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事業再構築補助金第11回公募を徹底解説

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▼9月13日分更新
※9月13日から、第11回公募申請受付が開始しました。申請期間は9月13日(水)~10月6日(金)18:00です。

事業再構築補助金の第11回公募が開始されました。本補助金は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって業績が悪化した中小企業等を支援するものです。

事業再構築補助金は、事業計画書の作成が申請手続きのひとつとなっています。中小企業庁は本補助金の申請サポートとして、採択に繋がる事業計画書の考え方を公開しました。

第11回事業再構築補助金の内容と、事業計画書作成のポイントについて見ていきましょう。

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この記事の目次

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はじめに

今回の事業再構築補助金では、「サプライチェーン強靱化枠」の公募がなくなりました。したがって、第11回公募の枠は「成長枠」「グリーン成長枠」「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」「産業構造転換枠」「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」の7つです。

それぞれに要件が設定されていますが、それとは別に、共通の要件も定められています。今回の記事では、要件の概要や枠ごとに対象となる事業について紹介します。

また、補助金の採択には明確な事業計画の作成が鍵となります。中小機構のホームページで公開されている「事業再構築~虎の巻~」では、事業検討の考え方と、有望な事業に共通する特徴をまとめた動画やガイドブックが公開されています。これらの資料をもとに、事業計画書作成のコツもまとめました。

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、2021年3月から始まった補助事業です。長引く新型コロナウイルスの影響で売上が減少した企業の支援からポストコロナ時代への対応まで、社会的需要に応じて少しずつ変化してきました。

まずは第11回事業再構築補助金の概要について、見ていきましょう。

事業再構築補助金の概要

本事業は、新分野展開や業態転換といった新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰またはこれらの取組を通じた規模の拡大等の事業再構築に挑戦する中小企業等を支援します。目的は、日本経済の構造転換を促すことです。

事業再構築補助金は、認定経営革新等支援機関や金融機関から事業化に向けた助言等を受けた中小企業等が、事業計画等を提出することが申請手続きとなります。

事業スキームは、以下の図も参照してください。

出典:公募要領

補助対象者事業者

次に、補助の対象となる事業者について見ていきましょう。対象事業の内容は各枠で異なりますが、すべて日本国内に本社を有する中小事業者または中堅企業等が対象です。

ただし、経済産業省または中小企業庁から補助金等指定停止措置等を講じられている事業者は補助対象外です。

また、中小企業等がリースを利用して機械装置またはシステムを導入する場合には、リース会社の共同申請も可能です。この場合のリース会社については、中小企業者等でなくとも構いません。

事業再構築補助金の対象事業

支援の対象となる事業は、以下の要件を満たす必要があります。

①事業計画について、認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けている

②補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3~5%以上増加を達成する

そのほか、枠ごとに対象事業の要件があります。

7つの枠のうち、同一法人・事業者での各事業類型への応募は、1回の公募につき1申請に限られます。枠ごとの対象事業の概要は、以下のとおりです。

成長枠 成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を支援
グリーン成長枠 研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援
卒業促進枠 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援
大規模賃金引上促進枠 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援
産業構造転換枠 国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援
最低賃金枠 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な、特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援
物価高騰対策・回復再生応援枠 業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援

対象経費

対象経費は、以下の通りです。

①建物費 ■事務所、生産施設、加工施設等の建物の建設・改修に要する経費
■建物の撤去に要する経費
■賃貸物件等の原状回復に要する経費
■貸工場・貸店舗等に一時的に移転する際に要する経費
なお、建物の新築については必要性が認められた場合に限ります。

また、契約満了に伴う原状回復など、補助事業実施の有無にかかわらず発生する費用も補助対象外です。
②機械装置・システム構築費 ■機械装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費
■専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費
■上記に付随する、改良・修繕、据付けまたは運搬に要する経費

機械装置または自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費も含みます。

対象となる機械装置等は、単価10万円以上のものです。
③技術導入費 ■知的財産権等の導入に要する経費
④専門家経費 ■専門家に支払われる、コンサルティング業務や旅費等の経費

ただし、1日5万円が上限です。
⑤運搬費 ■運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
⑥クラウドサービス利用費 ■クラウドサービスの利用に関する経費

サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費です。サーバー購入費、サーバー自体のレンタル費等は対象になりません。また、自社の他事業と共有する場合も補助対象外です。
➆外注費 ■加工や設計・検査等の一部を外注する場合の経費
⑧知的財産権等関連経費 ■弁理士の手続代行費用
■外国特許出願のための翻訳料など、知的財産権等取得に関連する経費

以下の経費については、補助対象になりません。

・日本の特許庁に納付する手数料等
・拒絶査定に対する審判請求または訴訟を行う場合に要する経費
⑨広告宣伝・販売促進費 ■パンフレットや動画等、商品・サービスに関わる広告の作成および媒体掲載
■展示会出展
■セミナー開催マーケティングツール活用等の経費
➉研修費 ■教育訓練や講座受講等に関わる経費

事業計画書中に「研修名」「研修実施主体」「研修内容」「研修受講費」「研修受講者」についての情報を必ず記載してください。

また、補助対象経費総額の1/3が上限です。
⑪廃業費(産業構造転換枠のみ) ■廃止手続費
■解体費
■原状回復費
■リースの解約費
■移転・移設費用

以下の経費は補助対象外です。
・登記事項変更等に係る登録免許税
・定款認証料、収入印紙代
・印鑑証明等の各種証明類取得費用
・本補助金に関する書類作成代行費用
また、補助対象経費総額の1/2あるいは2,000万円が上限です。

補助金額と補助率

補助金額は、枠ごと、または企業規模や従業員数によって異なります。また「成長枠」と「グリーン成長枠」では、大規模な賃上げを行う場合に補助率が上がります。

各枠の補助金額と補助率は、以下の通りです。


【成長枠】
①補助金額 ■従業員数20人以下:100万円~2,000万円
■従業員数21~50人:100万円~4,000万円
■従業員数51~100人:100万円~5,000万円
■従業員数101人以上:100万円~7,000万円
②補助率 ■中小企業者等:1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3)
■中堅企業等:1/3 (大規模な賃上げを行う場合は1/2)

【グリーン成長枠(エントリー)】
①補助金額 ・中小企業者等
■従業員数20人以下:100万円~4,000万円
■従業員数21~50人:100万円~6,000万円
■従業員数51人以上:100万円~8,000万円

・中堅企業等
100万円~1億円
②補助率 ■中小企業者等:1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3)
■中堅企業等:1/3 (大規模な賃上げを行う場合は1/2)

【グリーン成長枠(スタンダード)】
①補助金額 ■中小企業者等
100万円~1億円

■中堅企業等
100万円~1.5億円
②補助率 ■中小企業者等:1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3)
■中堅企業等:1/3 (大規模な賃上げを行う場合は1/2)

【卒業促進枠】
①補助金額 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる
②補助率 ■中小企業者等:1/2
■中堅企業等:1/3

【大規模賃金引上促進枠】
①補助金額 100万円~3,000万円
②補助率 ■中小企業者等:1/2
■中堅企業等:1/3

【産業構造転換枠】
①補助金額 ■従業員数20人以下:100万円~2,000万円
■従業員数21~50人:100万円~4,000万円
■従業員数51~100人:100万円~5,000万円
■従業員数101人以上:100万円~7,000万円

廃業を伴う場合、廃業費が最大2,000万円上乗せになります。
②補助率 ■中小企業者等:2/3
■中堅企業等:1/2

【最低賃金枠】
①補助金額 ■従業員数5人以下:100 万円~500万円
■従業員数6~20人:100 万円~1,000万円
■従業員数21人以上:100万円~1,500万円
②補助率 ■中小企業者等:3/4
■中堅企業等:2/3

【物価高騰対策・回復再生応援枠】
①補助金額 ■従業員5人以下:100万円~1,000万円
■従業員6~20人:100万円~1,500万円
■従業員21~50人:100万円~2,000万円
■従業員 51 人以上:100 万円~3,000 万円
②補助率 ■中小企業者等:2/3
■中堅企業等:1/2

第11回事業再構築補助金の申請方法

第11回公募の締め切りは10月6日です。ただし、申請には事前に、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。IDの取得には1週間程度を要します。また、事業は交付決定後に開始しなくてはなりませんが、事前着手届出を提出した場合は、それ以前に購入した設備等も補助の対象となります。

申請のスケジュールや必要な書類を見ていきましょう。

申請スケジュール

申請スケジュールと事業開始までの流れは、以下のとおりです。

①事前着手届出
令和4年12月2日 (金) 以降の経費が対象
(※最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠に申請する事業者が、事前着手届出が受理された場合)

②公募開始
令和5年8月10日(木)

③GビズIDプライムアカウント取得 (未取得の場合)

④応募締切
10月6日(金)18:00

⑤審査結果の通知・公表

⑥補助金の交付申請手続き

➆事業開始

申請の仕方

申請は、電子申請システムでのみ受け付けられます。郵送等での申請はできませんので、注意してください。

なお、GビズIDプライムアカウントは、補助金交付候補者の採択後の手続においても使用します。アカウント情報等は、大切に保管してください。

申請に必要な書類

申請時には、類型別に必要な書類が異なります。すべての類型で必要な書類は、以下の①~⑥です。

①事業計画書
②認定経営革新等支援機関による確認書または金融機関による確認書
③決算書等
④事業財務情報
・経済産業省ミラサポplus「電子申請サポート」により作成情報
⑤従業員数を示す書類
・労働者名簿の写し
⑥収益事業を行っていることを説明する書類
【法人の場合】
・直近の確定申告書別表一および法人事業概況説明書の控え
【個人事業主の場合】
・直近の確定申告書第一表および所得税青色申告決算書の控え

留意点

申請にあたっては、以下の点に留意してください。

■補助金額が1,000万円を超える案件では、事業者は建設した建物等の施設または設備を対象とした保険や共済への加入義務を負います。ただし、小規模企業者にあっては、これに準ずる取組の実施に代えることができます。

■「中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポ plus」の「電子申請サポート」で事業財務情報を作成の上、ブラウザの印刷機能で PDF 出力し、提出する必要があります。

■以下の期間内に、契約(発注)、納入、検収、支払および補助事業実績報告書の提出等のすべての事業の手続きが完了することが必要です。
①成長枠、産業構造転換枠、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠
交付決定日から12か月以内。ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで。

②グリーン成長枠
交付決定日から14か月以内。ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで。

③卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠
交付決定日から成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで。

■GビズIDプライムアカウントの取得手続きの遅れによる申請期限の延長等は、一切認められません。

事業再構築補助金の採択のポイントとコツ

事業再構築補助金に採択されるには、適切な事業計画書の作成がポイントです。中小機構ホームページの「事業再構築~虎の巻~」では、「事業再構築に向けた事業計画書作成ガイドブック」が公開されています。

ここではガイドブックの内容を元に、採択のコツについて考えていきましょう。

事業計画書の考え方

中小企業庁が作成したガイドブックでは、事業再構築に必要なのは「ポストコロナ・ウィズコロナ時代の環境変化を受けて「自社の強みを活かして、どのような新しい価値を生み出せるか」、日々の事業を通じて感じていることを見つめ直して言葉にすること」とされています。

そのために必要なステップとしては、以下の3つが挙げられました。

①事業再構築の必要性
②有望な事業テーマの選定
③事業計画の具体化

それぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう。

事業再構築の必要性

■なぜ事業再構築が必要なのかを考える

「なぜ事業再構築が必要なのかを考える」ことは、「ありたい姿を言語化」することに繋がります。新型コロナウイルスの影響を受けて、事業を行う環境が大きく変化した中で、自社の「ありたい姿」を改めて見つめ直してみましょう。

有望な事業テーマの選定

■自社にとって有望な事業テーマの選定方法を考える

事業テーマは、「自社にとって有望」なものであるべきです。流行りのテーマや社会的需要の高さで選別するのではなく、自社の「ありたい姿」に視点を定め、強みや弱みを軸にした事業計画を立てましょう。

事業計画の具体化

■事業検討において具体的に考えるべき項目と粒度感を考える

有望な事業計画書には、共通して「検討が必要な項目」が含まれています。以下の手順に従って、事業計画を具体化してみましょう。

①事業再構築の方針決定
②新製品/サービスと実現する強み
③目標設定と投資対効果の検証
④実行可能な計画の策定

以上のポイントを押さえ、具体的で実用性の高い事業計画書の作成を目指しましょう。

また、中小機構のホームページでは採択事例として、補助金交付候補者の事業計画書も掲載されています。

事業計画書の書き方に迷ったら、こちらも参考にしてください。

事業再構築補助金 よくある質問

事業再構築補助金の全体像がつかめたら、最後に「よくある質問」を確認してみましょう。中小機構のホームページには、項目別によくある質問がまとめられています。

ここではその中から、特に重要な項目を5つ抜粋しました。

事業再構築補助金申請に関するFAQ

Q1.本補助金において「コロナ以前」は2019年または2020年1~3月です。申請の要件に記載された「任意の3か月」として2021年1、2、3月を選択した場合、2019年1~3月または2020年1~3月のどちらと比較しても良いのでしょうか。

A1.可能です。なお、2019年1月、3月、2020年2月のように、連続していない月も選択できます。

Q2.「売上高10%」や「売上高構成比」等の要件を達成できなかった場合、補助金は返還する必要があるでしょうか。

A2.補助金を返還する必要はありません。ただし、事業計画の達成に向けて責任をもって取り組むことは必要です。また、事業を継続せずに中止する場合は、残存簿価相当額等により、補助金交付額を上限として返還の必要かあります。

なお、卒業促進枠および大規模賃金引上促進枠については、要件未達の場合は補助金の支給はありません。

Q3.複数の類型にまたがって該当する場合、複数の類型を組み合わせた事業再構築に取り組むことは可能でしょうか。

A3.可能です。ただし、申請時には主たる類型を1つ選択する必要があります。

Q4.補助金の支払はいつ頃でしょうか。

A4.原則として、精算払いとなります。補助事業終了後に補助事業実績報告書を提出し、その後に補助金額が確定します。なお、一定の条件のもとで概算払も可能です。

Q5.サブスク型広告費用は、広告宣伝・販売促進費の対象になりますか。

A5.対象になります。ただし、補助事業実施期間内使用・掲載される広告の費用に限ります。

まとめ

第11回事業再構築補助金のポイントは、次の3つです。

①第11回の公募では「サプライチェーン強靱化枠」がなくなり、類型枠は7つになりました
②申請に必要な「GビズIDプライムアカウント」の取得には、1週間程度を要します
③事業計画書は「事業再構築の必要性」「有望な事業テーマの選定」「事業計画の具体化」がポイント

新型コロナウイルスは5類感染症へと移行しましたが、その感染拡大がもたらした影響は、まだ広く社会に残っています。業績回復が遅れる中小企業にとっては、世界的に不安定な社会情勢や物価上昇も大きな課題です。

事業再構築補助金は、厳しい状況の中でも、新たな販路開拓や賃上げに向けた取組に挑戦する企業を支えます。ポイントを押さえた事業計画書を作成し、採択を目指しましょう。

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