事業再構築補助金の第3回公募の採択結果が公表されました。
9月21日の申請締切りまでに20,307件(要件を満たした申請件数18,519件)の応募があり、そのうち9,021件が採択されました。
今回は第3回公募結果の概要と、これから申請するにあたり確認しておきたいポイントをご紹介します!
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この記事の目次
事業再構築補助金採択結果
第3回公募の結果について事務局発表の資料がこちらです。
出典:事業再構築補助金第3回公募の結果について
第3回公募の採択率はおよそ44%となりました。応募件数は3回の公募を通じて20,000件程度で推移しています。ちなみに全体の採択率は1回目が36%、第2回は44%、第3回も44%と、回によって採択率が激しく上下するといったことは起きていません。
では事業類型ごとの採択率はどうなっているのでしょうか。(採択率 小数点以下切り捨てで表記)
【通常枠】
第1回:30%
第2回:36%
第3回:37%
【卒業枠】
第1回:56%
第2回:50%
第3回:45%
【グローバルV字回復枠】
第1回:50%
第2回:応募なし
第3回:データなし
【緊急事態宣言特別枠】
第1回:55%
第2回:66%
第3回:66%
【最低賃金枠】
第1回:ー
第2回:ー
第3回:79%
【大規模賃金引き上げ枠】
第1回:ー
第2回:ー
第3回:60%
通常枠、卒業枠と比べ、緊急事態宣言特別枠はどの回でも高い採択率となっています。また、第3回公募から開始となった最低賃金枠と大規模賃金引き上げ枠とも採択率は高めで、最低賃金枠はおよそ8割の採択率となっています。
緊急事態宣言特別枠、最低賃金枠、大規模賃金引上枠、卒業枠、グローバルV字回復枠で不採択の場合は通常枠で再審査となるので、第4回公募以降も通常枠での申請は厳しい戦いになることが予想されます。
業種別の応募と採択割合
業種別にみてみると、製造業、宿泊業・飲食サービス業、卸売・小売業が多く、この3業種で全体の約6割を占めています。この傾向は第1回公募から変わっていません。
出典:事業再構築補助金第3回公募の結果について
応募金額の分布
次に、応募金額の分布を見てみますと、第2回まで応募金額は、1,000万円以下と6,000万円で二極化していました。
出典:事業再構築補助金第2回公募の結果について
第3回公募からは従業員数に応じて補助上限額が設定されたため、過去の応募と比較して申請金額は分散しました。通常枠の補助上限額の「4,000万円」「6,000万円」「8,000万円」付近の応募が多くなっています。
出典:事業再構築補助金第3回公募の結果について
第4回、第5回公募について
採択結果から、緊急事態宣言特別枠や最低賃金枠などの枠の採択率が高いことがわかりました。それらの枠で不採択の場合でも通常枠で再審査されるので、まず要件に合うようなら緊急事態宣言特別枠や最低賃金枠などで申請を検討されるのが良いでしょう。
【第4回公募のスケジュール】
公募期間:令和3年10月28日~12月21日
※第5回公募は令和4年1月中に開始予定です。
事業再構築補助金の申請要件
事業再構築補助金の必須申請要件は以下の3つです。
1.売上が減っている
2.事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む
3.認定経営革新等支援機関と事業計画※を策定する
※事業計画の内容は?
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画の策定が必要です。
これらの必須要件に加えて、緊急事態宣言特別枠や最低賃金枠などではそれぞれ対象となる事業者の要件が設けられています。
【緊急事態宣言特別枠の対象者】
通常枠の申請要件を満たし、かつ、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~8月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者が対象です。要件に合致すれば、地域や業種は問われません。また、売上高の減少の代わりに、付加価値額の45%減少でも申請することができます。
【最低賃金枠の対象者】
必須申請要件を満たし、かつ下記の(1)および(2)を満たすことが求められます。
(1)2020年10月から2021年6月の間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること。
(2)2020年4月以降のいずれかの月の売り上げが対前年または、前々年の同月比で30%以上減少していること。※売上高の減少に代えて、付加価値額の45%減少でも可。
最低賃金枠では、最低賃金の引き上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に状況が厳しい中小企業等を対象としています。この枠では、加点措置が行われ「緊急事態宣言特別枠」に比べて採択率において優遇されます。
【大規模賃金引上枠】
通常枠の申請要件に加えて、下記の(1)および(2)を満たす必要があります。
(1)補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
(2)補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること
このほか卒業枠やグローバルV字回復枠の要件など、公募要領で各類型の要件を確認いただけます。
事業再構築補助金の審査項目と加点項目
採択されるには事業類型の選択も重要ですが、審査でどの点を見られているか、加点項目はあるのかを知っておくことも重要です。
【審査項目】
(1)補助対象事業としての適格性
- 補助対象事業の要件を満たしているか。
- 補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%以上(グローバルV字回復枠は 5.0%)の増加等を達成する取り組みであるか。
(2)事業化点
- 事業実施のための体制や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また金融機関等から資金の調達が見込めるか。
- 市場ニーズを考慮しているか。また補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。
- 補助事業の成果が優位性や収益性を有しているか。事業化までのスケジュールや補助事業の課題の解決方法が明確かつ妥当か。
- 補助事業として費用対効果が高いか。その際、自社の強みが活かせているか。
(3)再構築点
- 事業再構築指針に沿った取組みであるか。また異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。
- 既存事業における売上の減少が著しいなど、コロナの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。
- 市場ニーズや自社の強みを踏まえて「選択と集中」を組み合わせ、リソースの最適化を図る取り組みであるか。
- 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献できる事業か。
(4)政策点
- デジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、日本の経済成長を牽引し得るか。
- コロナが事業環境に与える影響を乗り越えてV字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。
- ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発などにより差別化を行い、グローバル市場においてもトップの地位を築く潜在性があるか。
- 地域の特性を活かして高い付加価値を創り出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか。
- 単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取り組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。
【加点項目】
『令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けた事業者に対する加点』
(1)令和3年の緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月~9月のいずれかの月の売上高が対前年(または対前々年)同月比で30%以上減少していること。※売上高の減少に代えて、付加価値額の45%減少でも可。
(2)上記(1)の条件を満たした上で令和3年1月~9月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同月に受給した協力金の額を上回ること。
『最低賃金枠申請事業者に対する加点』
(3)指定の要件を満たし、最低賃金枠に申請すること。
『経済産業省が行うEBPMの取り組みへの協力に対する加点』
(4)近年、効果的な事業を実施していくために、エビデンスに基づく政策形成(Evidence‐based policy making=EBPM)が推進されており、データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行うEBPMの取り組みに対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであるか。
『パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点』
(5)応募締切日時点で「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者。
※卒業枠、グローバルV字回復枠、大規模賃金引上枠が対象。
補正予算での事業再構築補助金の内容は?
最後に、これからの事業再構築補助金の実施動向を探ってみましょう。
先日決定された令和3年度補正予算案において、令和4年以降事業再構築補助金では、売上高減少要件を一部緩和のほか、複数事業者が連携する場合は売上高減少分を合算可能とするなど、使い勝手を向上させる計画が明らかになりました。
また、次の2つの特別枠の創設を予定しています。
- 業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者向けの特別枠(最大1,500万円、補助率3/4(中小))
- グリーン分野での取り組みを重点的に支援する特別枠(売上高減少要件なし、最大1億円、補助率1/2(中小))
最低賃金枠なども継続予定で、来年度もコロナの影響で売上が減少した事業者の方の事業再構築に係る設備投資等を支援する補助金として実施されます。(グリーン分野の特別枠では、売上高減少撤廃の予定です!)
まとめ
現在コロナの流行が全国的に落ち着いている状況ですが、新変異株オミクロン株の発生で、急拡大に備えて引き続きコロナ対策が求められることになるでしょう。
コロナの感染拡大でこれまでの当たり前がくつがえされ、新しい生活様式や新たなビジネス、新たな価値観などが生まれて社会は大きく変わりました。依然として続くコロナの影響で、ビジネスモデルの転換が求められる流れはなかなか止まりそうにありません。
ウィズコロナ・ポストコロナ時代に対応するための新分野展開や業態転換、事業再編等に取り組む事業者の方は事業再構築補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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