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令和7年度【中小企業庁】概算要求まとめ(2025年度)

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令和7年度の経済産業省の概算要求では、中小企業対策費として1300億円が計上されました。これは、令和6年度の当初予算から218億円の増額となります。

今回は、中小企業庁の「令和7年度 中小企業・小規模事業者・地域経済関係 概算要求等ポイント」から、来年度の中小企業や小規模事業者、地域経済の活性化に向けた支援についてみていきます。

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この記事の目次

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令和7年度予算 中小企業対策関連予算の方向性

今回の予算は、中小企業や小規模事業者が直面する物価高や人手不足といった厳しい状況に対応し、賃上げや省力化投資を支援するために組まれました。成長を促進し、地域経済を活性化させるため、予算や税制などの政策手段を総動員します。あわせて、事業承継、社会課題解決等を通じて、地域経済の活性化を図ります。

そのために、大きく分けて、以下の5つに取り組みます。

(1)物価高、人手不足等の厳しい経営環境への対応
(2)環境変化に挑戦する中小企業・小規模事業者等の成長支援
(3)小規模事業者支援、社会課題解決をはじめとした地域における取り組みへの支援等
(4)事業承継、再編等を通じた変革の推進
(5)経営支援、伴走支援の推進

出典:中小企業庁 令和7年度 中小企業・小規模事業者・地域経済関係 概算要求等ポイント

ひとつずつみていきます。

物価高、人手不足等の厳しい経営環境への対応

物価高や人手不足に対応するため、中小企業の価格転嫁や資金繰りを支援し、省力化投資を推進します。また、賃上げに向けた環境整備を行い、事業の継続を支援します。 ※【】は予算額。()内は令和6年度当初予算

価格交渉促進と価格転嫁支援
・中小企業取引対策事業【36億円(28億円)】など
中小企業が価格交渉を適切に行えるよう「価格交渉促進月間」を実施し、下請法の厳正な執行や相談窓口の強化を行います。また、官公需における労務費の価格転嫁も徹底します。
資金繰り支援
・日本政策金融公庫補給金【155億円(147億円)】
・中小企業信用補完制度関連補助事業【44億円(14億円)】 など

日本政策金融公庫からの融資における金利を引下げるための利子補給や、信用保証制度等を通じた資金繰り支援などを行います。
※融資制度(国民生活事業)について⇒日本政策金融公庫
省力化対策・賃上げ対策
・中堅・中小大規模成長投資補助金【20億円】
※<令和5年度補正>中小企業省力化投資補助制度(1000億円)(既存基金の活用等含め総額5000億円規模。事業再構築補助事業を再編)
※<令和5年度補正>中堅・中小大規模成長投資補助金(1000億円) ※国庫債務負担含め3000億円

▼人手不足に対応するため、省力化のための設備投資を支援します。たとえば「中堅・中小大規模成長投資補助金」は、工場・倉庫・販売拠点の拡張、最新機械・設備の導入、情報システムの構築などに活用できる補助金です。地域の中堅・中小企業が人手不足などの課題に対応して成長するための大規模投資を支援するもので、地方での安定した賃上げを実現することを目的としています。
【ポイント】
補助額:最大50億円
補助率:1/3以内
投資規模10億以上が対象

【一般枠の要件】
①投資額10億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
②賃上げ要件(補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員等1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上)

【特別枠の要件】
上記①、②に加えて、以下の要件を満たすこと。
③令和6年度中(令和7年3月末まで)に補助事業が完了見込み

【令和6年度の公募期間】
1次公募:令和6年3月6日~4月30(終了)
2次公募:令和6年6月26日~8月9日(終了)


出典:経済産業省関係令和7年度概算要求の事業概要(PR資料:一般会計)

環境変化に挑戦する中小企業・小規模事業者等の成長支援

中小企業・小規模事業者等による生産性向上・事業再構築等に向けた設備投資を支援します。そのほか、新規輸出に挑戦する中小企業を支援するとともに、「成長志向の中小企業」に対しては、重点的に支援を行います。

設備投資支援
※<令和5年度補正>中小企業生産性革命推進事業(2000億円)
※事業再構築補助金<既存基金の内数>

研究開発支援
・成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)【142億円 (128億円)】
▼Go-Tech事業は、中小企業が大学や公的研究機関と協力して研究開発や試作品の開発、販路の拡大に取り組む事業です。最大3年間、研究や開発にかかる経費の2/3まで補助金が支給され、補助額は年間最大4500万円、3年間で9750万円までとなります。申請には大学などとの共同体を組む必要があり、企業単独では応募できません。この事業を通じて、新たなネットワークを作り、より高度な研究開発が可能になります。


出典:経済産業省関係令和7年度概算要求の事業概要(PR資料:一般会計)

海外展開支援
・中小機構による海外展開支援(中小企業海外展開総合支援事業等)【中小機構交付金の内数】
新たに輸出に挑戦する中小企業・小規模事業者等を支援します。越境ECやブランディングの強化を通じて、海外市場での競争力を高めます。
成長志向の中小企業支援
・中小機構による成長志向の中小企業支援【中小機構交付金の内数】
売上高100億円以上への成長を目指す中小企業を含め、成長志向の中小企業へのハンズオン支援、経営者ネットワーク構築支援等に取り組みます。

小規模事業者支援、社会課題解決をはじめとした地域における取り組みへの支援等

多様な経営課題を抱える小規模事業者や、地域の社会課題に取り組む事業を支援し、地域の持続可能な発展を目指します。災害復旧など、地域に密着した支援も行います。

小規模事業者への巡回指導・窓口相談
・小規模事業対策推進等事業【62億円(54億円)】など
中小企業支援機関を通じて、小規模事業者に対する巡回指導や窓口相談を行い、事業運営の支援を強化します。
水需要への対応
・工業用水道事業費補助金 【40億円(20億円)】
激甚化する災害等への対応のための強靱化や、重要な産業の立地に伴う水需要への対応のための新設等を進めます。
災害復旧支援
※なりわい補助金(令和6年能登半島地震、令和2年7月豪雨)、グループ補助金(令和元年台風第19号等、令和3・4年福島県沖地震)等【43億円(令和5年度補正)、205億円(令和5年度予備費)等】
災害により被害を受けた地域の事業者に対して、復旧・復興支援を提供します。能登半島地震や過去の台風などによる被災地域への支援を継続します。

事業承継、再編等を通じた変革の推進

事業承継を円滑に進めるための支援を行います。また、事業承継や再編を契機に変革に挑戦する企業の生産性向上等を支援します。

後継者支援ネットワーク事業
・後継者支援ネットワーク事業【6.3億円(4.4億円)】など
後継者同士が切磋琢磨できる場を提供し、経営資源を活かした新規事業のアイデアを競うイベントを開催します。
事業承継・M&A支援
※<令和5年度補正>中小企業生産性革命推進事業(2000億円)※事業承継・引継ぎ補助金等
事業承継・M&A後の設備投資、販路開拓等の新たな取り組み、M&A時の専門家活用の取り組み等を支援し、企業の変革と成長を後押しします。

経営支援、伴走支援の推進

中小企業や小規模事業者が直面する多様な経営課題に対して、専門的なサポートを提供します。

ワンストップ総合支援事業
・中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【57億円(35億円)】など
各都道府県に「よろず支援拠点」を整備し、中小企業や小規模事業者が抱える経営課題に対応するための支援体制を整備します。
中小企業の実態調査
・「100億企業」創出加速に向けた調査・分析【1.0億円(新規)】など
売上高100億円以上への成長を目指す企業の経営者ネットワーク構築や成長に向けた機運醸成を促進するための調査を実施します。

ものづくり補助金や持続化補助金、IT導入補助金はどうなる?

ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金、事業承継・引継ぎ補助金の4つの補助金を行う「生産性革命推進事業」について、令和7年度予算としての計上はありませんでした。これらに関しては、令和6年度の補正予算にて追加される可能性があるため、今後の動きが注目されます。

▼11月7日更新
令和6年10月30日の「新しい資本主義実現会議」で、政府は重点施策を取りまとめ、その一環として中小企業生産性革命推進事業のさらなる充実が掲げられました。これにより、更なる生産性向上やデジタル化(DX)、販路開拓や円滑な事業承継を進めていく方針です。

事業再構築補助金はどうなる?

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナの変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することを目的として造成された「中小企業等事業再構築促進基金」で実施されている事業です。

基金事業は通常の予算措置とは異なりますが、事業再構築補助金の抜本的な見直しが行われていることなどから、今後も同様の形で事業が継続するのかは不透明です。

新しい情報が入ってきましたらこちらの記事も更新いたします。

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