長く住む家のことだから、住宅にも省エネの工夫を取り入れて、少しでも節約につなげたいものです。とはいえ、リフォームや住宅購入時に省エネ設備を取り入れるには、費用がかかります。
お得に省エネ住宅の購入やリフォームを行うには、補助金の活用がおすすめです。国土交通省では、2024年(令和6年)「質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅への支援(住宅省エネ2024キャンペーン)」を実施しています。本事業では、食洗器の設置をはじめとする、子育て世帯の家事負担軽減設備も補助の対象です。
今回は食洗器設置を中心に、住宅省エネ2024キャンペーンの一つ、子育てエコホーム支援事業について見ていきましょう。
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この記事の目次
2024年の住宅補助金「子育てエコホーム支援事業」
住宅の取得やリフォームに使える補助金には、多くの事業が設置されてきました。これまでに設置された補助金の概要と、2024年の住宅補助金について確認しておきましょう。
【これまでの住宅省エネ補助金】
国土交通省では2022年に「こどもみらい住宅支援事業」、2023年には「子育てエコホーム支援事業」が行われました。
また2023年には「住宅省エネ2023キャンペーン」として、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて家庭部門の省エネを推進する施策が打ち出されました。これは住宅の断熱性の向上や高効率給湯器の導入等の住宅省エネ化を支援するものです。具体的には、「質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅への支援(住宅省エネ2024キャンペーン)」の前身である「こどもエコすまい支援事業」のほか、「先進的窓リノベ事業の後継事業」と「給湯省エネ事業」の3つの施策が設置されました。
いずれの施策も人気が高く、当初の予定より締め切りが前倒しとなりました。2022年「こどもみらい住宅支援事業」は11月29日、2023年の「子育てエコホーム支援事業」は9月29日に終了しています。2024年も同様に、各施策は早期に申請が集中することが予想されます。
【予算に対する補助金申請額の割合】※11月19日更新
子育てエコホーム支援事業の公式サイトによると、2024年11月19日時点での予算に対する補助金申請額の割合は以下の通りです。
新築住宅:73%
リフォーム:70%
これらの情報から、予算の2/3以上が既に申請されていることがわかります。補助金申請額が予算上限(100%)に達し次第、交付申請の受付は終了しますので、申請を検討されている方は早めの手続きをおすすめします。
住宅補助金「子育てエコホーム支援事業」はいつから
子育てエコホーム支援事業の交付申請は、2024年4月2日から開始となっています。対象となる工事は2023年11月2日以降のもので、すでに着工されている工事も、要件を満たせば補助の対象となります。
なお、対象工事は以下のとおりです。
新築 | 基礎工事より後の工程の工事 |
リフォーム | リフォーム工事 |
本事業の申請は登録事業者によって行われます。すでに工事に着工している場合は、申請可能かどうか、担当者に確認してみましょう。
住宅補助金「子育てエコホーム支援事業」とは?
前述のとおり、本事業の申請は、注文住宅の新築工事もしくは新築分譲住宅の販売、住宅のリフォーム工事を行う事業者が行います。工事発注者や住宅購入者となる一般消費者は申請者にはなれませんので、注意してください。
また、対象となるのは以下の場合です。
■子育て世帯または若者夫婦世帯が取得する、長期優良住宅又はZEH住宅についての注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入
■世帯を問わず対象工事を実施するリフォーム
対象となる子育て世帯
注文住宅の新築および新築分譲住宅の購入については、子育て世帯または若者夫婦世帯が取得する場合に限り、補助の対象となります。具体的には次のような世帯を指します。
子育て世帯とは | 「子育て世帯」とは、申請時に18歳未満の子どもを持つ家庭のことです。子どもの年齢は、令和5年4月1日時点で、2005年4月2日以降に生まれた子どもを指します。ただし、令和6年3月末までに工事を開始する場合は、2004年4月2日以降に生まれた子どもが対象となります。 |
若者夫婦世帯とは | 「若者夫婦世帯」とは、申請時に夫婦であり、令和5年4月1日時点でいずれかが39歳以下(1983年4月2日以降生まれ)である家庭を指します。ただし、令和6年3月末までに工事を開始する場合は、令和4年4月1日時点で39歳以下(1982年4月2日以降生まれ)の条件が適用されます。 |
そのほか、補助対象事業や対象期間などの詳細を見ていきましょう。
補助対象期間と対象住宅の要件
各事業の補助対象期間は、以下のとおりです。
カテゴリー | 条件 |
注文住宅の新築ならびに新築分譲住宅の購入 | 2023年11月2日以降、基礎工事より後の工程の工事に着手したもの ただし、申請時に工事が一定以上の出来高に達し、別途定める期間内に申請・完了報告が可能なものに限る |
リフォーム | 2023年11月2日以降に工事に着手したもの ただし、別途定める期間内に申請が可能なものに限る また、工事請負契約後に行われる工事であることが必要 |
【対象住宅の要件】
補助対象となる住宅の条件は、【注文住宅の新築ならびに新築分譲住宅の購入】、【リフォーム】それぞれ以下のとおりです。
新築の注文住宅または分譲住宅の購入に関わる要件 |
①以下のいずれかに該当するもの ■長期優良住宅 長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅で、所管行政庁にて認定を受けたもの ■ZEH住宅 強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有するもの |
②以下の全てに該当するもの ■住戸の延べ面積が50㎡以上240㎡以下 ■原則として、土砂災害特別警戒区域又は災害危険区域に立地しない ■申請者が、都市再生特別措置法の規定による勧告に従わなかった者でない なお、申請する際には、登録住宅性能評価機関等の第三者機関による証明書等が必要です。 |
リフォームでは、次の①~⑧に該当する工事等が対象です。ただし、①~③の工事のいずれかが必須です。また、原則として1申請の合計補助額が5万円未満の場合は、申請できません。
リフォームに関わる要件 |
①開口部の断熱改修 以下のいずれかに該当する、改修後の開口部の熱貫流率および日射熱取得率が一定の基準値以下となるように行う工事 ■ガラス交換 既存窓を利用して、複層ガラス等に交換するもの ■内窓設置 既存窓の内側に窓を新設するもの、および既存の内窓を取り除き、新たな内窓に交換するもの ■外窓交換 既存窓を取り除き、新たな窓に交換するもの、および新たに窓を設置するもの ■ドア交換 既存のドアを取り除き、新たなドアに交換するもの、および新たにドアを設置するもの |
②外壁、屋根・天井または床の断熱改修 改修後の外壁、屋根・天井または床の部位ごとに、一定の使用量以上の断熱材を使用する断熱改修 |
③エコ住宅設備の設置 次の住宅設備を設置する工事 ■エコ住宅設備 ・太陽熱利用システム ・節水型トイレ ・高断熱浴槽 ・高効率給湯器 ・節湯水栓 ・蓄電池 |
④子育て対応改修 1. 家事負担の軽減に資する設備を設置する工事 ■対象設備 ・ビルトイン食器洗機 ・掃除しやすいレンジフード ・ビルトイン自動調理対応コンロ ・浴室乾燥機 ・宅配ボックス 2. 防犯性の向上に資する開口部の改修工事 3. 生活騒音への配慮に資する開口部の改修工事 4. キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事 |
⑤防災性向上改修 防災性の向上に資する開口部の改修工事 |
⑥バリアフリー改修 ■対象工事 ・手すりの設置 ・段差解消 ・廊下幅等の拡張 ・衝撃緩和畳の設置 |
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 |
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入 国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱う、リフォーム瑕疵保険および大規模修繕工事瑕疵保険 |
なお、申請する際には、対象工事に関する証明書等が必要です。
いくらもらえる?住宅補助金「子育てエコホーム支援事業」の補助額
各事業の主な補助金額は、以下のとおりです。
【注文住宅の新築ならびに新築分譲住宅の購入】
①長期優良住宅:100万円
②ZEH住宅:80万円
なお、以下の両方に該当する区域に立地している住宅は、補助額が原則半額になります。
■市街化調整区域
■土砂災害警戒区域又は浸水想定区域
【リフォーム】
リフォーム工事の内容に応じて、補助金額が異なります。各該当箇所の面積や窓ガラス等の枚数に補助金額が定められ、その合算で補助金額を算出する仕組みです。
なお、上限額は、以下のとおりです。
①子育て世帯・若者夫婦世帯:上限30万円
②その他の世帯:上限20万円
子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅購入を伴う場合は上限60万円、長期優良リフォームを行う場合は、子育て世帯・若者夫婦世帯が上限45万円、その他の世帯が上限30万円です。
食洗機設置等リフォームは「子育て対応改修」に該当
では、食洗器設置等のリフォームに関わる補助金について、もう少し詳しく見ていきましょう。「子育てエコホーム支援事業」では、リフォーム工事補助事業の中に「子育て対応改修」が含まれます。
そのうち「家事負担の軽減に資する設備を設置する工事」では、食洗器をはじめ、家事軽減を目指すリフォーム工事等が補助の対象です。
子育て対応改修 補助金額
対象となる工事と各補助額は、以下のとおりです。
■ビルトイン食器洗機
2万1,000円
■掃除しやすいレンジフード
1万3,000円
■ビルトイン自動調理対応コンロ
1万4,000円
■浴室乾燥機
2万3,000円
■宅配ボックス
・住戸専用の場合1万1,000円
・共用の場合1万1,000円
1つの宅配ボックスに4つのボックスが設置されている場合、補助額は4万4,000円となります。
子育て対応改修 対象設備
子育て対応改修の対象となる設備には、基準が設けられています。各設備の基準は、以下のとおりです。
■ビルトイン食器洗機
電気用品安全法に規定する「電気食器洗機」で、組込型であること。
■掃除しやすいレンジフード
次のすべてを満たすものであること。
①電気用品安全法に規定する「換気扇」である
②レンジフードのファンの形態が「遠心送風機型」である
➂「整流板」、「グリスフィルター」、「ファン」、「油受け皿」のいずれかの部品を備えている場合、そのすべてが以下の仕様構造になっている
・工具を使用することなく、使用者が着脱可能であることで、洗い掃除を可能としている
・レンジフードの清掃の際、油煙汚れを除去し易くするための「はつ油(性)処理」を施している
■ビルトイン自動調理対応コンロ
「ガスこんろ」または、「電磁誘導加熱式調理器」のうち、以下の機能を有するもの
①こんろ部に、設定した温度に自動で調節する自動温度調節機能がある
②こんろ部またはグリル部に、調理開始から調理終了まで手動で操作を行わずに調理する自動調理機能がある
➂炊飯機能がある
■浴室乾燥機
「電気乾燥機」、「換気扇」または「ファンコイルユニットおよびファン付コンベクター」で、換気運転等と連動し、温風で浴室内や浴室内に干された衣類の乾燥を行うもの。なお、浴室内の天井又は壁に設置されたものに限る。
■宅配ボックス
次のすべてを満たすもの
①保安性、保管箱の防水性等の機能が確保されている
②保管箱の剛性、錠の施錠強さ等の機械的な抵抗力および安定性が確保されている
➂使用時の安全性及び保安性が確保されている
④表面の抵抗性、部材の耐久性が確保されている
リフォームで補助金を受け取るための条件
前述の通り、リフォーム工事で補助の対象となるには、「開口部の断熱改修」、「外壁、屋根・天井又は床の断熱改修」または「エコ住宅設備の設置」のいずれか施工が必須です。
「子育て対応改修」、「防災性向上改修」、「バリアフリー改修」、「空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置」、「リフォーム瑕疵保険等への加入」は単独では申請ができませんので、注意してください。
ただし、環境省が実施する「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」、経済産業省が実施する「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」および「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」において交付決定を受けている場合は、「子育て対応改修」等の単独申請が可能です。
住宅補助金「子育てエコホーム支援事業」申請について
それでは、申請について見ていきましょう。書類の提出を含めた申請手続きは、申請者がオンラインで行います。
申請の流れと予約期間
本事業の申請は事業者が行い、交付金は全額住宅取得者等へ還元されます。申請にあたっては還元方法について、予め両者で同意が必要です。また、住宅事業者は、「補助事業者」として事業者登録を受ける必要があります。
全体の申請フローは、以下の図も参照してください。
出典:国土交通省 子育てエコホーム支援事業の内容について
なお、リフォーム工事の場合の、工事と手続きの流れは以下のとおりです。
申請の流れ |
1.申請前 施工業者の基礎的情報を事務局に登録します。この時点で住宅(物件)の特定は必要ありません。施工業者と工事発注者は、工事請負契約と併せて、補助事業の共同実施に関する規約を締結します。なお、工事着手後に補助金の予約申請が可能です。 |
2.交付申請 施工業者は、すべての工事の完了後に、事務局に交付申請を行います。 |
3.交付決定 事務局の審査が完了次第、交付が決定されます。その後、所定の請求手続を経て、補助金が交付されます。補助金は施工業者から、工事発注者に還元されます。 |
出典:子育てエコホーム支援事業について
【予約期間】
以下の期間中は、工事着手後に補助金の交付申請の予約が可能です。予約によって補助金が一定期間確保されます。
2024年3月下旬~予算算上限に達するまで(遅くとも令和6年11月30日まで)
ただし予約提出後3ヶ月以内(リフォーム一括申請については9ヶ月以内)、または2024年12月31日のいずれか早い日までに交付申請の提出が無かった場合、その予約は取り消されます。
また予約の完了はあくまでも着工から交付申請までの期間に予算の確保をするためだけのものであり、交付申請可能な期間に交付申請を行って交付決定されない限り、補助金交付は確定されません。
スケジュール
申請のスケジュールは、以下のとおりです。
申請スケジュール |
1.対象となる建材・設備の公募 2023年12月下旬~遅くとも2024年11月30日(予定) |
2.事業者登録 2024年1月中旬~遅くとも2024年12月31日(予定) |
3.予約提出期間 2024年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2024年11月30日まで) |
4.交付申請期間 2024年3月中下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで) |
5.着工 |
6.完了報告 注文住宅の新築と新築分譲住宅の購入は、事業者の完了報告が必要です。 |
住宅省エネ支援事業者の検索方法
住宅省エネ2023キャンペーンに参加していた事業者は、辞退申請をしない限り、自動的に住宅省エネ2024キャンペーンへ継続参加となります。
登録した事業者のうち、希望する事業者は事務局のホームページ上で情報公開が行われます。公表されていない事業者の登録有無については、事業者に直接お問い合わせください。
まとめ
2024年の住宅補助金は、2023年と同様、新築住宅の購入やリフォームが対象です。2023年に着工された工事も対象となることがありますので、対象期限を確認し、事業者に相談してみましょう。
住宅の省エネは、生活費の固定費部分の金額を大きく左右する要素です。補助金を上手に活用し、費用的負担を抑えて住宅の省エネ化を行うことで、将来的に光熱費が大きく抑えられます。
また、食洗器などの家事ラク設備の導入も補助の対象です。この機会に、家の省エネや家事の負担軽減について、見なおしてみてくださいね。
参考:子育てエコホーム支援事業