これから東京都でどのような政策を行うのか、東京都知事選挙の立候補予定者が公約を発表しています。公約には少子高齢化対策や子育て支援、中小企業の賃上げ、災害対策など、力を入れる分野が反映されるため、主張の違いに注目が集まっています。
しかし、各人の打ち出す政策、公約の違いを知るのと同じくらい重要なのは、東京都の過去の取り組みを理解することではないでしょうか?なぜなら「小池都知事の任期中にどのような政策が推進されてきたか」を知ることは、これまでの実績を把握し、今後東京に必要な政策をより深く考える手がかりになるからです。
この記事では、2017年から2024年までの予算における「新規事業」から、補助事業を中心に、小池都知事の任期中に推進された政策について紹介します。新規事業を選んだ理由は、これらが小池都知事の就任後に始まった事業であるため、リーダーシップと政策の方向性を示す実績として理解しやすいからです。それでは、これまでに実施された新規補助事業の概要を見ていきましょう。
この記事の目次
東京都の予算とは
予算とは、1年間の収入と支出の見込みをまとめたもので、その年度の事業計画のようなものです。東京都では、予算を「一般会計」、「特別会計」、「公営企業会計」の3つに区分して管理しています。一般会計は主に税金をもとに作られ、基本的な行政サービスを提供しています。
出典:東京都財務局 東京都予算案のあらまし
小池都知事の公約:7つのゼロ
2016年の都知事選で掲げたのは「都民ファースト」「情報公開」「賢い支出」を柱とする東京大改革と、「7つのゼロ」。
7つのゼロは待機児童、介護離職、残業、都道電柱、満員電車、多摩格差、ペット殺処分の解消を目指し、ゼロにする、というものでした。これらは、政策に反映されたのでしょうか?
東京都財務局のウェブサイトの「予算」のページでは、平成29年度から令和6年度までの予算を見ることができます。さっそく平成29年度予算から順に確認していきましょう。
東京都 平成29年度予算【2017年】
平成29年度予算は、一般会計が前年比0.8%減の6兆9,540億円と5年ぶりに減少しました。この予算編成では、全事業の総点検を実施し、事業の必要性や経費を検証しながら無駄を排除しました。同時に、未来への投資として新規事業382件を立ち上げています。ここでは、主な事業を紹介します。
・保育所等ICT化推進事業(保育士等の負担軽減のため、書類作成等支援システムの導入経費を補助)
・保育士に対する居宅訪問型保育利用支援事業(保育士の復職時に認可外保育を利用する場合の負担軽減)
・企業主導型保育施設設置促進事業(施設開設時の備品購入経費を補助)
ポイント⇒待機児童問題を解消するため、保育所等の整備を促進し、保育スタッフの確保と定着を強化する取り組みを進める。
・既存住宅における高断熱窓導入促進事業(住宅で熱が最も逃げる「窓」の高断熱化経費に対して新たに補助)
・中小企業へのIoT化支援事業(産業技術研究センター・中小企業振興公社が連携して、中小企業のIoT化を支援)
【セーフシティの実現】
・東京都無電柱化推進条例の制定(条例を制定して無電柱化を計画的に推進)
・女性視点の防災ブックの検討・作成(液体ミルクの備蓄・活用に向けた検討などを実施)
・中小企業における危機管理対策促進事業(リスク発生下においても中小企業が事業継続を行えるよう、機器整備等への支援を実施)
ポイント⇒スマートエネルギー都市の実現を目指した省エネルギー対策や、首都直下地震をはじめとする大規模災害への備えを強化。
東京都 平成30年度予算 【2018年】
平成30年度の東京都予算は、前年比1.3%増の7兆460億円。「セーフシティ」「ダイバーシティ」「スマートシティ」の3つのシティの実現や「新しい東京」の創出、東京2020大会の準備などに注力しつつ、407件の新規事業を立ち上げました。
出典:東京都財務局 平成30年度 東京都予算案まるわかりブック
・働く⼈のチャイルドプランサポート事業(企業担当者への研修や企業への奨励⾦により、不妊治療と仕事の両⽴を⽀援)
・働くパパママ育休取得応援事業(男性の育児休業奨励など企業の職場環境整備を推進)
・在宅⼦育てサポート事業(保育サービスを利⽤していない1歳未満児の保護者の家事負担軽減を⽀援)
・保育⼠等キャリアアップ研修⽀援事業(国の新たな処遇改善加算の要件となっている、専門分野別の研修を実施する指定研修実施機関を支援)
・ICT機器活⽤による介護事業所の負担軽減⽀援事業(離職率低下・介護人材の定着を促すため、居宅サービス事業所の介護業務の負担を軽減するICT化を支援)
・東京都区市町村介護⼈材緊急対策事業(介護⼈材の確保・定着・育成を図るため、区市町村が取り組む介護⼈材対策への⽀援を実施)
・LINEを活⽤した⾃殺相談(LINEによる⾃殺相談を試⾏的に実施)
・SNSを活⽤した教育相談体制の検討(教育についての様々な悩みに関するSNS相談体制を検討)
ポイント⇒誰もが希望を持って活躍でき、いつまでも安⼼して暮らせる都市に東京を進化させていくための取り組みを進める。
・創薬系ベンチャー育成⽀援事業(⼈材育成や資⾦調達機会の確保などの課題を持つ創薬系ベンチャー企業等に対する⽀援)
・事業承継⽀援ファンド(中⼩企業の事業承継を円滑に進めるとともに、事業承継を契機とした次なるステージヘの成⻑を促進)
・集合住宅における充電設備導⼊促進事業(EV普及のため、集合住宅の充電設備設置に補助とアドバイザー派遣、太陽光発電システム併設にも補助を提供)
・電動バイクの購⼊費補助(電動バイク購⼊費補助を実施)
【セーフシティの実現】
・都営住宅の外周道路等の無電柱化(災害時における「避難場所」の安全性を⾼めるため都営住宅の外周道路等の無電柱化を実施)
・住宅の耐震化(整備地域外の住宅に対する、耐震診断及び耐震改修費⽤等を助成)
・住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給促進(住宅確保要配慮者の⺠間賃貸住宅への円滑な⼊居促進を図るため、区市町村等が実施する取組に対して補助)
ポイント⇒⽇本の成⻑のエンジンとして、東京の発展を加速化させる取り組みを展開する。また、都民の安全・安⼼の確保に向けて、ハード・ソフト両⾯から総合的な取り組みを推進する。
出典:東京都 平成30年度(2018年度)東京都予算案の概要
東京都 令和元年度予算 【2019年】
令和元年度一般会計の予算規模は、東京2020大会準備の総仕上げなどに伴い、前年度に比べて5.9%増の7兆4610億円となりました。
出典:東京都財務局 平成31年度 東京都予算案まるわかりブック
・区市町村庁舎の非常用電源装置等支援(災害本部が設置される区市町村庁舎の非常用電源の設置に係る経費の補助や専門家派遣)
・災害拠点病院等自家発電設備等整備強化事業(災害時における医療機能の確保のため、自家発電装置を水害等から守るための対策を支援)
・救急機動部隊の拡充(救急需要の増大に伴い、救急機動部隊を拡充)
ポイント⇒気候変動や災害に対する都市力を高める取り組みを推進。
・シニア創業促進事業(シニア層の起業に向けた後押しを実施)
・インキュベーション農園整備事業(ICT活用などの新技術を試行する場を提供し、農業の高収益化へのチャレンジを支援)
・中央卸売場活性化支援事業(事業者や団体などが行う販路拡大や商品の高付加価値化、品質衛生管理の高度化に向けた取り組みを支援)
・家庭のゼロエミッション行動推進事業(省エネ性能の高い家電等への買替に対して、商品券等がもらえるポイントを付与)
・東京ゼロエミ住宅導入促進事業(省エネ性能の高い住宅を普及させるため、都が定める水準を満たす新築住宅に対して補助)
・地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業(中小規模事業所に無料で省エネコンサルティングを行う事業者を補助)
・住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業(リース、電力販売、屋根貸し等による初期費用ゼロでの太陽光発電導入を補助)
・省エネ型ノンフロン機器普及促進事業(省エネ型ノンフロン機器を導入する中小企業に対し補助を実施)
ポイント⇒稼ぐ力を高めて持続可能な東京を実現するための成長戦略や、気候変動対策の取り組みを展開。
・児童虐待を防止するためのSNSを活用した相談事業(LINEを活用しより相談等にアクセスしやすい環境を提供)
・介護保険施設等におけるICT活用促進事業(特別養護老人ホーム等におけるICT環境整備や見守り支援機器等の導入を支援)
・テレワーク導入促進整備補助事業(はじめてテレワーク)(コンサルティングを受けた企業に対し、テレワークのトライアル導入に必要な経費を支援)
・介護休業取得応援事業(従業員に介護休業を取得させ、復帰させた企業への支援を行う)
ポイント⇒多様なサービスの充実に向けた取り組みや介護人材の確保、定着のための取り組みを行う。
【その他:産業の振興】
・創業支援拠点(多摩)の設置・運営
・多摩・島しょ魅力発信事業
・島しょ地域キャッシュレス化推進事業
・島しょの高校におけるICT活用
出典:東京都 平成31年度(2019年度)東京都予算案の概要
東京都 令和2年度予算 【2020年】
令和2年度の一般会計の予算規模は前年度に比べて1.4%減の7兆3,540億円で、無駄の排除を徹底しつつ、2020年東京オリンピックの成功と東京の持続的な成長を目指す施策に予算が配分されました。
出典:東京都財務局 令和2年度 東京都予算案まるわかりブック
・不育症検査助成
・未就園児全戸訪問事業
⇒産前・産後における不安・負担の解消に向けた切れ⽬ない⽀援の充実
・多⼦世帯に対する都⽴⾼校等の授業料⽀援
・私⽴専修学校授業料等減免費⽤負担⾦
⇒教育機会の格差解消に向けた⽀援
・AI等を活⽤した認知症研究事業(認知症施策)
・⾼齢者安全運転⽀援装置設置促進事業補助
・⾼齢者施設等のBCP策定⽀援事業
⇒高齢者の安全・安心の確保
・サテライトオフィス利⽤促進事業(ライフ・ワーク・バランスの充実)
・ソーシャルファーム⽀援事業
・就職氷河期世代雇⽤安定化⽀援事業
⇒多様なニーズに応じた雇⽤対策・就業⽀援
・河川における監視カメラの設置拡⼤
・島しょにおける遠隔医療の実証
・多摩都市モノレールの整備
⇒都市の強靭化に向けた対策や都市インフラの機能向上
【⽇本の発展を牽引し世界の中で輝く東京】
・新事業発掘プロジェクト
・⾏政課題解決型スタートアップ⽀援事業
・東京型スマート農業プロジェクト
・東京都施策推進型商店街モデル事業
⇒稼ぐ力を高めるための起業、創業支援
【美しく、魅⼒あふれる都市】
・EVバス導⼊促進事業
・家庭における熱の有効利⽤促進事業
・東京型スマート農業プロジェクト
・東京都施策推進型商店街モデル事業
・スマートエネルギーネットワーク構築事業 (事業所等における省エネルギー対策の推進)
⇒ゼロエミッション東京の実現
・富裕層向けナイトライフ観光コンテンツ開発⽀援
・デザインマンホール等ツーリズム推進事業
・東京2020⼤会後の賑わい創出⽀援
⇒多彩な観光資源の開発・発信
小池都知事の二期目:東京大改革2.0
2020年の都知事選で、小池都知事は「東京大改革2.0」を公約として掲げました。この計画は、都民の命と生活を守りながら東京の経済発展を目指すもので、「都民の命を守り『稼ぐ』東京の実現」「『人』が輝く東京」「都民ファーストの視点での行財政改革・構造改革」を柱としました。また、セーフシティ、ダイバーシティ、スマートシティを軸にした都市開発をさらに推進し、その質を高める方針を打ち出しています。
東京都 令和3年度予算【2021年】
⼀般会計の予算規模は、コロナ禍に対応し、社会と経済の早期回復を目指す取り組みと、東京の未来を形作る長期戦略に焦点を当てた予算配分により、前年度比で1.0%増加の7兆4250億円となりました。新規事業は430件でした。
出典:東京都財務局 令和3年度 東京都予算案まるわかりブック
・都児童相談所と⼦供家庭⽀援センターの連携による予防的⽀援の推進
・児童福祉⼈材の確保・育成
⇒児童養護等の充実
・障害児の放課後等⽀援事業
・新しい⽇常における介護予防・フレイル予防活動⽀援事業〜コロナに負けない︕〜
・⾼齢者施設等の感染症対策設備整備推進事業
⇒特別⽀援教育の推進や⾼齢者の社会参加、介護サービスの充実
・働き⽅改⾰促進事業
・テレワーク導⼊・運⽤課題解決サポート事業
⇒社会構造の変化に適応した働き⽅改⾰
・避難所における感染症対策物資購⼊⽀援
・乗合バスにおける感染症対策に係る整備事業
⇒感染症対策の実施
【⽇本の発展を牽引し世界の中で輝く東京】
・⾦融系外国企業重点分野⽀援補助⾦
・オンライン活⽤型販路開拓⽀援事業
・⽣産性向上のためのデジタル技術活⽤推進事業
・「新しい⽇常」対応型サービス創出⽀援事業
・躍進的な事業推進のための設備投資⽀援事業
・地域産業活⼒創出⽀援事業
⇒国際⾦融都市の実現・外国企業誘致の推進、中⼩企業・地域産業の⽀援
【美しく、魅⼒あふれる都市】
・政策課題対応型専⾨家派遣事業
・ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発⽀援事業
・中⼩規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導⼊⽀援事業
⇒省エネルギー対策の推進
【東京2020⼤会の開催とレガシーの創出】
・ホストタウン等における新型コロナウイルス感染症対策
・「アートにエールを︕」フォローアップ事業 ⼤規模イベント・公演助成
⇒⼤会開催に向けた着実な準備・運営等
東京都 令和4年度予算【2022年】
一般会計の予算規模は7兆8010億円で、持続可能な都市の実現や東京2020大会のレガシーを活かした取り組みに重点を置いた結果、前年度比で+5.1%の増加となりました。
出典:東京都財務局 令和4年度 東京都予算案まるわかりブック
・中小病院におけるポストコロナ時代の感染症健康危機への対応能力強化事業
・手洗い場の設置等支援事業
・東部低地帯や東京港における新たな耐震・耐水対策
・DXによる農業基盤の防災力強化
・大規模災害発生時の帰宅困難者民間一時滞在施設の対応力強化支援事業
・テナントビル等安全対策強化支援事業
⇒感染症に強い都市づくり、台風・豪雨への備え、災害対応力・災害医療対策の強化
【自然と調和した持続可能な都市】
・災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
・既存住宅省エネ改修促進事業
・都有施設の再エネ100%化につながる島しょ地域における太陽光発電設備等導入事業
⇒省エネルギー対策の推進
【世界から選ばれる金融・経済・文化都市】
・ファンドによる脱炭素化ベンチャー支援
・中小企業デジタルツール導入促進支援事業
・地域産業デジタル化推進事業
・障害者向け製品等の販路開拓支援事業
・港湾DX加速化補助金(システム改修)
⇒中小企業支援による経済活動の活性化、港湾・物流機能の強化
・サステナブル・ツーリズム推進事業
・観光関連事業者の連携促進による経営支援事業
・観光事業者のデジタル化促進事業
⇒観光産業の活性化等
・区市町村スポーツ実施促進補助事業
・大規模文化事業推進助成
⇒文化戦略の推進
・介護職員処遇改善支援事業
・男性育休取得促進に向けた普及啓発事業
・都型放課後等デイサービス事業
⇒介護サービスの充実、女性の活躍促進、障害者の暮らし・就労への支援
・DX人材リスキリング支援事業
・長期失業者等に向けたフォローアップ支援
・テレワーク導入ハンズオン支援事業
・町会・自治会による防災対策普及啓発事業助成
⇒多様なニーズに応じた雇用対策・就業支援、自分らしく暮らせる環境や人とのつながりの創出
【子供にやさしい社会の実現】
・卵子凍結に関する取組
・高校生等医療費の助成
・学童クラブ待機児童対策提案型事業
⇒結婚・妊娠・出産から子育てまでの切れ目ない支援、子供の居場所づくり
・高校段階における一人1台端末整備に係る保護者負担軽減策
・私立高等学校等端末整備費補助
⇒子供を伸ばす教育の推進
東京都 令和5年度予算【2023年】
一般会計の予算規模は、子供たちへの投資、都市活動の基盤となる安全・安心、持続可能で美しい地球を未来に残す取り組みに重点的に予算配分したことなどにより、前年度に比べて3.1%増の8兆410億円となりました。新規事業は615件を構築しています。
出典:東京都財務局 令和5年度 東京都予算案まるわかりブック
・結婚支援マッチング事業
・働く女性のライフ・キャリアプラン応援事業
・第二子の保育料無償化
・018サポート
・私立中学校等特別奨学金補助
⇒出会い・結婚への希望を叶える支援、妊娠・出産を希望する方への支援、子育て世帯に寄り添った支援等
【新しい時代を切り拓く人材育成】
・都立高校生の海外交流事業
・普通科高校におけるスキルアップ推進校指定制度
⇒世界で活躍できるグローバル人材の育成、子供を伸ばす教育の推進
【誰もがいきいきと働ける社会の実現】
・成長産業人材雇用支援事業
・ライフイベントと仕事の両立へのスキルアップ等応援事業
・テレワーク定着促進フォローアップ事業
・TOKYOシニア食堂推進事業
⇒企業における職場環境の整、高齢者の社会参加の促進・暮らしへの支援
・女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業
・男性育業もっと応援事業
⇒女性の活躍促進
【世界から選ばれる金融・経済・文化都市】
・宿泊施設を活用した文化体験等観光支援事業
・プロジェクションマッピングの展開
・メタバースを活用した観光PR
・宿泊施設デジタルシフト応援事業
・観光事業者による環境対策促進事業
⇒国際・観光都市東京の実現
・Tokyo Innovation Baseの整備
・大学発スタートアップ等促進ファンド
・創エネ・蓄エネ推進ファンド
⇒イノベーションを起こす場の創出、国際金融都市の実現
・企業変革に向けたDX推進支援事業
・中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業
⇒中小企業支援による経済活動の活性化
・市町村下水道事業強靱化都費補助
・水害リスク「我が家・我が事」プロジェクト
・富士山噴火降灰対策の強化
・関東大震災100年を契機とした町会・自治会の防災力強化
⇒激甚化する風水害への備え、大地震や火山噴火への備え、地域防災力の強化
【脱炭素社会の実現】
・家庭のHTTムーブメント普及促進事業
・ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業
・既存非住宅省エネ改修促進事業
・小売電気事業者による再エネ電源先行拡大事業
・バイオ燃料活用における事業化促進支援事業
⇒省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入拡大
【誰もがいきいきと働ける社会の実現】
・成長産業人材雇用支援事業
・ライフイベントと仕事の両立へのスキルアップ等応援事業
・テレワーク定着促進フォローアップ事業
・TOKYOシニア食堂推進事業
⇒企業における職場環境の整、高齢者の社会参加の促進・暮らしへの支援
【「スマート東京」の推進】
・「つながる東京」Wi-Fiアクセスポイントの整備
・都内中小企業向けデジタル技術導入促進ナビゲーター事業
⇒都市強靱化対策、事業活動のデジタル化促進
東京都 令和6年度予算【2024年】
令和6年度の予算では、東京が持続可能な都市へと発展し、日本の成長を牽引するために、人々が輝く社会の実現、国際競争力の強化、安全・安心の確保を目指す施策に予算を配分しました。この結果、一般会計は前年度比5.1%増の8兆4530億円となりました。
出典:東京都財務局 令和6年度 東京都予算案まるわかりブック
・プラチナ・キャリアセンターの創設
・介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業
・高齢者向け製品・サービスの販路開拓支援事業
⇒高齢者の活躍を支える取組、介護サービスの充実
・男性育業推進リーダー事業
・育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進事業
・女性ITエンジニア育成事業
・ファンドを活用した女性活躍の推進等に向けたスタートアップ支援
・女性・若者・シニア創業サポート2.0
・インクルーシブ教育システム体制の整備
⇒働く環境の整備、女性のチャレンジ支援、地域で支え合う社会の実現に向けた取組
【誰もが優しさを感じられる社会】
・都営住宅を活用した若年・中年単身者住居確保支援事業
・キャリアチェンジ再就職支援事業
⇒就職氷河期世代などへの支援
【子供の笑顔があふれる都市】
・東京都公立学校給食費負担軽減事業
・東京都立大学等の授業料実質無償化
⇒子育て世帯に寄り添った支援
・DX推進支援事業
・中小企業の従業員処遇改善応援事業
・新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業
・ものづくり等産業人材育成支援事業
⇒中小企業支援による経済の活性化
・観光事業者による旅行者受入対応力強化支援事業
・旅行事業者デジタルツール導入支援事業
・観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業
・ロボットトライアル導入支援事業
・芸術文化へのアクセシビリティ向上
⇒未来を見据えた魅力的な観光都市への取り組み
【世界一安全・安心で強靱な都市】
・多摩地域の防災拠点の機能強化
・災害時におけるトイレ環境向上策の策定
・社会福祉施設等への非常用電源等の整備促進事業
・火山災害対策車両の整備
⇒大地震への対策強化、火山噴火対策
【気候危機へ立ち向かい、脱炭素化を加速】
・東京ゼロエミ住宅普及促進事業
・中小規模事業所のゼロエミッションビル化支援事業
・中小規模事業所向け廃熱有効利用設備導入支援事業
⇒省エネルギーの最大化
【「スマート東京」「シン・トセイ」の推進】
・こどもDXの推進
・デジタル地域通貨プラットフォーム「Tokyo Tokyo Point」を活用した施策の推進
・「待たない、書かない、キャッシュレス」窓口の実現
⇒デジタルによるサービス改革の深化
小池都知事の実績
小池都知事の任期中、多岐にわたる分野での実績があります。特に子育て支援の面では、待機児童が2023年4月1日時点でほぼ解消され、都内の40の自治体でゼロになりました。このほか保育の無償化推進や男性の育児休業取得率の向上、高校授業料の無償化、所得制限なしの018サポート、そして公立学校給食費の保護者負担軽減などが進められました。これらは、子育てしやすい環境を整えるための施策として大きな意味を持つでしょう。
また、福祉・健康面では、LINEなどを活用した相談窓口を開設し、よりアクセスしやすいサポートを提供しています。女性の活躍を促進するため、不妊治療の助成拡充や卵子凍結への支援も実施され、女性が社会で活躍するための基盤を強化しました。
経済面では、テレワークの導入による生産性向上や様々な中小企業支援を行い、東京都の経済力強化に取り組んでいます。さらに、危機管理においては新型コロナウイルス対策や地震被害のリスク軽減など、都民の安全を確保するための施策を進めました。教育面では、一人一台の学習用PCを通じたオンライン学習環境の整備も行われ、教育の質の向上に寄与しています。
2017年度と2024年度の比較
いまから7年前の2017年と、2024年の東京都の1人当たり予算を比較すると、いくつかの分野で増加がみられます。これは都政の取り組みがどのように進んでいるかを示す1つのバロメーターとなります。以下は、東京都の予算を、目的別に都民1人当たりの予算に置き換えたものです。
出典:東京都 平成29年度(2017年度)東京都予算案の概要
出典:東京都 令和6年度(2024年度)東京都予算案の概要
分野 (抜粋) | 2017年予算 (円) | 2024年予算 (円) | 増加率 (%) |
---|---|---|---|
福祉と保健 | 88,040 | 114,141 | 29.65% |
教育と文化 | 81,127 | 99,102 | 22.16% |
労働と経済 | 35,279 | 50,416 | 42.91% |
まず目につくのが、福祉と保健の増加です。福祉と保健の予算が大幅に増加していることは、少子高齢化社会への対応強化や、公衆衛生の向上に対する取り組みが強化されていることを示しています。次に、教育と文化です。ここへの投資が増加していることは、教育の質の向上や文化活動の充実を目指す方針が反映されています。さらに、労働と経済でも大幅な増加が見られます。労働と経済分野の予算増は、中小企業支援や雇用創出施策の充実を意味します。経済の活性化と雇用の安定による都市全体の繁栄を目指しています。
これらのデータから、東京都は福祉と保健、教育と文化、労働と経済などの分野で予算を増やしており、都市の持続可能な成長と市民の生活の質向上を目指していることが分かります。
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都知事選でどう変わる?政策・補助金助成金
小池都知事は今回の公約で、「もっと!よくなる!『東京大改革3.0』」を掲げ、これまで以上に、都民の生活と安全を守り東京を発展させるための政策を展開するとしています。
小池都知事が3期目を務めることになれば、セーフシティ、ダイバーシティ、スマートシティの3つのシティを目指すべき都市像に据えて、既存の取り組みをさらに進化させた政策が行われます。たとえば、以下のような政策、補助を行う方針です。
災害対策では、木造住宅が密集する地域の解消や「無電柱化」の取り組み、マンション防災などを、さらに進めるとしています。
子育て・教育支援策としては、第2子以降の保育料無償化を第1子に拡大し、出産時の無痛分娩費用の助成や子育て世帯の家賃負担軽減などを行います。東京都版大学給付型奨学金制度や海外留学制度の創設も盛り込みます。
さらに、スマートシティとして、脱炭素の加速、スタートアップ支援、中小企業の賃上げの徹底支援、行政手続きの100%デジタル化などが盛り込まれています。これまでの政策からの大きな転換ではなく、小池都知事の3期目は、任期中の取り組みをブラッシュアップ・バージョンアップするという形になる見込みです。
まとめ
今回の公約発表の際、小池都知事は東京と都民が直面するすべての課題に正面から取り組むと述べました。
そこで、任期中に推進された政策を通じて、これまでどのような課題に取り組んできたのかを把握することが重要だと考え、本記事では2017年以降に始まった新しい事業から企業や個人への支援例を中心に紹介しました。
選挙は都民一人ひとりの声が未来を形作る機会です。東京が直面する課題と提案された解決策を踏まえ、過去の取り組みも参考にしながら、ご自身が望む都政の方向性をしっかり見極めてください。