※3月28日更新 令和6年度(2024年度)予算が成立しました。
国の予算の話、普段の業務には関係ないと思っていませんか?この予算決定にむけて事前に提出される「概算要求」から、中小企業の皆さまがチャンスやサポートを得られる事業について探ることができます。今回は、新しい時代への適応を進める手掛かりとなる「予算」、そして「概算要求」について、みていきましょう。
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この記事の目次
予算成立!令和6年・2024年 予算の内訳
令和6年度予算は、一般会計の総額が112兆5717億円で、過去最大だった前年度予算を下回るものの、依然として110兆円を超える規模になりました。令和6年度の予算編成は、物価高への対応と民需主導の成長を目的として、令和5年度補正予算と連携しつつ、新しい資本主義を実現するための様々な取り組みに重点を置いています。これには、人材への投資、イノベーション促進、外交・安全保障の強化などが含まれています。
【主な歳出項目】
社会保障費:高齢化や少子化対策の強化により、前年度比8506億円増の37兆7193億円となり、社会保障費で歳出全体の約3分の1を占めています。
防衛費:防衛力強化のため1兆1292億円増の7兆9172億円に設定されました。
国債費:長期金利の上昇を見込み、前年度比1兆7587億円増の27兆90億円とされています。
予備費:能登半島地震による復旧費用に対応して1兆円に倍増し、さらに物価高騰対策のためにも1兆円が別途計上されました。
歳入では、税収が69兆6080億円と見込まれ、これは補正予算時の今年度見通しとほぼ同じです。しかし、この税収では34兆9490億円の不足分を満たすことができず、その差額は新たな国債の発行で対応予定です。
概算要求でわかることとは?
この予算編成にあたり、夏までに各省庁がまとめる要求書が「概算要求」です。概算要求とは、各省庁が「次の年にこれだけお金が欲しい」と財務省に訴えるリストのことです。簡単に言うと、国が次年度にどれくらいの予算で何をしたいかの大まかなお願い書といえます。こちらをもとに国の予算が組まれるため、このリストが膨らむと、国全体のお金の動きも大きく変わります。令和6年・2024年の要求で特に目を引いたのが、岸田政権が注力する防衛力強化でした。これに伴い、防衛省からの概算要求が過去最大となりました。そのほか、物価の高騰や少子化対策、高齢者の社会保障費などが増えてきています。これらの問題への対策も、概算要求を大きく膨らませる原因となっています。
【中小企業が概算要求について知っておきたいポイント】
概算要求には、補助金や助成金の情報も含まれています。概算要求を確認することで、中小企業の皆さまが、次年度にどのようなサポートや新しいビジネスチャンスを得られるかを探ることができます。
確認の仕方としては、概算要求の中で、新規の予算が組まれたり、金額が増加している部分をチェックしましょう。そこには、政府が今後力を入れたいと考えている分野やテーマが隠れているため、次年度にどんな支援が受けられるのかを推測することができます。
たとえば、「GX」は、環境問題の解決を目指す大きな動きです。2024年度の概算要求では、この分野に2兆円超が投じられる予定で、主に蓄電池、半導体、水素関連装置といった技術の国内生産を支援する方針がわかります。
概算要求は、あくまでお願いリストのため、予算が確定するまでに、支援策や補助金・助成金の内容が変わる可能性がある点には注意が必要です。しかし、政府の方針や重視する分野を知る手がかりとしては最適といえるでしょう。
本年の概算要求とは
補助金ポータルでは、毎年、概算要求のまとめ記事を公開しています。
補助金・助成金を活用したい分野に、国がどのくらい投資するのか、概算要求から知ることができます。
予算成立・概算要求のスケジュール
8月末までに提出された概算要求をもとに、政府予算案がまとめられます。年末までに閣議決定された予算案は、年明け1月の国会に提出され、衆議院・参議院を通過すると予算が成立するという流れになっています。
まとめ
補助金は、早いものは2月から3月ごろに公募を開始し、多くの補助金は4月から6月ごろまでには公募開始となります。補助金の申請は早めの準備が重要になるので、概算要求から情報収集をすることは、一歩先を行く準備につながります。
概算要求は、補助金活用のための準備のほかに、今後の政府の方針や予算配分を予測するための大事な手がかりとなります。これからのビジネス環境の変化を先取りするためにも、概算要求の内容をしっかりとチェックし、変革の波に乗る準備を始めていきましょう。
参考:財務省 令和6年度予算