃から約2か月間です。早めに準備を行いましょう。
応募には社会的意義、未来志向、持続可能性などの基本要件を満たし、多様な団体で構成された「プロジェクトチーム」である必要があります。助成カテゴリーは「日本における自治型社会の推進に寄与するシステムの創出と人材の育成」と「地域における自治を推進するための基盤づくり」の2種類です。
地域自治の活性化は、国内全体の豊かさにもつながります。トヨタ財団国内助成プログラムをはじめとした支援制度を上手に活用し、持続可能な地域発展を目指しましょう。