
都市部における建築物の木造化・木質化は、森林循環の促進や地域材の活用促進など、多面的な効果が期待されています。こうした背景のもと、東京都では「中・大規模建築物の木造木質化支援事業」を通じて、都内の民間建築物における木材利用を後押ししています。今回は、本補助制度の目的や支援内容、申請にあたってのポイントについて解説します。
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この記事の目次
中・大規模建築物の木造木質化支援事業とは
本補助事業は、東京都が実施する木材利用の推進施策のひとつです。主要構造部に一定量以上の国産木材や多摩産材を使用する中・大規模の建築物を対象とし、実施設計および建築工事にかかる費用の一部を補助するものです。あわせて、木造建築物の普及に寄与する広報活動などへの協力も求められています。
設計支援を申請する際は、設計のみで工事契約に至らない計画は補助の対象外となるためご注意ください。申請にあたっては、工事実施までを見据えた計画が必要です。
補助率・補助額
本事業では、設計段階および工事段階のそれぞれに対して、補助率・補助上限が設定されています。規模の大きい民間建築プロジェクトに対しても対応できる内容となっています。【設計支援に関する補助内容】
補助対象経費 | 実施設計(設計委託等)にかかる経費 |
---|---|
補助率 | 経費の1/2以内 |
補助額 | 下限500万円〜上限5,000万円 |
※設計支援のみで工事に至らない案件は補助対象外
【工事支援(施工)に関する補助内容】
補助対象経費 | 木造・木質化に係る工事経費、または建築工事費の一部 |
---|---|
補助率 | 経費の1/2以内 または 建築工事費の15%以内(いずれか低い方) |
補助額 | 下限5,000万円〜上限5億円 |
なお、一部が木造または混構造である場合は、確認申請に記載された延床面積に基づき、対象部分の割合に応じて工事経費を按分し、補助額が算出されます。
対象者と対象要件
本制度の対象となるのは、東京都内で中・大規模の民間建築物を新築または改築しようとする事業者です。申請にあたっては、以下の条件を満たしている必要があります。
- 補助対象経費のうち、補助対象外部分について自己資金や金融機関からの借入で賄うことができること
- 国や地方公共団体等の公的機関ではないこと
【対象施設】
対象施設は、東京都内に所在し、都民の目に触れる中・大規模の民間施設(オフィスビルや商業施設など)です。原則として住宅部分は補助対象外ですが、申請者が自ら運営する社宅や寮、またはこれに準ずる施設については対象に含まれます。
申請スケジュール
本制度の申請受付は、令和4(2022)年6月23日から令和8(2026)年9月30日までとなっています。補助金は予算の範囲内で交付されるため、申請を検討している場合は早めの準備が重要です。
令和4(2022)年6月23日から令和8(2026)年9月30日
なお、支援対象事業の条件としてそれぞれ以下が定められていますので、スケジュール管理と段階的な準備を計画的に進めましょう。
•設計支援:令和9年(2027年)2月末日までに、実施設計委託費の支払いを完了し、かつ工事に着手していること
•工事支援:令和13年(2031年)2月末日までに、工事請負代金の支払いを完了していること
まとめ
中・大規模建築物の木造木質化支援事業」は、都内の民間事業者による木造・木質化の建築を対象に、設計および工事にかかる費用の一部を補助する制度です。
都市における木材利用を支援するこの制度は、環境への配慮と建築分野における木造化の推進を両立させる取り組みとして位置づけられています。中・大規模の建築計画において木造・木質化を検討している事業者の方は、この制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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