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AI導入費用を最大4/5カット!2026年度 中小企業がAI開発・研修に使える補助金を目的別に解説

公開日:2026/4/25 更新日:2026/6/11
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「生成AIを業務に取り入れたいが、ツール導入費や研修費をどう捻出すればよいか悩ましい」「自社オリジナルのAIシステムを開発したいものの、数千万円規模の投資は経営判断として重い」――こうした声をよく耳にするようになりました。経済産業省の調査によれば、中小企業におけるAIの導入率はわずか5%前後に留まっており、関心はあっても一歩を踏み出せない事業者が大半を占めています。

一方で、国は令和7年度補正予算で中小企業向けの生産性向上支援策に総額7,500億円規模を投じ、デジタル化・AI導入補助金には3,400億円が計上されました。2026年度は、単なるIT化ではなく「AIを使った抜本的な省力化」こそが予算配分の主眼になっています。さらに各都道府県・市区町村も独自のDX・AI関連補助金を相次いで打ち出しており、AI活用に踏み切る事業者にとって、補助金・助成金の追い風が過去にないほど強まっているタイミングと言えるのではないでしょうか。

この記事では、2026年6月時点で公募中・公募予定のAI関連補助金・助成金を網羅的に整理し、国の主要制度から地方自治体の独自制度まで、目的別・地域別に解説します。自社の取り組みに最もフィットする制度を見つけるための地図として、ぜひご活用ください。

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この記事の目次

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AI導入コストの現実と、2026年度補助金の位置づけ

AI活用といっても、その中身は多岐にわたります。ChatGPT等の汎用生成AIをサブスクリプションで契約する使い方もあれば、自社業務に特化したAIチャットボットを導入するケース、さらには独自データを学習させたAIシステムを受託開発するといった本格投資まで、費用感はピンキリです。
一般的な相場を整理すると、既製SaaS型のAIツール導入で月額数千円〜数万円、AI-OCRやAIチャットボットの導入で初期費用50万〜300万円、自社専用のAIシステム開発では500万〜数千万円がひとつの目安となります。この幅の広さが、「自分たちはどの補助金を使うべきか」を分かりづらくしている最大の要因です。

2026年度の補助金設計のキーワードは「AI活用」「省力化」「賃上げ」

2026年度の中小企業向け補助金は、3つのキーワードで貫かれています。「AI活用」「抜本的な省力化」「持続的な賃上げ」の3点セットです。従来の「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」へと名称変更されたことは、この方針を象徴しています。
重要なのは、補助金ごとに想定している「AI活用のフェーズ」が違うという点です。既存の市販AIツールを導入するだけなら比較的ハードルの低い制度が適していますが、自社専用のAIシステム開発や、AIを組み込んだ新事業立ち上げとなると、補助額も要求される事業計画のレベルも格段に上がります。まずは全体像を押さえてから、自社の取り組みに合う制度を絞り込んでいきましょう。

AI導入に使える補助金・助成金の全体マップ(国制度+自治体制度)

2026年6月時点で公募中・公募予定のAI活用関連補助金は、大きく4つのカテゴリに整理できます。まずは一覧表で全体像を把握してください。

【カテゴリ別】AI導入で使える補助金・助成金マップ
カテゴリ制度名補助上限主な活用シーン
A. 既存AIツール導入向け(国)①デジタル化・AI導入補助金(全5枠)最大3,000万円生成AI・AIチャットボット・AI-OCR等のSaaS導入
B. AI開発・AI設備導入向け(国)②中小企業省力化投資補助金(一般型)最大1億円AIシステム開発・AI連携設備の導入
③中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)従業員規模で変動AI搭載ロボット・AI券売機等の導入
④中小企業新事業進出促進補助金最大9,000万円AI活用の新事業・新サービス立ち上げ
⑤ものづくり補助金最大4,000万円AI検査装置・AI搭載製品の開発
C. AI人材育成向け(国)⑥人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)1人50万円/1事業所1億円生成AI研修・ChatGPT研修・AIリテラシー研修
D. 東京都独自制度⑦躍進的な事業推進のための設備投資支援事業最大2億円都内事業者のAI搭載設備・ソフトウェア導入
⑧東京都の各種AI・DX関連補助金(販路拡大・知財・商店街等)制度により変動AI関連の出展・知財取得・商店街DX
E. 道府県・市区町村の地域別補助金⑨全国15自治体の独自DX・AI関連補助金10万円〜1,000万円地域内中小企業のAI・DX導入支援
一言でまとめれば、「まずAIツールを試したい」ならカテゴリA、「本格的にAIシステムを作り込みたい・AI搭載設備を入れたい」ならカテゴリB、「社員のAIリテラシーを底上げしたい」ならカテゴリCとなります。東京都内の事業者はカテゴリDを、その他の地域の事業者はカテゴリEを国の制度と組み合わせて活用することが可能です。

ここからは、各制度の中身を順に見ていきます。

既存AIツール導入向け:デジタル化・AI導入補助金(公募中・公募予定)

まず最も間口が広く、活用しやすいのがデジタル化・AI導入補助金です。2025年度まで「IT導入補助金」として運用されてきた制度が、2026年度から名称変更されました。

①デジタル化・AI導入補助金の概要

デジタル化・AI導入補助金(2026年度)
所管経済産業省・中小企業庁/事務局:TOPPAN株式会社
対象者中小企業・小規模事業者・個人事業主
補助上限額枠により最大100万円〜3,000万円
補助率枠・類型により異なる(1/2〜4/5)
対象経費AI搭載ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、ハードウェア(インボイス枠)
申請枠通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠

5つの申請枠と公募スケジュール(3次・4次)

2026年6月時点で3次締切が公募中、4次締切が公募予定となっています。枠ごとの補助上限額・補助率・対象経費は次の通りです。

デジタル化・AI導入補助金2026 申請枠別一覧
申請枠補助上限額補助率主な対象経費
通常枠450万円1/2(下限額5万円〜)ソフトウェア購入費・関連オプション・役務費用
インボイス枠(インボイス対応類型)350万円ITツール:3/4〜2/3、PC等:1/2ソフトウェア・クラウド・ハードウェア・導入関連費
インボイス枠(電子取引類型)350万円中小企業:2/3、その他:1/2クラウド利用料
セキュリティ対策推進枠100万円中小企業:1/2、小規模:2/3(下限5万円)セキュリティサービス利用料
複数者連携デジタル化・AI導入枠3,000万円1/2〜4/5(類型により異なる)ソフトウェア・クラウド・AIカメラ・デジタルサイネージ等

2026年度3次・4次締切の公募スケジュール

デジタル化・AI導入補助金2026 公募スケジュール
締切回公募期間ステータス
3次締切(通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠)2026年6月16日〜7月21日公募中
3次締切(複数者連携枠 ※2次締切扱い)2026年6月16日〜8月25日公募中
4次締切(通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠)2026年7月22日〜8月25日公募予定

2026年度の主な変更点

2026年度からは「AI機能搭載ツール」を条件にした絞り込み検索が可能になり、生成AI・AIチャットボット・AI-OCRなどが明示的に対象化されました。AI活用による業務効率化案は、審査でも高く評価される傾向にあります。
ただし注意が必要なのが、事前に登録されたITツールのみが補助対象になる点です。導入したいAIツールが登録リストに含まれているか、申請前に必ず確認してください。また、申請はIT導入支援事業者と共同で進める仕組みとなっており、単独で自由に好きなツールを選べるわけではありません。

どんな企業に向いているか

この補助金が特に向いているのは、「まずは身近な業務からAIを取り入れてみたい」「ChatGPT業務活用ツールや会計AI・AI-OCR等の市販SaaSを導入したい」と考えている企業です。自社でAIをゼロから開発するわけではなく、既に世の中に出回っているAI搭載ソフトウェアを業務に組み込みたい場合に適しています。
2025年度(旧IT導入補助金)の採択率は7次締切時点で全体で約43.6%となっており、「出せば通る」時代は終わりました。採択のカギは、課題→解決策→数値目標の一貫性と、労働生産性向上の定量的な根拠です。

デジタル化・AI導入補助金とは?【2026年・令和8年度】補助率や申請枠・変更点についても解説

【2026年度】デジタル化・AI導入補助金の対応ITツール・対象ソフト一覧を紹介

AI開発・AI設備導入向け:国の4制度を比較

「既製のAIツールでは自社の課題を解決できない」「独自のAIシステムを作り込みたい」「AIを組み込んだ新事業を立ち上げたい」――こうした本格的なAI活用に踏み切る場合は、補助額も事業計画の深さも一段階上がる4つの制度が候補となります。

②中小企業省力化投資補助金(一般型)第7回公募

2026年度にAI開発・AI搭載システム導入で最も注目したいのが、省力化投資補助金の一般型です。第7回公募が2026年6月に開始されました。オーダーメイド性のある設備投資を支援する枠組みで、最大1億円・補助率最大2/3という規模感は国の補助金の中でも有数です。

中小企業省力化投資補助金(一般型)第7回公募
所管中小企業庁・中小機構
補助上限額従業員20人以下:750万円〜/従業員21〜50人:1,500万円〜/51〜100人:3,000万円〜/101人以上:1億円
補助率中小企業:1/2(大幅賃上げ特例で2/3)/小規模事業者・再生事業者:2/3
対象経費機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費
主な要件投資回収期間5年以内、労働生産性年平均成長率+4.0%以上、給与支給総額年平均成長率+3.5%以上
スケジュール第7回公募:2026年6月上旬公募開始/7月上旬申請受付開始/7月下旬申請締切予定
第7回の主な変更点歯科医業を営む医療法人が補助対象に追加/補助対象外事業者・経費の範囲拡大/新たな加点項目の追加

採択事例に見るAI活用の広がり

過去公募ではAI関連の事業計画が業種横断で多数採択されています。その幅広さを業種別に整理すると、次のような傾向が見えてきます。

  • サービス業:美容サロン向けAI経営DX(予約・会計・分析業務の省力化)、AI施術ロボット導入、AIチャットボットによる顧客管理・契約手続きの自動化
  • 建設業:現場の安全管理におけるAIマネジメント、AI積算システム、ICT建機とAI連携
  • 食品・製造業:AIによる異物除去工程の完全自動化、AI画像検査装置、AI予測による生産最適化
  • 物流・小売業:AIピッキングカート、AI搭載レジ、AI予測・提案による販促自動化・EC運用の省力化
  • バックオフィス:生成AI×OCRによる経理業務の省力化、AI基幹システムによる事務自動化
  • IT・広告業:AIエージェントを用いたWeb制作自動化、AI生成技術を活用した動画制作工程の自動化、AI広告運用自動化
  • 医療・畜産:AI活用エコーによる診療時間短縮、AIカメラによる牛群遠隔管理

このように、ほぼあらゆる業種でAI活用が採択対象となっているのが大きな特徴です。採択を勝ち取るポイントは、「AIを導入する」だけではなく、どの業務のどれだけの工数を削減し、どれだけの付加価値を生み出すのかを、定量的な投資回収計画として説明できるかにあります。

省力化投資補助金 一般型とは?最大1億円・対象・補助上限・申請の流れ【2026年最新】

省力化補助金「一般型」vs「カタログ注文型」どちらを選ぶべき?違いと選び方をわかりやすく比較解説

③中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)

一般型がオーダーメイド投資なのに対し、カタログ注文型は事務局があらかじめ登録したカタログから製品を選んで申請する簡易型です。手続きが簡単で審査もスピーディという利点があります。
AI関連では、AI搭載清掃ロボット、配膳ロボット、自動精算機、AI券売機、AI搭載自動釣銭機といった汎用製品が対象となっています。自社業務が「カタログに載っている製品で解決できる」ケースでは、まずこちらを検討するのが近道です。補助率は1/2(小規模事業者は2/3)、補助上限額は従業員規模によって変動し、2026年3月19日の制度改定以降は申請受付期間が2027年3月末頃まで延長され、従業員20人以下の事業者の上限額が大幅に引き上げられました。

省力化投資補助金「カタログ注文型」とは?対象製品・補助額・申請の流れを解説【2026年度】

④中小企業新事業進出促進補助金(第4回公募 6月19日締切)

2026年度のAI活用補助金の目玉とも言えるのが、中小企業新事業進出促進補助金です。第4回公募の応募締切は2026年6月19日18時と目前に迫っています。

中小企業新事業進出促進補助金(第4回公募)
所管中小企業庁・中小機構
補助上限額従業員20人以下:2,500万円(賃上げ特例適用で3,000万円)
従業員21〜50人:4,000万円(5,000万円)
従業員51〜100人:5,500万円(7,000万円)
従業員101人以上:7,000万円(最大9,000万円)
補助率1/2(地域別最低賃金引上げ特例で2/3)
対象経費機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費
主な要件既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出/付加価値額年平均成長率+4.0%以上/一人当たり給与支給総額年平均成長率+3.5%以上/事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上
スケジュール公募開始:令和8年3月27日/応募締切:令和8年6月19日18:00/採択発表:令和8年9月頃

AI活用の新事業に最適

この補助金は「既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出」を支援する制度であり、AIを活用した新サービス開発・AI搭載プロダクトによる新市場進出・AI×SaaSプラットフォーム事業の立ち上げなどに幅広く使えます。
注意したいのは、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれている必要がある点です。ソフトウェア開発や外注費だけで申請することはできません。また、既存事業と明確に区分できる「新事業」であることが要件となるため、事業計画書では既存製品と新製品の違い、既存市場と新市場の違いを具体的に説明することが求められます。
賃上げ要件も厳しく設定されており、未達の場合には補助金返還義務が生じます。そのため、単に「採択されれば終わり」ではなく、事業計画期間終了までの3〜5年を見越した腰を据えた取り組みが必要です。

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⑤ものづくり補助金(第23次締切後・第24次に向けて)

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、通称「ものづくり補助金」も、AI関連の投資で長年活用されてきた王道の制度です。第23次公募は2026年5月8日に締切となり、第24次公募は2026年夏頃以降の実施が見込まれています

ものづくり補助金(第23次公募・最新実績)
補助上限額最大4,000万円(大幅賃上げ特例適用時は上乗せあり)
補助率1/2(小規模事業者・最低賃金引上げ特例で2/3)
対象経費機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、試作費、クラウドシステム等
第23次スケジュール申請締切:2026年5月8日/採択発表:2026年7月頃予定
第24次スケジュール2026年夏以降に公募開始予定(時期は未確定)

ものづくり補助金の特徴は、「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセスの抜本的改善」が重視される点です。AIを活用した品質検査システムの構築、AI搭載の新製品開発、生産管理の自動化など、戦略的かつオーダーメイド性の高いAI活用に適しています。採択事例としては、工場でのAI自動検査装置、AI搭載のX線検査機、AIチャットサービスの開発、生成AIを活用した新サービス開発などが挙げられます。
なお、2026年度以降は「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」の統合・要件変更が議論されており、第24次公募では制度設計が見直される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトで確認してください。

ものづくり補助金とは?【2026年】制度概要や条件、事例もわかりやすく解説

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AI人材育成向け:人材開発支援助成金

AIを導入しても、使いこなす人材がいなければ宝の持ち腐れです。この「人への投資」を強力に後押しするのが、厚生労働省の人材開発支援助成金です。

⑥人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
所管厚生労働省
経費助成率中小企業75%/大企業60%
賃金助成中小企業1時間1,000円/大企業1時間500円
上限額受講者1人あたり50万円/1事業所あたり1億円
対象訓練10時間以上のOFF-JT(業務外訓練)。新規事業・DX推進・GX推進に必要な知識・技能の習得
期限令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置

このコースは新規事業立ち上げやDX推進に伴うリスキリングを支援するもので、生成AI研修・ChatGPT研修・AIリテラシー研修・プロンプトエンジニアリング研修などが対象となります。研修費用の75%に加えて、受講時間中の賃金1時間1,000円が助成されるため、実質負担がゼロ、あるいはプラスになるケースもあります。
たとえば、中小企業が14時間のAI研修を社員10名に実施した場合、研修費用1,000,000円に対して経費助成750,000円+賃金助成140,000円=合計890,000円の助成が受けられる計算となり、実質負担はわずか110,000円です。

申請時の最大の落とし穴は「研修開始1ヶ月前までの計画届提出」の遅れです。この期限を過ぎると、どれだけ優れた研修計画でも一切受理されません。研修終了後の遡及申請は認められていないため、スケジュールの余裕を持って準備しましょう。なお、本コースは令和8年度末までの時限措置であり、早めの活用がおすすめです。

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東京都内事業者が追加で使える都独自制度

東京都内の中小企業は、国の補助金に加えて、東京都および公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する都独自の助成金制度も活用できます。2026年6月時点で公募中・公募予定の主要な制度を紹介します。

⑦躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

都内中小企業者が「製品・サービスの質的向上」や「生産能力の拡大」のために機械設備・ソフトウェアを導入する際の経費を助成する制度です。AI搭載ソフトウェアも対象に含まれます。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(第12回/令和8年度第1回)
所管公益財団法人東京都中小企業振興公社
対象者都内中小企業者(令和8年4月1日現在で都内に登記簿上の本店または支店があり、都内で2年以上事業を継続)
助成限度額100万円〜1億円(アップグレード促進区分では1億〜2億円)
助成率競争力強化(中小企業):最大3/4/競争力強化(小規模):最大4/5/アップグレード促進:最大3/4
対象経費機械装置、器具備品、ソフトウェア(1基50万円税抜以上)の新規導入、搬入・据付等

全業種を対象としており、AI搭載の業務ソフトウェア導入や生産設備導入が広く対象となります。ゼロエミコースおよび賃上げコースを組み合わせると助成率が大幅に引き上がる仕組みです。

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⑧東京都の販路拡大・知財・商店街DX関連助成金(公募予定)

東京都はAI・DX関連の周辺領域でも複数の助成金を相次いで公募予定としています。AIを活用した新製品の販路拡大やAI関連知財の取得を検討している事業者には、強力な後押しとなる制度群です。

東京都の公募予定AI・DX関連助成金(令和8年度)
制度名所管助成限度額助成率対象経費公募期間(予定)
展示会出展助成事業(第4回)東京都150万円2/3出展小間料・資材費・EC出店初期登録料・動画制作費・サイト制作費等2026年7月1日〜7月14日
ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業(販路拡大助成)東京都中小企業振興公社150万円2/3展示会参加費・ECサイト出店料・自社Webサイト制作費・販売促進費2026年8月10日〜8月31日
AI×データ知財取得支援事業(第2回)東京都中小企業振興公社規模により変動小規模企業者:2/3、その他:1/2国内外出願手数料・代理人費用・翻訳料(AI・データ関連知財)2026年8月24日〜9月30日
商店街デジタル化推進事業費補助金東京都1,500万円9/10(事業により変動)デジタル導入費・コーディネート費・広報・PR費等2026年8月3日〜9月30日

特に「AI×データ知財取得支援事業」は、自社開発のAI技術や独自データセットの特許化・商標化を進めたい事業者にとって貴重な制度です。AI関連知財は今後の事業競争力を左右する重要な経営資源であり、出願費用の助成は積極的に活用したいところです。
また、商店街デジタル化推進事業費補助金は助成率9/10という高い補助率が特徴で、商店街や商工会単位でのAIカメラ導入、デジタルサイネージ、ECサイト構築などに活用できます。

道府県・市区町村の地域別AI・DX関連補助金

東京都以外の各自治体も、独自のDX・AI関連補助金を相次いで打ち出しています。所在地の自治体制度を活用すれば、国の補助金と組み合わせて手厚い支援を受けられる可能性があります。ここでは2026年6月時点で公募中・公募予定の制度を地域別にまとめます。

都道府県レベルの公募中・公募予定制度

都道府県レベルの主要制度
制度名都道府県補助上限額補助率対象経費(要約)公募期間
DX導入実証事業助成金(第1次)広島県150万円1/2機械装置費・外注加工費・クラウド利用費・委託外注費等(製造業向け)2026年6月18日〜6月19日
ふくいデジタル導入チャレンジ補助金福井県50万円1/2デジタルツール購入費・クラウドサービス使用料・導入関連費(従業員100名以下)2026年6月10日〜随時受付
かごしま中小企業DX推進事業費補助金(2次募集)鹿児島県200万円2/3ソフトウェア等購入費・クラウド利用料・機械装置購入費・専門家招へい経費等2026年7月17日〜8月19日(予定)
かごしまの「稼ぐ力」加速化総合補助金(2次募集)鹿児島県要確認通常:2/3、重点支援:3/4展示会出展費・広告宣伝費・ECサイト制作費・外注委託費等2026年8月17日〜10月5日(予定)
中小企業販路拡大支援事業補助金(第2回)福島県100万円海外市場調査:2/3、その他:1/2展示会出展費・海外商談費・外国語HP作成翻訳費・旅費等2026年7月1日〜8月21日(予定)

政令市・中核市レベルの公募中・公募予定制度

政令市・中核市レベルの主要制度
制度名補助上限額補助率対象経費(要約)公募期間
札幌市DX・賃上げ加速化補助金北海道札幌市要確認市内企業と契約:2/3、その他:1/2設備備品費・事業費・人材育成費等2026年4月14日〜随時受付
IoT・AI等先端技術導入支援補助金(事前検証事業)岡山県岡山市150万円1/2外注費・賃借料・機器・システム等購入費・クラウド利用料等2026年7月1日〜8月31日(2回目)/9月1日〜11月30日(3回目予定)
IoT・AI等先端技術導入支援補助金(検証済み先端技術導入事業)岡山県岡山市1,000万円1/3外注費・機器・システム等購入費・クラウド利用料等2026年7月1日〜7月31日(2回目)/8月1日〜11月30日(3回目予定)
中小企業等DX推進事業費補助金(一般枠・第3回)山口県宇部市150万円2/3(下限額20万円)工事費・機械装置購入費・委託費・外注費・使用料等2026年7月1日〜7月31日(予定)
中小企業等DX推進事業費補助金(DXモデル枠・第3回)山口県宇部市要確認2/3(下限額66万6,000円)工事費・機械装置購入費・コンサルティング費・外注費・使用料等2026年7月1日〜7月31日(予定)
福山市販路開拓支援事業補助金(2次募集)広島県福山市要確認1/2(開催場所により変動)国内・海外・オンライン展示会出展費・委託費2026年8月3日〜9月30日(予定)

市区町村レベルの公募中・公募予定制度

市区町村レベルの主要制度
制度名市区町村補助上限額補助率対象経費(要約)公募期間
ものづくり企業振興補助金福島県喜多方市30万円1/2展示会出展費・DX推進費(ITツール・AI等活用経費)2026年4月14日〜随時受付
デジタル技術活用促進支援事業補助金岐阜県高山市30万円1/2ソフトウェア開発・導入費・コンサルタント費・DX人材育成費・機器購入費2026年4月1日〜随時受付
中小企業等DX推進補助金滋賀県草津市要確認1/2機器購入費・ソフトウェア購入費・eラーニング受講費・外部研修参加費2026年5月7日〜随時受付
中小企業DX人材等育成支援事業補助金静岡県静岡市10万円DX人材育成:2/3、技能育成:1/2研修受講料・書籍代・教材費2026年4月1日〜随時受付
区内生産品等販路拡張事業補助金東京都墨田区100万円1/2〜2/3(創業者含む)展示会出展費・輸送費・オンライン産業展出展料・動画作成費等2026年4月1日〜随時受付
産業振興支援補助事業香川県丸亀市20万円2/3(事業により変動)デジタル(ソフトウェア導入費・システム開発等)・展示会出展費・販路開拓費等2026年4月1日〜随時受付
がんばる中小企業応援補助金(販路開拓事業)愛知県知多市15万円1/2(事業により変動)見本市出展費・IT活用販売促進費(通販初期費用等)・商品パッケージデザイン費2026年4月1日〜随時受付
中小企業等ビジネスチャレンジ事業費補助金(DX促進支援事業)茨城県常陸太田市20万円2/3コンサルティング費・システム導入費・DX人材育成費・機器購入費等2026年4月1日〜随時受付
阿南市中小企業等振興支援補助金徳島県阿南市要確認1/2(事業により変動)デジタル化・DX化(クラウドサービス・RPAツール導入費等)・販路開拓費等2026年7月1日〜未定(予定)
自治体補助金活用のポイント
自治体補助金は「随時受付」型が多く、予算枠に達し次第終了する仕組みが一般的です。気になる制度があれば、早めに所管窓口へ事前相談することをおすすめします。また、地元の認定経営革新等支援機関や商工会議所に相談すると、その地域で活用しやすい制度や採択傾向の情報を入手できます。国制度と自治体制度は経費が重複しなければ併用可能なケースが多いため、複数制度の組み合わせも視野に入れて検討しましょう。

目的別:自社に合う補助金の選び方

ここまで国制度7制度+自治体制度を見てきたところで、次に「自社が何をしたいのか」を起点に、最適な制度を絞り込んでみましょう。

目的別・推奨制度チャート
  • ChatGPT等の生成AIをまず業務に導入したい→ ①デジタル化・AI導入補助金
  • AI-OCRやAIチャットボットなど市販のAI搭載SaaSを導入したい→ ①デジタル化・AI導入補助金
  • 自社専用のAIシステム・AIエージェントを開発・導入したい→ ②省力化投資補助金(一般型)または⑤ものづくり補助金
  • AI搭載ロボットや自動精算機など汎用製品をカタログから選びたい→ ③省力化投資補助金(カタログ注文型)
  • AIを活用した新事業・新サービスを立ち上げたい→ ④中小企業新事業進出促進補助金または⑤ものづくり補助金
  • AI検査装置・AI搭載製品を自社で開発したい→ ⑤ものづくり補助金
  • 社員全体のAIリテラシーを底上げしたい・生成AI研修を実施したい→ ⑥人材開発支援助成金
  • AI関連の特許・知財を取得したい(都内事業者)→ ⑧東京都AI×データ知財取得支援事業
  • 東京都内の事業者→ 上記国制度に加えて⑦⑧東京都独自制度の併用を検討
  • 地方の事業者→ 国制度+⑨所在地自治体の独自制度の併用を検討

なお、同一の設備・ツールに対して複数の補助金を同時に申請することは原則できません。経費の重複がなければ併用できるケースもありますが、事前に事務局や認定支援機関に確認することをおすすめします。

申請までのステップと注意点

どの制度にも共通する、事前に押さえておくべきポイントをまとめます。

ステップ1:GビズIDプライムの取得(1〜2週間)

ほぼすべての国の補助金と東京都の助成金で、電子申請システム「Jグランツ」の利用が必須であり、そのためにはGビズIDプライムアカウントの事前取得が必要です。発行には1〜2週間程度を要するため、補助金を検討し始めた時点で速やかに申請しておきましょう。マイナンバーカードを使ったオンライン申請であれば、最短即日でアカウント発行が可能です。

GビズIDとは?補助金申請などの際に必要となる種類や具体的な取得フローなどを解説

ステップ2:事業計画の策定と金融機関・認定支援機関への相談

中小企業新事業進出促進補助金のように、金融機関からの資金提供を受ける場合には「金融機関による確認書」の提出が必須となります。また、事業計画書作成にあたっては、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)のサポートを受けることも有効です。ただし、近年は「補助金獲得のみを目的とした悪質なコンサルティング業者」も増えているため、業務内容とかい離した高額な成功報酬を請求されるケースには十分注意してください。

ステップ3:交付決定前の発注は絶対に行わない

これが最も重大な落とし穴です。交付決定日より前に契約・発注・支払いを行った経費は、一切補助対象になりません。「採択されたから先に発注してしまおう」は厳禁で、必ず「交付決定通知」を受け取ってから発注する流れを守る必要があります。

ステップ4:資金繰りの計画

補助金は原則として全額後払い(精算払い)です。交付決定から実際の入金までには数ヶ月かかるため、その間の立替資金を自己資金または融資で確保しておく必要があります。

ステップ5:賃上げ要件未達時のリスク把握

2026年度の補助金は、多くが賃上げ要件を必須としています。目標未達の場合には補助金の全部または一部を返還する義務が生じるため、単に「通れば良い」ではなく、事業計画期間終了までを見越した実現可能性の高い計画を立てることが必要です。

AI導入補助金に関するよくある質問


個人事業主でもAI導入の補助金は申請できますか?

はい、個人事業主も多くの制度で申請可能です。デジタル化・AI導入補助金は個人事業主も中小企業と同等の補助率で申請でき、ものづくり補助金・新事業進出促進補助金・省力化投資補助金も個人事業主が対象となります。ただし、新規設立・創業後1年に満たない場合や、確定申告書の提出実績がない場合は対象外となるケースがあるため、各制度の公募要領で確認してください。


ChatGPT有料プランの月額費用は補助金の対象になりますか?

デジタル化・AI導入補助金では、事前に登録されたITツールの利用料のみが補助対象となります。そのため、ChatGPT有料プラン単体での申請はできませんが、ChatGPT APIを組み込んだ登録済みITツールや、生成AI機能を搭載した業務ソフトウェアであれば対象になり得ます。詳しくは公式のITツール検索で確認してください。


自社専用のAIシステムを外注で開発する場合も対象になりますか?

はい、ものづくり補助金・中小企業新事業進出促進補助金・省力化投資補助金(一般型)では、AIシステムの外注開発費・受託開発費も対象経費になり得ます。ただし外注費には上限設定があり、たとえば新事業進出促進補助金では補助金額全体の10%が外注費の上限です。また、補助事業の主たる内容そのものを他者へ外注する事業は対象外となるため、自社の関与度合いが重要です。


クラウドサービスの月額費用は何年分まで補助されますか?

デジタル化・AI導入補助金では最大2年分のクラウド利用料が補助対象となります。中小企業新事業進出促進補助金やものづくり補助金では、補助事業実施期間中の利用料のみが対象となり、契約期間が補助事業実施期間を超える場合は按分計算で補助対象分が算出されます。


国の補助金と自治体の補助金は併用できますか?

経費が重複しなければ併用可能なケースが多くあります。たとえば、国のデジタル化・AI導入補助金で会計AIソフトを導入しつつ、自治体のDX推進補助金で別のシステム導入を行うといった使い分けが可能です。同一の設備・ツール・経費に対して複数の補助金を重複受給することはできません。併用を検討する際は、必ず事前に両方の事務局に相談してください。


所在地の自治体の補助金はどう探せばよいですか?

各自治体のホームページで「補助金」「DX」「AI」「中小企業支援」などのキーワードで検索するのが基本です。また、補助金ポータルなどの補助金検索サイトで地域別に絞り込むこともできます。商工会議所・商工会・地元金融機関も最新の自治体補助金情報を持っているため、事業計画段階で相談すると有用な情報が得られます。


AI研修だけを実施したい場合も助成金は使えますか?

はい、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースが適しています。生成AI研修・ChatGPT研修・AIリテラシー研修などが対象となり、中小企業なら経費の最大75%に加えて賃金助成1時間1,000円も受けられます。ただし10時間以上のOFF-JTであること、研修開始1ヶ月前までに計画届を提出することが必須要件です。また、静岡市・草津市・常陸太田市など、自治体独自のDX人材育成補助金も併用検討できます。


採択率はどれくらいですか?

旧IT導入補助金(現デジタル化・AI導入補助金)の2025年度7次締切時点での採択率は約43.6%でした。ものづくり補助金は例年30〜60%、省力化投資補助金カタログ注文型は60〜70%、一般型は40〜50%程度とされています。人材開発支援助成金は要件を満たせば基本的に支給される助成金制度であり、審査による不採択はありません。


不採択になった場合、再申請はできますか?

はい、ほとんどの補助金で再申請が可能です。デジタル化・AI導入補助金は年6〜7回の公募が予定されており、不採択でも次回以降の締切に再応募できます。中小企業新事業進出促進補助金やものづくり補助金も、過去の公募で不採択となった事業者でも事業計画を見直せば再度申請可能です。ただし、直前に採択を受けている事業者には一定期間の応募制限があるため、各制度の公募要領で確認してください。


補助金を受給した後に守るべき義務はありますか?

主な義務は3つあります。1つ目は事業化状況報告で、補助事業完了後5年間毎年報告が必要です。2つ目は賃上げ要件の達成で、未達の場合は補助金の一部または全額返還義務が生じます。3つ目は取得財産の処分制限で、単価50万円以上の財産は法定耐用年数を経過するまで自由な処分ができません。これらを怠ると返還請求や加算金が発生するため、受給後も継続的な管理が必要です。


まとめ

2026年度は、AI導入・AI開発・AI人材育成のいずれのフェーズにおいても、中小企業が活用できる補助金・助成金が豊富に揃った節目の年です。国の主要制度7つに加えて、東京都の独自制度4つ、さらに全国の道府県・市区町村が独自のDX・AI関連補助金を相次いで打ち出しています。
重要なのは、「AIを導入すれば自動的に採択される」わけではないという点です。どの制度も、現状の業務課題→AI導入による解決策→定量的な生産性向上目標、という一貫したストーリーを論理的に説明できるかが採択のカギを握ります。2026年度は特に賃上げ要件が厳格化されており、事業計画の質と実現可能性がこれまで以上に問われます。
まずはGビズIDプライムの取得から始め、自社の取り組みに最もフィットする制度を国・都道府県・市区町村の3レベルで見極めて、計画的に準備を進めていきましょう。専門家への相談や認定支援機関の活用も、採択率向上に有効な選択肢です。

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