令和2年3月25日、東京都は週末(3月28日~29日)の不要不急の外出自粛を都民に要請しました。背景にはこの数日で都内の感染者が急増したことがあげられます。小池百合子知事は、「このままの推移が続けば、ロックダウンを招く恐れがある」とも述べ、強い危機感を表明しました。
その翌日である26日には、東京、神奈川、埼玉、千葉、山梨の5都県の知事が人混みへの不要不急の外出自粛などを呼びかける住民向けの共同メッセージを出しています。そのなかで「今後、感染者の爆発的な増加や都市封鎖・ロックダウンなどの最悪の事態を回避するため、私たちは連携し、断固たる決意を持って対策を進めていく」とし、住民や企業の協力を求めています。
参考:毎日新聞 東京など5知事がメッセージ「ロックダウン回避に断固たる決意」 小池都知事、首相に支援要請
緊急会見や共同メッセージに出てきた「ロックダウン」とは、感染の拡大を防ぐことを目的に外出禁止や店舗閉鎖を命じることで、ロックダウンの措置が取られると、住民や企業の活動は大きく制限されます。海外の都市ではすでに実施されているところもあり、ニュースなどで閑散とした街の様子を目にした方も多いのではないでしょうか。
これが東京で起きたらどうなるのだろう……と不安に思った方も少なくないはずです。そこで今回は「東京都・首都圏がロックダウンになる前に準備しておくべき対策とは」というテーマで、企業はどのようなことに留意し、いまから準備をしておくべきなのかを考えてみましょう。使える助成金・補助金、融資の情報などもお伝えしますので、自社にあった対策や支援を探してみてください!
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この記事の目次
生活に必須の業種以外は営業の中止や在宅勤務を余儀なくされることも
海外のロックダウンでは、生活に不可欠なスーパーや病院、薬局などは営業を続けていますがそれ以外のサービスは営業を中止するケースが多くみられます。また外出禁止のため、企業は在宅勤務を余儀なくされています。日本で「外出の禁止」や「外出したら罰金」などの厳しい措置を行うことは難しいと思われますが、前例がないことですので、ここでは海外のロックダウンのケースを参考に考えてみます。
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対策1:在宅勤務(テレワーク)体制の整備
25日の小池知事の緊急記者会見や翌日の共同メッセージでは「できるだけ自宅で仕事をするように」と要請し在宅勤務(テレワーク)の実施が求められています。また感染拡大防止策として、早くからテレワークが推奨されているため、テレワークの導入を検討することはロックダウンへの備えというだけでなく、いまだ終わりが見えない新型コロナウイルスへの対策として、企業ができる重要な取り組みであるといえます。
現在テレワーク導入に活用できる助成金・補助金は以下のとおりです。
・厚生労働省 時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
・東京都 事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
・IT導入補助金
それぞれの内容を簡単に確認しましょう。
厚生労働省 時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
時間外労働等改善助成金に時限的に設けられた特例コースです。(※令和2年4月1日以降は「働き方改革推進支援助成金」に名称変更予定)新型コロナウイルス感染症対策として、新たにテレワークを導入する中小企業事業主に対し、取り組みにかかる費用の一部を助成します。
■助成率:1/2
■上限額:100万円
■実施期間:令和2年2月17日~5月31日
■交付申請期限:令和2年5月29日
■活用例:テレワーク用通信機器の導入・運用など。(※パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象外)
支給要件として、事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が1名以上いることが求められます。
東京都 事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
新型コロナウイルス感染症等の拡大防止および緊急時における企業の事業継続対策としてテレワークを導入する都内の中堅・中小企業等に対し、導入に必要な機器やソフトウェア等の経費を助成します。
■助成率:10/10
■上限額:250万円
■実施期間:~6月30日
■交付申請期限:令和2年5月12日(※予算の範囲で申請受付期間内でも終了する場合があります)
■活用例:感染症の拡大防止および緊急時の事業継続対策として行う、在宅勤務等を可能とする情報通信機器等の導入によるテレワーク環境整備。(※パソコン、タブレット、スマートフォンなども対象)
IT導入補助金(1次公募)
IT導入補助金は、ソフトウエア、サービス等のITツールを導入して業務効率化等に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援する制度です。現在1次公募期間中ですが、今年度から通年での公募となり、今後6月、9月、12月にも締切が設けられる予定です。
■補助率:1/2
■上限額:30万円~450万円(1次公募の上限は150万円)
■交付申請期限(1次公募):令和2年3月31日
■活用例:在宅勤務制度を新たに導入するための、業務効率化ツールとテレワークツールの導入など。(※ハードウェアは補助対象外)
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を鑑み、在宅勤務制度(テレワーク)の導入に取り組む事業が優先的に支援されます。
テレワークの導入を行うことで、この度の新型コロナウイルスに限らず、今後も起こり得る新たな感染症や災害への対応が可能になります。助成が受けられるこの機会に導入を検討してみることをおすすめします。
対策2:美容室・サロン系サービスはECサイト制作を検討
次に、テレワークが可能な業種以外はどのように外出自粛やロックダウンによる外出禁止を乗り越えていけばよいのか考えてみましょう。
たとえば、美容室・サロン系のサービスはお客様の来店がなければビジネスは成り立たないとお考えかもしれませんが、ECサイト(いわゆるオンラインショップ)を制作することで顧客とのつながりを持つことができます。
外出自粛で散髪できずに困るのは店舗だけなく、髪が伸びてきているお客様も同じです。髪の悩みは人それぞれですので、それに対応するようなシャンプーやトリートメント、ヘアケアアイテム、スタイリング剤などの要望があるのではないでしょうか。ネット販売をすることで、外出自粛のときでも売上の確保や顧客のフォローアップにつなげることが可能です。
ECサイトの制作に使える補助金としては、持続化補助金があげられます。
小規模事業持続化補助金(持続化補助金)
持続化補助金は常時使用する従業員数が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者向けの支援制度です。小規模事業者が事業の継続と発展のために商工会議所等のサポートを受けながら経営企画書を作成して実施する、販路開拓等の取り組みを支援します。
■補助率:2/3
■上限額:原則50万円
■交付申請期限(第1回):令和2年3月31日
※年間を通しての募集のため、第1回締切後も申請受付を継続し、令和2年度内には6月(2次)、10月(3次)、2月(4次)に締切を設け採択発表が行われます。
■活用例:インターネット販売を強化するための、ECサイトの制作など。
なお、新型コロナウイルス感染症により経営上の影響を受けながらも販路開拓等に取り組む事業者は、感染症の影響による売上減少等を証明する書類を提出することで審査の際に加点されます。
▼小規模事業持続化補助金(持続化補助金)についてはこちらの記事で詳細をご確認ください。
対策3:飲食店は宅配サービスの準備をする
すでに新型コロナウイルスの影響で外食が避けられるといった状況になってきていますが、外出自粛やロックダウンによる外出禁止となると、飲食店はさらに大きな影響を受けることが予測されます。前述の美容室の例のように、店舗販売の縮小を補うために、ビジネスモデル転換を図る取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。店内での飲食のみだった店舗がテイクアウトや宅配サービスの環境を整えることで、新たな売上を立てることが可能になるかもしれません。
宅配サービスを開始するにあたり使える補助金として、先ほどと同じ、持続化補助金があげられますので、対象となる取り組みを確認しておきましょう。
■活用例:テイクアウトや宅配ができる新メニューの開発や宅配の販促活動など。
▼人件費、固定費をかけずにデリバリー導入ができるUBEREats(ウーバーイーツ)というフードデリバリーサービスもあります。興味のある方は下記サイトをご確認ください。
https://012cloud.jp/item/ubereats
対策4:閉鎖されたときの運転資金など、融資の準備をしておく
ロックダウンにより営業ができなくなった、売上の大幅な減少で資金繰りに支障が出てきてしまった、そんなときのために、中小企業や小規模事業者向けの緊急の融資制度の活用を検討しておくことも必要でしょう。
政府は「強力な資金繰り対策」として、さまざまな金融措置を行っていますので、ポイントを融資制度、信用保証制度の両面から確認しましょう。
■融資制度
融資制度は、一般の中小企業・小規模事業者を対象とした融資制度と、飲食業、旅館業、理容業などの生活衛生業種を対象とした融資制度にわかれます。
▼一般の中小企業・小規模事業者
▼生活衛生業種(飲食業、旅館業、理容業など)
一般、生活衛生業種どちらにも共通するポイントは以下のとおりです。
①新型コロナウイルスに関連した特別貸付制度の創設
日本政策金融公庫等が、新型コロナウイルス感染症による影響を受け業況が悪化した事業者(事業性のあるフリーランスを含む)や生活衛生関係事業者を対象とした特別貸付制度を創設しました。貸付金額は事業内容により別枠6,000万円または別枠3億円で、無担保で一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げを実施します。(4年目以降は基準金利)
②金利の引き下げ
(一般の場合)商工会議所等の指導を受けた小規模事業者であれば「マル経融資」を活用して別枠1,000万円の範囲内で当初3年間の金利を通常から0.9%引下げることが可能です。
(生活衛生業種の場合)生活衛生同業組合などの経営指導を受けた小規模事業者であれば「生活衛生改善貸付」を活用して別枠1,000万円の範囲内で当初3年間の金利を通常から0.9%引下げることができます。このほか、振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員は「衛生環境激変対策特別貸付」の利用時に、別枠1,000万円(旅館業は別枠3,000万円)の範囲内で基準金利から0.9%引下げることが可能です。なお、認定を受けた組合員以外は、基準金利となります。
③中小・小規模事業者等に対し実質的に無利子・無担保の資金繰り支援
①の特別貸付により借入を行った者のうち、売上高が急減した事業者などに対して、借入後当初3年間の利子補給を行います。これにより、3年間は実質無利子となります。
■信用保証制度
信用保証制度とは、中小企業者が金融機関から事業資金を借り入れる際、信用保証協会が公的な保証人になることで、資金の融通を円滑にするという制度です。セーフティネット保証は、経営の安定に支障をきたしている中小企業者を支援するため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務を保証するというものです。
出典:新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
信用保証のポイントは以下のとおりです。
①セーフティネット保証4号・5号により、一般保証とは別枠(2.8億円)の保証が利用可能に
②4号は全国47都道府県を対象地域に100%保証、5号は影響を受けている業種を対象に80%保証
③危機関連保証の発動により、売上高等が急減する中小企業・小規模事業者においては、一般保証及びセーフティネット保証とはさらに別枠となる100%保証が利用可能に
※上記、100%保証とは、信用保証協会が金融機関に対し100%の保証を行うことをいいます。(5号の場合は、80%の保証となります)
このように、現在、融資制度、信用保証制度の両面からさまざまな資金繰りへの支援が行われています。本記事の下部に表示される補助金ポータル内の関連記事や経済産業省のパンフレットもご確認いただき、自社に適した支援を見つけることが重要です。急ぎの相談などは、土日も相談ができる経営相談窓口を利用してみるのも良いでしょう。
経済産業省 フライヤー:新型コロナウイルス感染症で資金繰りにご不安を感じている事業者の皆様へ
経済産業省 パンフレット:新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
まとめ
今回は、ロックダウンの措置が取られたらどうなるのか、またその対策として何ができるかを考え、その際に使える補助金、融資情報をご紹介しました。
今後も補助金ポータルでは、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい局面を迎えている方にご利用いただける補助金・融資関連の情報をまとめてまいります。
また、新型コロナウイルス感染症対策に関する各種支援制度についてのお問い合わせも承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
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