新しい生活様式の定着や働き方の変化に伴い、企業にも対外的な業務変革が求められてきました。社会的なニーズへの対応のため、すでに最新のIT技術を取り入れている企業も増えています。しかし予算的な余裕の少ない中小企業にとって、企業のDX化には、初期費用の問題が大きな壁となっています。
IT導入補助金では、2023年もITツール導入経費の一部が支援されます。今回は「IT導入補助金2023通常枠 (A・B類型)」についてまとめました。
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2023年IT導入補助金
▶︎IT導入補助金とは?2023年度の申請枠を紹介
▶︎通常枠(A・B類型)を徹底解説!
▶︎セキュリティ対策推進枠について
▶︎デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)とは?
▶︎デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)とは?
▶︎IT導入補助金のツール選定方法
この記事の目次
IT導入補助金2023 通常枠とは
IT導入補助金は中小企業・小規模事業者等を対象に、企業の課題やニーズに合ったITツールを導入する際の経費の一部を補助する制度です。業務効率化や売上アップを目指し、経営力の向上・強化を図ることを目的にしています。
本事業では、補助事業者は「IT導入支援事業者」の支援を受けてツールの導入等を行います。IT導入支援事業者とは、事業者のパートナーとして、ITツールの説明・導入・運用方法の相談等のサポートや各種申請・手続きのサポートを行う事業者です。IT導入補助金に関しては、以下の事業スキームも参考にしてください。
出典:IT導入補助金2023 公募要領
IT導入補助金2023 通常枠 補助対象者
IT導入補助金の対象となる企業には、要件が定められています。ここでは対象事業者や対象外の事業者、通常枠の申請要件等を見ていきましょう。
補助対象事業者・対象外事業者
申請の対象となるのは、中小企業・小規模事業者等 です。
ただし以下の事業者は、対象外です。
対象外となる事業者 |
---|
■次の①~⑥のいずれかに該当する事業者 ① 発行済株式の総数・出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している ② 発行済株式の総数・出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している ③ 大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている ④ 発行済株式の総数・出資価格の総額を、①~③に該当する中小企業・小規模事業者等が所有している ⑤ ①~③に該当する中小企業・小規模事業者等の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の全てを占めている ⑥ 直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が、15億円を超える ■IT導入補助金2023において「IT導入支援事業者」に登録している ■補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている ■風俗営業等 ■過去1年において、送検処分を受けている事業者 ■暴力団等、反社会的勢力に関係する事業者 ■宗教法人 ■法人格のない任意団体 ■その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと判断される者 |
申請の要件
主な申請の要件は、以下のとおりです。
主な申請要件 |
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■交付申請時点で日本国内に法人登記され、日本国内で事業を営む法人・個人であること ■直近月において、事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること ■gBizIDプライムを取得していること ■独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと ■すでに国および中小機構等に支援を申請中の事業でないこと ■補助事業の実施によって、「1年後の労働生産性の伸び率が3%以上」および「3年後の伸び率が9%以上」を目標とした計画を作成すること。ただし、過去3年間にIT導入補助金の通常枠(A・B類型)およびデジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)の交付を受けた事業者については、当該指標を強化する ■IT導入支援事業者と確認を行ったうえで、生産性向上に関わる情報等を事務局に報告すること ■補助金申請等について、過去に不正な行為を行っていないこと ■交付申請前に「みらデジ」にて、「みらデジ経営チェック」を行った事業者であること ■本事業のB類型に申請する場合は、以下の要件を全て満たす3年の事業計画を策定し、実行すること ①以下の②③に規定する賃金引上げ計画を策定し従業員に表明していること ②給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること。ただし、被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加させること ③最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。 ④以下の事業者については、これらの要件の適用外とする。 ・賃上げ要件が加点項目となる申請類型を選択した事業者 ・小規模事業者 ・社会保険医療の給付等を行う保険医療機関および保険薬局 ・居宅サービスや施設サービスを提供する介護サービス事業者 ・更生保護事業を行う事業者 ・要件を満たす各種学校 |
なお、策定した賃金引上げ計画目標が事業計画終了時点で達成できなかった場合や期間内に報告をしなかった場合には、補助金の返還を求められます。
IT導入補助金2023 通常枠 支援内容
IT導入補助金では、ITツールの導入に関する経費の一部が補助されます。補助率や補助金額は以下のとおりです。
■補助率
1/2
■補助金額
A類型:5万から150万円未満
B類型:150万から450万円以下
IT導入補助金2023 通常枠 補助対象経費
通常枠では、ソフトウェア購入費・クラウド利用費 (最大2年分)・導入関連費が補助の対象です。詳細は以下のとおりです。
補助対象経費
補助の対象となるITツールはIT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたものに限られます。補助事業者は登録されたIT導入支援事業者へ相談しながら、自社の生産性向上に寄与する適切なITツールを選択し、申請してください。
なお、保守費用は申請するソフトウェアの利用範囲内で最大2年分 (オプションに対する保守費用は最大1年分) の費用が対象です。
ただし、以下の経費は対象外です。
1.補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの |
2.ITツールの利用料額を、交付申請時に定められないもの |
3.対外的に無料で提供されているもの |
4.サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く、リース・レンタル契約のITツール |
5.中古品 |
6.交付決定前に購入したITツール |
7.交通費、宿泊費 |
8.補助金申請、報告に係る申請代行費 |
9.消費税等の公租公課 |
10.その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと判断されるもの |
対象のITツール
本事業の補助対象となるITツールは、大分類Ⅰ「ソフトウェア」、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」の3つのいずれかに分類されます。さらに各大分類内は、以下の表のようにカテゴライズされます。
出典:IT導入補助金2023 公募要領
補助の対象となるITツールは、大分類Ⅰ「ソフトウェア」のカテゴリー1に設定されたプロセスを含んでいる必要があります。該当のプロセスは、以下の表を参考にしてください。
出典:IT導入補助金2023 公募要領
各プロセスの定義については、以下のとおりです。
■業務プロセス
ソフトウェアが保有する機能を導入することによって、特定の業務の労働生産性が向上または効率化される工程のこと
■汎用プロセス
業種・業務に限定されず、業務プロセスと一緒に導入することで更に労働生産性を向上させるもの
汎用プロセスのみを保有するITツールを申請する際には、必ず業務プロセスを保有するツールと組み合わせてください。
類型ごとの申請要件
通常枠には、「A類型」と「B類型」があります。それぞれの申請要件は、以下のとおりです。
A類型
■1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを申請すること
■上記を満たした場合のみ、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」に関する各経費も対象となる
■賃上げ目標は加点項目
B類型
■4種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを申請すること
■上記を満たした場合のみ、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」に関する各経費も対象となる
■交付申請額が下限額を下回る場合は、A類型として申請すること
■賃上げ目標は必須要件
IT導入補助金2023 通常枠 事業スケジュール
IT導入補助金の申請期間は、2023年3月28日から開始予定です。その他の事業スケジュールは、公式サイトにて随時発表されます。
交付決定までの流れ
申請は電子申請でのみ行われます。登録のためのアカウント発行までは2週間程度かかりますので、早めに準備を始めてください。
事業の流れは、以下の通りです。
1.IT導入支援事業者・ITツールの選定 |
2.gBizIDプライムの取得 |
3.IT導入支援事業者による「申請マイページ」招待 |
4.申請マイページの開設と申請者情報入力 |
5.IT事業者ポータルへのIT導入支援事業者による事業計画、ITツール情報の入力・申請内容確認 |
6.申請マイページにて、ITツール情報の確認・事業計画の確認・宣誓 |
7.申請マイページにて、申請者から事務局へ交付申請提出 |
IT導入補助金2023 通常枠 申請方法
交付申請には、事前に「gBizIDプライム」のアカウントを取得する必要があります。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」にて「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言してください。また、中小企業庁が実施する中小企業等の経営課題をデジタル化により解決することをサポートする「みらデジ」の経営チェックを実施します。
申請に必要な手続き等の詳細は以下の通りです。
申請手続き
申請は補助事業者が行う工程とIT導入支援事業者が行う工程があります。それぞれの手続きを確認しましょう。
■事前準備
・補助事業に関する相談等 (IT導入支援事業者・事業者)
・gBizIDの取得 (事業者)
■交付申請
・ITツールの選定および商談、見積依頼等 (IT導入支援事業者・事業者)
・申請マイページの招待 (IT導入支援事業者)
・申請マイページの開設 (事業者)
・交付申請の作成 (IT導入支援事業者・事業者)
・交付申請の提出 (事業者)
・交付決定
■事業実施
・ITツール契約、導入、代金支払い等、事業の実施 (IT導入支援事業者・事業者)
・事業実績報告の作成 (IT導入支援事業者・事業者)
・事業実績報告の提出 (事業者)
・補助金確定通知、補助金の交付
■補助金交付後
・ITツール導入後のアフターフォロー (IT導入支援事業者)
・事業実施効果報告の作成 (IT導入支援事業者・事業者)
・事業実施効果報告の提出 (事業者)
必要書類
申請に必要な書類は、法人と個人事業主とで異なります。以下に、それぞれの提出書類をまとめました。
【法人】
①履歴事項全部証明書
②直近分の法人税の納税証明書
【個人事業主】
①運転免許証または運転経歴証明書または住民票
②直近分の所得税の納税証明書
③直近分の所得税確定申告書B
なお、実績報告時には別途書類の提出が必要です。
ⅠT導入補助金2023よくある質問
IT導入補助金 2023 補助金額・補助率は?
2023年のIT導入補助金は、通常枠A類型で最大150万円、B類型で最大450万円、セキュリティ対策推進枠で最大100万円、デジタル化基盤導入枠で最大350万円となっています。補助率は通常枠、セキュリティ対策推進枠いずれも1/2以内でありデジタル化基盤導入類型は3/4または2/3以内となっています。
IT導入補助金2023いつから?
2023年のIT導入補助金は2023年3月28日(火)より受付を開始しております。
IT導入補助金2023いつまで?
2023年のIT導入補助金の通常枠・セキュリティ対策推進枠の1次締切は4月25日(火)、2次締切は6月2日の予定となっております。デジタル化基盤導入枠の1次締切は4月25日(火)、2次締切は5月16日(火)、3次締切は6月2日(火)となっております。
IT導入補助金 個人事業主いくら?
2023年のIT導入補助金は、個人事業主も対象となっており最大で通常枠B類型で450万円の補助金額を申請することができます。
IT導入補助金2023パソコン購入できる?
2023年のIT導入補助金では、デジタル化基盤導入類型において、パソコンやタブレット、プリンター、スキャナー、複合機といったハードフェアの購入費が補助率1/2以内、補助上限額10万円で対象となっております。ただし、パソコンのみの購入ではIT導入補助金は申請できませんのでご注意ください。
まとめ
IT導入補助金2023 通常枠(A・B類型)のポイントは、以下の3つです。
①補助対象経費はソフトウェア費・クラウド利用料・導入関連費。補助率は2分の1
②A類型は補助額が5万から150万円未満、B類型は150万から450万円以下。B類型は賃上げ目標が必須
③申請方法は電子のみ。gBizIDプライムアカウント取得、SECURITY ACTIONで自己宣言が必要
IT技術は日々進化しています。それに伴い、人の働き方や提供できるサービスも変わっていくはずです。人の動きが活発になりつつあるいまこそ、大きな改革のチャンスです。IT導入補助金を活用して業務効率を上げ、業績アップを目指しましょう。