2026年8月28日、国土交通省は2027年度(令和9年度)予算の概算要求概要を公表しました。一般会計の要求額は総額8兆7,694億円。令和8年度当初予算(6兆749億円)の1.44倍です。ただし、令和7年度補正予算と令和8年度当初予算の合計と比べると1.35倍となります。
増額の大きな要因は、予算の要求ルールが変わったことです。これまで補正予算に計上していた経費を、令和9年度は当初予算の段階で要求しています。
注目は、要求上限のない『「強く豊かな日本」投資枠』の1兆5,508億円と、住宅分野の新規事業「みらいエコ住宅2027事業」(2,000億円)です。防災、住宅の省エネ化、物流、地域交通の再構築に、重点的に予算が要求されています。
この記事では、国土交通省の令和9年度概算要求の総額と内訳、過去の要求額・当初予算の推移、2027年度の住宅補助金の見通し、事業者・個人に関わる主要施策、予算成立までのスケジュールを、公表資料にもとづいて解説します。
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この記事の目次
国交省の令和9年度概算要求はいくら?総額8兆7,694億円の内訳
国土交通省の令和9年度予算概算要求額は、一般会計で8兆7,694億円(令和8年度当初比1.44倍)です。このうち公共事業関係費が7兆6,761億円、非公共事業が1兆933億円を占めます。
令和9年度 国土交通省 概算要求の要点
- 一般会計総額:8兆7,694億円(令和8年度当初比1.44倍/令和7年度補正+令和8年度当初比1.35倍)
- うち『「強く豊かな日本」投資枠』:1兆5,508億円
- 公共事業関係費:7兆6,761億円
- 非公共事業:1兆933億円
- 東日本大震災復興特別会計:359億円
- 財政投融資:2兆134億円
概算要求の内訳は?公共事業と非公共事業の構成
一般会計8兆7,694億円の内訳は、次のとおりです。公共事業関係費が全体の約9割を占めています。
| 令和9年度 国土交通省 一般会計概算要求の内訳 | |
|---|---|
| 公共事業関係費 | 7兆6,761億円 |
| └ 一般公共事業費 | 7兆6,323億円 |
| └ 災害復旧等 | 438億円 |
| 非公共事業 | 1兆933億円 |
| └ その他施設費 | 876億円 |
| └ 行政経費 | 1兆57億円 |
| 一般会計 合計 | 8兆7,694億円 |
さらに、次の3項目は金額を示さない「事項要求」として計上されています。事項要求とは、予算編成の過程で金額を決める要求方法のことです。
- 第1次国土強靱化実施中期計画に基づく取組
- 労務費確保・資材価格高騰への対応
- 戦略産業クラスターの形成に資するインフラ整備
これらは8兆7,694億円に含まれていません。今後の予算編成では事項要求の金額が決まる一方、ほかの要求額も査定されるため、最終的な予算総額は政府予算案で確認する必要があります。
なぜ1.44倍に増えた?補正予算分を当初予算で要求
増額の主な要因は、従来は補正予算で手当てしていた経費を、令和9年度は当初予算で要求したことです。
令和9年度の概算要求基準では、危機管理投資・成長投資のための『「強く豊かな日本」投資枠』が新設されました。投資枠には要求上限がなく、事項要求も含めて必要額を要求できます。国土交通省はこの投資枠で1兆5,508億円を要求しました。
比較の基準を変えると、伸び率の見え方も変わります。令和8年度当初予算だけと比べれば1.44倍ですが、令和7年度補正予算と令和8年度当初予算を合わせた額と比べると1.35倍です。投資枠の仕組みは、以下の記事で詳しく解説しています。
国交省の概算要求と当初予算の推移は?過去4年の比較
国土交通省の一般会計の概算要求額は、令和6年度から令和8年度まで7兆円台で推移してきました。令和9年度は8兆7,694億円と、一気に1兆7,000億円近く増えています。| 年度 | 概算要求額(一般会計) | 当初予算額(一般会計) |
|---|---|---|
| 令和6年度(2024年度) | 7兆3,389億円 | ― |
| 令和7年度(2025年度) | 7兆330億円 | 5兆9,528億円 |
| 令和8年度(2026年度) | 7兆812億円 | 6兆749億円 |
| 令和9年度(2027年度) | 8兆7,694億円 | 2026年12月に政府案決定予定 |
要求額と、実際に決まった当初予算額の関係を図にしました。
グラフのとおり、令和7年度と令和8年度は、要求額から当初予算額までに約1兆円が絞り込まれました。たとえば令和8年度は、要求7兆812億円に対し、当初予算は6兆749億円(約14%減)です。
ただし、令和9年度は補正予算分を当初で要求しているため、過去と同じ割合で削られるとは限りません。過去の要求や予算の詳細は、以下の記事で確認できます。
令和9年度概算要求の3本柱は?要求額が大きく増えた施策
令和9年度の概算要求は、①国民の安全・安心の確保(危機管理投資)、②持続的な経済成長の実現(成長投資)、③個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくりの3本柱で構成されています。
令和8年度当初予算と比べて、要求額が大きく増えた主な施策は次のとおりです。
| 施策 | 要求額 | 令和8年度当初比 |
|---|---|---|
| 横浜グリーンエクスポの成果最大化 | 100億円 | 4.67倍 |
| インフラ分野のDX(i-Construction2.0等) | 438億円 | 4.36倍 |
| コンパクト・プラス・ネットワークの強化 | 3,364億円 | 4.16倍 |
| 「交通空白」解消の深化・加速化 | 835億円 | 3.61倍 |
| 二地域居住の促進・地域生活圏形成 | 1,270億円 | 3.46倍 |
| 物流革新の抜本的強化 | 381億円 | 3.07倍 |
| 住宅・建築物の脱炭素対策等の強化 | 3,030億円 | 2.92倍 |
| 大都市の国際競争力強化・地方都市のイノベーション | 1,882億円 | 2.25倍 |
| 建設業の担い手確保・生産性向上 | 168億円 | 2.03倍 |
2027年度の住宅補助金はどうなる?みらいエコ住宅2027事業に2,000億円
住宅分野では、新規事業「みらいエコ住宅2027事業」に2,000億円が要求されました。このほかに、GX経済移行債による措置も予定されています。国土交通省住宅局の要求総額は4,187億円で、令和8年度予算(1,721億円)の2.43倍です。
みらいエコ住宅2027事業とは?対象は新築と省エネ改修
みらいエコ住宅2027事業は、ZEH水準の省エネ性能を確保した住宅の新築と、既存住宅の省エネ改修等を支援する事業です。国は2030年度以降、新築住宅でZEH水準の省エネ性能を確保することを目指しており、その実現に向けた支援と位置づけられています。
住宅局の資料では、令和6年度のZEH水準への適合率は60.1%とされています。新築の約4割がまだZEH水準に届いていないため、支援を続けて底上げを図るねらいです。
ただし、補助額、対象となる世帯の条件、申請期間などは、概算要求の段階では確定していません。2026年度事業の補助要件の見直し(次の見出しで解説)も含め、制度の詳細は予算編成の過程で固まります。現行の2026年度事業の内容は、以下の記事で確認できます。
みらいエコ住宅に所得要件は導入される?
現時点で、所得要件の導入は決まっていません。国土交通省は補助金の「自己点検」で、みらいエコ住宅2026事業について次の提案を受けたことを示しています。
「現行制度では所得要件が設けられておらず、真に住宅取得が困難な低中所得世帯への支援が手薄となっている」等の提案を踏まえ、補助要件等の見直しを行う
国土交通省が明記しているのは「補助要件等の見直しを行う」という方針までです。所得要件を新設するのか、所得基準をどう設定するのかは示されていません。
リフォーム・省エネ改修の補助金は2027年度も続く?
既存住宅の省エネ改修への支援は、令和9年度の概算要求にも盛り込まれています。主な事業は次のとおりです。
| 2027年度概算要求に盛り込まれた主な住宅支援 | |
|---|---|
| みらいエコ住宅2027事業(新規) | ZEH水準の新築・既存住宅の省エネ改修等を支援。2,000億円(ほかにGX経済移行債) |
| 住宅・建築物省エネ等改修推進事業(拡充) | 省エネ改修と「特定課題対応リフォーム」を一体で支援。補助限度額は省エネ基準30万円/戸~ZEH水準70万円/戸 |
| 環境・ストック活用推進事業 | 先導的な省エネ技術の導入・省エネ改修を支援。38.57億円 |
| 優良住宅整備促進等事業費補助(フラット35) | 「フラット35中古プラス」などの金利引下げ。290.66億円 |
| 住宅ストックを活用した賃貸住宅融資制度(新規) | 空き家改修やサブリース事業を住宅金融支援機構の融資で支援 |
国土交通省全体では、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に328億円(1.13倍)が要求されています。長寿命化リフォームへの支援や、住宅ストックを適正に評価・流通させる仕組みづくりが柱です。
現行の省エネリフォーム補助金やZEH補助金の内容は、以下の記事で解説しています。
住宅・建築物の脱炭素対策3,030億円には何が含まれる?
国土交通省全体では、住宅・建築物の脱炭素対策等の強化に3,030億円(2.92倍)が要求されています。住宅・建築物部門は日本のCO2排出量の約4割を占めており、次の取組への支援が強化されます。
- GX志向型住宅(環境省連携事業)、ZEH、ZEB、長期優良住宅への支援強化
- 建築物ライフサイクルカーボン(LCA)の評価・削減への支援
- 既存ストックの省エネ改修への支援
- 中大規模木造建築物等の普及に資する優良な取組への支援
- 省エネ住宅・建築物の普及や、事業者・評価機関等の体制整備への支援
- 木造の住宅・建築物の担い手の技術力向上への支援
既存住宅をZEH水準に改修する事業については、以下の記事で解説しています。
【1本目の柱】防災・国土強靱化にはいくら要求された?
1本目の柱「国民の安全・安心の確保」では、インフラ老朽化対策1兆1,591億円、防災・安全交付金1兆1,293億円、流域治水7,473億円など、防災関連の予算が幅広く積み上がっています。令和6年能登半島地震や近年の豪雨災害を踏まえた、事前防災の強化が中心です。
流域治水の加速化・深化に7,473億円(1.17倍)
流域治水の加速化・深化に7,473億円(1.17倍)が要求されました。気候変動で激甚化する水害・土砂災害に備え、堤防整備、ダムの建設・再生、雨水貯留浸透施設の整備、砂防事業などを一体で進めます。
災害の危険性が高い地域から安全な地域への「災害発生前の集団移転」の促進や、被災の危険性が高い住宅の安全性確保への支援も含まれています。
大規模地震対策に3,416億円(1.40倍)
千島海溝・日本海溝地震、首都直下地震、南海トラフ地震などに備える大規模地震対策に3,416億円(1.40倍)が要求されました。河川・海岸堤防のかさ上げ・耐震対策、津波避難タワーの整備、上下水道など、ライフラインの耐災害性強化が対象です。
大規模災害時に自宅にとどまる選択を可能にする「住宅における防災機能・レジリエンス機能の推進」も盛り込まれました。
住宅・建築物の耐震化と密集市街地対策に506億円(1.15倍)
密集市街地対策と住宅・建築物の耐震化強化に506億円(1.15倍)が要求されました。密集市街地の建替え・改修、耐震診断が義務付けられた建築物への重点支援、既存建築物の火災安全改修などが柱です。
住宅局の資料では、延焼リスクの高い集落等の防災性を高める「密集集落防災事業」が新規事業として盛り込まれています。能登半島地震を踏まえ、災害公営住宅の建設費の上限を約2割引き上げる拡充も示されました。
防災・安全交付金とインフラ老朽化対策は?
地方公共団体の防災・減災、老朽化対策を支援する防災・安全交付金には1兆1,293億円(1.32倍)が要求されました。盛土規制法に基づく既存盛土の調査・対策工事への支援も、この交付金の中で対応します。
予防保全型のインフラメンテナンスなどの老朽化対策には1兆1,591億円(1.34倍)、TEC-FORCE等の災害支援体制強化には515億円(1.36倍)が要求されています。国土強靱化の全体像は、以下の記事を参考にしてください。
【2本目の柱】物流・建設業・DXの支援は?事業者向けの主な施策
2本目の柱「持続的な経済成長の実現」では、物流革新に381億円(3.07倍)、建設業の担い手確保に168億円(2.03倍)、インフラDXに438億円(4.36倍)が要求されました。人手不足とDXへの対応が中心で、中小事業者が使える支援も含まれています。
物流革新の抜本的強化に381億円(3.07倍)
物流分野では、2030年度までの「集中改革期間」を見据えた物流革新に381億円(3.07倍)が要求されました。主な支援は次のとおりです。
- 中小物流事業者の機械化・自動化・デジタル化への支援
- 高速道路でのレベル4自動運転トラックの早期社会実装に向けた支援
- 次世代型倉庫の整備促進に向けた調査
- 内航海運・鉄道貨物へのモーダルシフトの促進
- 物流拠点・物流GX/DX関連設備の整備に向けた財政投融資の活用
なお、物流・自動車局の局別資料では「物流革新の抜本的強化」は209億円と示されています。国土交通省全体の概要資料の381億円とは、集計の範囲が異なる点に注意してください。
建設業の担い手確保・生産性向上に168億円(2.03倍)
建設業の担い手確保・生産性向上には168億円(2.03倍)が要求されました。第三次・担い手3法を踏まえた「労務費に関する基準」の実効性確保、週休2日の実現、建設Gメンによる取引の適正化、建設キャリアアップシステムを活用した処遇改善、ICT・ロボットによる生産性向上などが対象です。
インフラ分野のDX(i-Construction2.0)に438億円(4.36倍)
インフラ分野のDXには438億円(4.36倍)が要求されました。2040年までに建設現場の省人化を3割(生産性1.5倍)進める目標に向け、フィジカルAIの現場実装、BIM/CIMの普及拡大、3D都市モデル(Project PLATEAU)の整備・活用、不動産IDの利活用などを進めます。
スタートアップや大学による、現場向けの新技術開発への助成も継続されます。
観光分野は?国際観光旅客税財源に1,800億円
観光分野では、国際観光旅客税を財源とする事業に1,800億円(前年度1,300億円の1.38倍)が要求されました。2026年7月に国際観光旅客税が1,000円から3,000円に引き上げられたことが、増額の背景です。具体的な配分は予算編成の過程で決まります。観光庁の要求内容は、以下の記事で解説しています。
【3本目の柱】地域交通・空き家・住宅セーフティネットの予算は?
3本目の柱「個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり」では、二地域居住の促進、「交通空白」の解消、空き家対策、住宅セーフティネットなど、暮らしに直結する予算が積み増されました。
「交通空白」解消に835億円(3.61倍)
地域の移動手段を確保するため、「交通空白」の解消に835億円(3.61倍)が要求されました。「交通空白」とは、バスやタクシーなど日常の移動手段を確保しにくい地域のことです。令和9年度までの集中対策期間に、全国約3,000の交通空白の解消に道筋をつけることを目標としています。
具体的には、デマンド交通・公共ライドシェアの導入、複数の自治体・交通事業者の協業による交通の再構築、自動運転の社会実装、ローカル鉄道の再構築方針の策定の後押しなどが含まれています。
二地域居住の促進・地域生活圏形成に1,270億円(3.46倍)
二地域居住の促進と地域生活圏の形成には1,270億円(3.46倍)が要求されました。都市と地方の両方に生活拠点を持つ「二地域居住」を広げ、地域の担い手を確保するための施策です。
- 二地域居住等の促進に向けた先導的な取組への支援
- 特定居住支援法人によるマッチング支援
- 空き家の活用等による二地域居住の環境整備
- 離島における定住促進住宅・シェアオフィス等の整備
- PFAS対策の強化、クマ被害対策など生活圏の安全確保
空き家対策・所有者不明土地対策に106億円(1.22倍)
空き家・所有者不明土地対策には106億円(1.22倍)が要求されました。空き家の活用・除却への総合的な支援、空き家対策のDX、マンションの管理適正化・再生円滑化などが柱です。
住宅局の資料では、空き家対策総合支援事業・空き家再生等推進事業(70.80億円)を拡充し、除却等を促す減税などの所有者負担軽減措置を、地方公共団体の負担分の算定で考慮するとしています。現行の空き家対策モデル事業の採択状況は、以下の記事で解説しています。
住宅セーフティネットと子育て世帯の住まい支援に1,031億円(1.41倍)
高齢者・子育て世帯など住宅の確保に配慮が必要な世帯の住まいを支えるため、1,031億円(1.41倍)が要求されました。主な支援内容は次のとおりです。
- 住宅セーフティネット機能の充実・強化
- 公的賃貸住宅の建替・改修とあわせた子育て支援施設等の導入への支援
- サービス付き高齢者向け住宅の整備への支援(新築最大150万円/戸、改修最大234万円/戸)
- 子育て支援型共同住宅への支援(新築125万円/戸、改修120万円/戸)
- UR賃貸住宅で親世帯の近くに住む子育て世帯の家賃を5年間20%減額(上限月4万円)
- UR団地の医療福祉拠点化の推進
空き家・空き室を活用したセーフティネット住宅の改修補助は、以下の記事で解説しています。
補助金の「自己点検」で見直しが示された事業は?
令和9年度の概算要求にあたり、国土交通省は所管するすべての補助事業・交付金事業(170事業)と基金事業(21事業)を「自己点検」しました。その結果を踏まえ、支援の重点化、支援対象の明確化、手続の改善などの対応を示しています。
| 制度・事業 | 国土交通省が示した主な対応 |
|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業 | 所得要件がなく低中所得世帯への支援が手薄との提案等を踏まえ、補助要件等の見直しを行う |
| 都市公園・緑地等事業/都市構造再編集中支援事業 | 都市公園でのスタジアム等の整備支援について、市民利用の視点を明確化する |
| 地域公共交通確保維持改善事業 | 電動キックボードの導入のみの事業はすでに補助対象外。補助対象等を引き続き検討する |
| 社会資本整備総合交付金/防災・安全交付金 | 自治体等の申請事務の負担を軽減するため、システムを改修する |
補助金を使う側にとって影響が大きいのは、みらいエコ住宅の補助要件の見直しです。2027年度に住宅の新築・購入を考えている方は、年末以降に公表される制度の詳細を確認してください。
令和9年度予算はいつ決まる?予算案の閣議決定から成立まで
令和9年度予算は、2026年12月ごろに政府予算案が閣議決定され、2027年の通常国会で審議・成立する流れです。概算要求は各省庁が財務省に出す「要求」の段階で、金額や制度の中身はまだ確定していません。
各段階の内容は次のとおりです。
| 時期 | プロセス |
|---|---|
| 2026年7月30日 | 令和9年度概算要求基準を閣議了解(「強く豊かな日本」投資枠を新設) |
| 2026年8月28日 | 国土交通省が令和9年度予算概算要求概要を公表 |
| 2026年8月31日 | 各省庁が概算要求を財務省へ提出 |
| 2026年9月4日 | 財務省が概算要求・要望額の総額(143兆656億円)を公表 |
| 2026年9月~12月 | 財務省による査定・予算編成 |
| 2026年12月ごろ | 政府予算案の閣議決定 |
| 2027年1月~ | 通常国会に予算案を提出・審議 |
| 2027年3月末まで | 令和9年度予算の成立(見込み) |
| 2027年4月以降 | 各事業の制度内容・公募情報が順次公表(時期は事業ごとに異なる) |
なお、令和8年度予算は2026年4月7日の成立となり、4月1日から11日までは暫定予算が組まれました。国会の日程によっては、成立が4月以降にずれ込むこともあります。政府全体の概算要求の流れや、予算編成の基本的な仕組みは、以下の記事で解説しています。
他省庁の令和9年度概算要求は?
国土交通省以外の省庁の令和9年度概算要求は、以下の記事でまとめています。
国土交通省・令和9年度概算要求に関するよくある質問
国交省の令和9年度(2027年度)概算要求額はいくらですか?
一般会計で8兆7,694億円です。令和8年度当初予算(6兆749億円)の1.44倍、令和7年度補正予算と令和8年度当初予算の合計の1.35倍です。このほか東日本大震災復興特別会計で359億円、財政投融資で2兆134億円が要求されています。
なぜ令和9年度の概算要求は大幅に増えたのですか?
これまで補正予算で計上していた経費を、令和9年度は当初予算の段階で要求したことが主な要因です。要求上限のない『「強く豊かな日本」投資枠』が新設され、国土交通省は1兆5,508億円を要求しました。
概算要求の内訳を教えてください。
一般会計8兆7,694億円のうち、公共事業関係費が7兆6,761億円(一般公共事業費7兆6,323億円、災害復旧等438億円)、非公共事業が1兆933億円(その他施設費876億円、行政経費1兆57億円)です。国土強靱化の取組などは金額を示さない事項要求です。
国交省の概算要求額の推移は?
一般会計の概算要求額は、令和6年度7兆3,389億円、令和7年度7兆330億円、令和8年度7兆812億円、令和9年度8兆7,694億円です。当初予算額は令和7年度5兆9,528億円(政府案)、令和8年度6兆749億円でした。
概算要求と予算案はどう違うのですか?
概算要求は各省庁が財務省に出す要求の段階の金額です。財務省の査定を経て、12月ごろに政府予算案が閣議決定され、通常国会で成立して予算が確定します。令和8年度は要求7兆812億円に対し、当初予算は6兆749億円でした。
みらいエコ住宅2027事業とは何ですか?
令和9年度概算要求に盛り込まれた新規事業で、ZEH水準の省エネ性能を確保した住宅の新築と、既存住宅の省エネ改修等を支援します。要求額は2,000億円で、このほかGX経済移行債による措置もあります。補助額や対象条件は未確定です。
みらいエコ住宅に所得要件が導入されることは決まっていますか?
決まっていません。国土交通省は自己点検で、所得要件がなく低中所得世帯への支援が手薄との提案等を踏まえ「補助要件等の見直しを行う」としています。所得要件の新設や所得基準の設定といった具体的な内容は示されていません。
2027年度もリフォームや省エネ改修の補助金はありますか?
概算要求には、既存住宅の省エネ改修を対象とするみらいエコ住宅2027事業や、住宅・建築物省エネ等改修推進事業(補助限度額30万~70万円/戸)の拡充が盛り込まれています。ただし予算成立前のため、最終的な補助額や申請時期は今後の公表を確認してください。
国交省の概算要求に個人向けの現金給付はありますか?
国土交通省の概算要求は、住宅・インフラ・交通などの事業に充てる予算で、個人に一律に現金を配る給付金を柱とした内容ではありません。個人が利用できる可能性が高いのは、みらいエコ住宅2027事業など住宅の新築・改修への補助金です。
物流の2024年問題への対応として、どのような予算が要求されていますか?
物流革新の抜本的強化に381億円(3.07倍)が要求されました。中小物流事業者の機械化・自動化・デジタル化への支援、レベル4自動運転トラックの社会実装、モーダルシフトの促進などが柱で、物流拠点の整備には財政投融資も活用されます。
「交通空白」解消の予算は何に使われますか?
835億円(3.61倍)が要求され、デマンド交通・公共ライドシェアの導入、自治体・交通事業者の協業による交通の再構築、自動運転の社会実装などに充てられます。令和9年度までに全国約3,000の交通空白の解消に道筋をつけることが目標です。
令和9年度予算はいつ成立し、補助金の公募はいつ始まりますか?
例年どおりなら、2026年12月ごろに政府予算案が閣議決定され、2027年3月末までに成立する見込みです。各補助金の公募は2027年4月以降、事業ごとに順次始まります。令和8年度は4月7日成立だったように、時期がずれることもあります。
まとめ
国土交通省の令和9年度予算概算要求は、一般会計で8兆7,694億円(令和8年度当初比1.44倍)です。補正予算分を当初予算で要求したことが大幅増の主な要因で、『「強く豊かな日本」投資枠』として1兆5,508億円が盛り込まれました。
個人に関わりが深いのは、新規事業「みらいエコ住宅2027事業」(2,000億円)です。ZEH水準の新築と既存住宅の省エネ改修を支援する方針ですが、自己点検を踏まえて補助要件の見直しも予定されています。事業者向けには、物流革新(381億円)、建設業の担い手確保(168億円)、インフラDX(438億円)などが要求されています。
ただし、概算要求は要求段階の金額です。令和7年度・令和8年度は、要求額から当初予算までに約1兆円が絞り込まれました。2026年12月ごろの政府予算案で、金額と制度の中身を確認しましょう。
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