2026年7月21日午前、政府は持ち回り閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」を正式に決定しました。当初予定の7月14日から食料品消費税・金融政策文言をめぐる調整で1週間後ろ倒しとなり、前年(骨太の方針2025)が6月13日に決定されたのと比べると約5週間遅れの決着です。高市内閣として初めての骨太の方針であり、財政運営の中核目標を単年度のプライマリーバランス(PB)黒字化から「政府債務残高対GDP比の安定的低下」へ移すという、経済財政運営の抜本転換を打ち出した点が最大の特徴です。
補助金活用を検討する事業者にとって特に重要なのは、シーリング(要求上限)を設けない『「強く豊かな日本」投資枠』の創設、基金「3年以内ルール」の不適用を含む見直し、補正予算依存からの脱却という3つの制度変更です。ものづくり補助金、事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金など主要な補助金は基金方式で運営されており、いずれも令和9年度(2027年度)予算から影響が本格化します。
この記事では、本日決定された骨太の方針2026の要点、補助金・基金制度の3つの構造改革、17の戦略分野と関連補助金、7月中旬から21日にかけての最終調整で決着した論点、令和9年度予算に向けた今後のスケジュール、事業者が今すべき準備までを整理して解説します。
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この記事の目次
【2026年7月21日決定】骨太の方針2026の要点は?
2026年7月21日に閣議決定された骨太の方針2026の柱は、「責任ある積極財政」の下で官民による戦略分野への投資を大胆に拡大し、『強い経済』を実現するという一点に集約されます。高市首相は21日午前の経済財政諮問会議で「総合的な国力を徹底的に強くしていくことが高市内閣の使命」と述べ、財政目標や予算編成のあり方を見直して「新たな経済財政運営への抜本的な転換を図る」と表明しました。
| 項目 | 2026年7月21日決定内容 |
|---|---|
| 経済財政運営の基本思想 | 「責任ある積極財政」(危機管理投資・成長投資を重視) |
| 財政運営目標 | PB黒字化目標を単年度判定から複数年管理へ位置づけ変更/中核目標は債務残高対GDP比の安定的低下 |
| 新たな投資枠 | シーリング撤廃の『「強く豊かな日本」投資枠』を創設 |
| 基金制度 | 「原則3年以内」ルールの不適用を可能に |
| 補正予算 | 緊要性の高いものに限定/恒常的施策は原則、当初予算で措置 |
| 官民投資目標 | 17の戦略分野・62の主要な製品・技術等で2040年度までに官民累計370兆円超 |
| 金融政策文言 | 日銀法第3条(自主性尊重)の趣旨を注釈で明記/本文は「安定的な物価上昇の実現に資する適切な金融政策運営」に修正 |
| 食料品消費税 | 「8月上旬までを目途に方針を決定する」と本文に明記(所得連動の給付制度と一体で結論) |
| 70歳以上医療費窓口負担 | 年齢によらない応能負担への見直し、2026年末までに改革工程表を策定 |
| 予算査定手法 | 令和9年度予算から「事業別フルコスト情報」を活用 |
前年(骨太の方針2025)が石破内閣下で「地方創生2.0」や賃上げを前面に押し出していたのに対し、2026年版は「官民連携による危機管理投資・成長投資の重点化」に軸足が大きく移りました。文書自体もスリム化が図られ、個別施策の羅列を抑制する方針で作成されています。
骨太の方針2026とは?経済財政諮問会議で何が決まったのか
骨太の方針2026とは、政府が毎年閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針」の2026年版で、翌年度(令和9年度)以降の予算編成の設計図となる政府文書です。経済財政諮問会議の議論を経て閣議決定され、各省庁の概算要求や予算編成の基本的な方向性を定めます。
「日本列島を、強く豊かに」を旗印とする日本成長戦略の実行
2026年6月24日の経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議では、「日本列島を、強く豊かに」を旗印とした日本成長戦略の実行と、それを支える予算編成の抜本改革が打ち出されました。高市総理は「行き過ぎた緊縮志向と未来への投資不足の流れを断ち切る」と発言し、官民投資の徹底的な拡大を表明しています。

『「強く豊かな日本」投資枠』の4つの特徴とは
新たに創設される『「強く豊かな日本」投資枠』は、国内民間設備投資や潜在成長率を大きく引き上げる効果の高い措置を対象とする、通常歳出とは別枠の予算枠です。従来の予算編成プロセスと決定的に異なる4つの特徴があります。
| 『「強く豊かな日本」投資枠』の4つの特徴 | |
|---|---|
| ①対象 | 日本成長戦略・地域未来戦略に基づき、国内民間設備投資や潜在成長率を引き上げる効果の高い施策 |
| ②シーリング撤廃 | 要求上限を設けず、事項要求も含めて必要額を適切に要求できる |
| ③複数年度措置 | 複数年度の計画に基づく予算措置を基本とし、民間の予見可能性を高める。投資誘発効果の薄い予算は柔軟に見直し |
| ④財源確保 | 政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げる中で可能な財政規模を精査。経済安保上重要な分野は特別会計で別枠管理し、償還財源の裏付けのあるつなぎ国債で複数年度の財源を確保 |
効果の高い施策には大胆に予算を投じる一方、効果の上がっていない施策は柔軟に見直すという「メリハリ」の考え方が根底にあります。無制限な国債発行ではなく、財政規律を担保した形で投資拡大を実現する狙いです。
官民投資ロードマップ370兆円と地域未来戦略の3類型
会議ではAI・半導体・量子・バイオなど17の戦略分野における62の主要な製品・技術等について「官民投資ロードマップ」が策定され、2040年度までに累計370兆円超の官民投資を引き出す目標が示されました。あわせて地域への投資波及を狙う「地域未来戦略」として、戦略産業クラスター計画・地域産業クラスター計画・地場産業成長プランの3類型が決定されています。地域未来戦略は、石破政権下の「地方創生2.0」から再編されたもので、国の補助金と地方の交付金を連動させて地域単位で投資を促す枠組みへと発展しました。

出典:戦略17分野の「主要な製品・技術等」における官民投資額
補助金・基金制度の3つの構造改革ポイントとは
骨太の方針2026で補助金活用者が特に押さえるべきは、①「地域未来枠」の新設検討、②基金「3年以内ルール」の不適用を含む見直し、③補正予算依存からの脱却という3点です。いずれも令和9年度以降の補助金設計に直接影響します。
変更点①中小企業向け補助金に「地域未来枠」を新設検討
高市総理は6月24日の合同会議で、国の中堅・中小企業向け設備投資補助金や人材育成支援策に「地域未来枠」を設けるべく検討を進めると表明しました。制度設計は検討段階で、具体的な補助率・上限額は未確定です。骨太の方針2026本体では、この地域未来枠と併せて「地域未来交付金」を拡充し、成長資金の供給・企業支援・インフラ整備・規制改革・産業人材の育成を一体的に進める方針が明記されました。国の補助金と地方自治体の支援策が連動する形で、地域単位の投資促進が加速する見込みです。
変更点②基金の「3年以内」ルールを不適用にできる形で見直し
基金とは、特定の政策目的のために複数年度にわたって資金を確保する仕組みで、ものづくり補助金・事業再構築補助金・中小企業省力化投資補助金・新事業進出補助金などはこの基金方式で運営されています。現行ルールでは基金への予算措置は原則「3年以内」とされ、機械的な期間設定が事業の柔軟性を損なう要因となっていました。
骨太の方針2026では、成果管理の徹底や柔軟で効率的な資金管理を前提に、一律・機械的な期間設定にとらわれない予算措置が可能となる方針が示されました。複数年度にわたる安定した公募スケジュールの設定、需要動向に応じた交付決定枠の柔軟な調整、大規模・長期の研究開発や設備投資への対応力強化が期待されます。
変更点③補正予算依存からの脱却で当初予算中心へ
ものづくり補助金、IT導入補助金(現:デジタル化・AI導入補助金)、事業再構築補助金などの主要な補助金は近年、補正予算で措置されることが常態化していました。年度後半まで翌年度の制度内容が見通せないという問題が生じていたため、骨太の方針2026では補正予算は緊要性の高いものに限定し、恒常的施策は原則、当初予算で措置することが明示されました。
さらに『「強く豊かな日本」投資枠』ではシーリング(要求上限)が撤廃されるため、効果の高い投資支援策については必要額を当初予算で適切に要求できるようになります。事業者にとっては年度当初から1年間の補助金スケジュールを見通しやすくなる点が実務上の大きな変化です。
補助金活用者に直結する骨太の方針2026の具体策
骨太の方針2026本文には、中小企業向け補助金・助成金に直結する複数の具体策も盛り込まれました。個別の補助金名は明記されていませんが、その方向性は各省庁の令和9年度概算要求に具体化されていきます。
省力化投資促進プランのさらなる拡充が明記された
骨太の方針2026は、賃上げ環境整備の柱として各種補助金・助成金や業種横断的なサポート体制の充実・活用促進により「省力化投資促進プラン」を着実に実行し、さらなる充実・拡充を図ると明記しました。中小企業省力化投資補助金がその中核を担っており、省力化投資と賃上げの好循環によって中堅・中小企業の「稼ぐ力」を強化する方針が示されています。
最低賃金1,500円に向けた中小企業支援も強化
骨太の方針2026は、賃上げのノルム(社会通念)として2029年度までに実質賃金で年1%程度の上昇を定着させ、最低賃金は2030年代前半のできる限り早期に全国平均1,500円を達成する目標を掲げました。この目標達成の裏づけとして、交付金等を活用した都道府県・市町村による中小企業の生産性向上支援を後押しするとしています。最低賃金の引き上げに対応する事業者にとっては、業務改善助成金やキャリアアップ助成金といった既存の助成制度に加え、生産性向上を支える設備投資補助金の重要性が一段と高まります。
GX・スタートアップ・リスキリングへの投資方針も継続
骨太の方針2026は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた大胆なGX投資、「スタートアップ総力創出パッケージ」に基づく研究開発から事業化までの一気通貫支援、リ・スキリング機会の拡充にも言及しました。これらはGX関連補助金・省エネ補助金、起業支援やSBIR制度、人材開発支援助成金など、既存の補助金・助成金の政策的な裏づけとなります。
17の戦略分野と該当する中小企業向け補助金

日本成長戦略では17の戦略分野・62の主要な製品・技術等が選定され、各分野の関連企業の大規模投資を起点として「戦略産業クラスター」を形成する方針が示されました。中小企業もサプライチェーンの一翼を担う存在として、関連補助金の対象になり得ます。

| 戦略分野 | 主要な製品・技術等 | 関連する既存補助金(例) |
|---|---|---|
| AI・半導体 | フィジカルAI、半導体、バーティカルAI | NEDOフィジカルAI支援、デジタル化・AI導入補助金 |
| デジタル・サイバーセキュリティ | データプラットフォーム、政府AX/DX基盤、クラウド・データセンター、医療DX基盤、自動運転技術 | デジタル化・AI導入補助金、サイバーセキュリティ対策補助金 |
| 情報通信 | オール光ネットワーク、海底ケーブル、次世代ワイヤレス | 5G・Beyond5G関連研究開発支援 |
| 量子 | 量子コンピューティング、量子通信、量子センシング | 量子技術関連研究開発支援 |
| 防衛産業 | 小型無人航空機、艦艇、デュアルユース技術 | 安定供給確保基金 |
| 航空・宇宙 | 民間航空機、無人航空機、空飛ぶクルマ、ロケット・射場、人工衛星、月面・低軌道 | 宇宙戦略基金 |
| 海洋 | 海洋無人機、海洋状況把握、革新的海底開発技術 | 海洋資源開発関連補助 |
| 造船 | 次世代船舶、船舶修繕、LNG運搬船 | 造船業再生基金 |
| マテリアル(重要鉱物・部素材) | 永久磁石、グリーン鉄、革新的金属部素材、低炭素金属部素材、製錬・分離精製技術、AI活用複合新素材 | サプライチェーン強靱化補助金、GX関連補助金 |
| 合成生物学・バイオ | バイオものづくり、バイオ医薬品 | バイオものづくり革命推進事業 |
| 創薬・先端医療 | ファーストインクラス製品、感染症対応製品、バイオ医薬品、革新的デバイス、ヘルスケアサービス | 創薬ベンチャーエコシステム強化事業 |
| 資源・エネルギー安全保障・GX | 次世代型太陽電池、水素等、グリーン鉄、次世代型地熱、洋上風力、次世代革新炉 | GX関連補助金、省エネ補助金、ペロブスカイト太陽電池量産化支援 |
| フュージョンエネルギー | フュージョンエネルギー(核融合発電) | フュージョン関連研究開発支援 |
| 防災・国土強靱化 | 防災技術 | 国土強靱化関連補助、防災・減災対策事業 |
| 港湾ロジスティクス | 港湾荷役機械、サイバーポート、次世代型倉庫 | 物流効率化・自動化関連補助 |
| フードテック | 植物工場、陸上養殖、食品機械、新規食品(ノングルテン食品等) | スマート農業実証、産地生産基盤パワーアップ事業 |
| コンテンツ | ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写 | コンテンツ海外展開促進事業 |
17の戦略分野に直接該当しない事業者でも、「地域産業クラスター計画」や「地場産業成長プラン」の対象として支援を受けられる枠組みが用意されています。地域産業クラスターは知事等主導、地場産業成長プランは市町村または都道府県が主体となって策定するため、地域単位での補助金活用が今後の鍵となります。戦略産業クラスター計画については、2026年5月に全国7ブロック(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州沖縄)の素案をまとめたブロック統合版が公表されており、今後、都道府県からのプロジェクト提案を経て正式版が策定されます。
7月中旬から21日にかけての最終調整で決着した論点は何か
閣議決定は当初7月14日を予定していましたが、食料品消費税と金融政策文言をめぐる調整難航、および長期金利急騰(「骨太ショック」)を受けた文言の再調整で1週間後ろ倒しとなりました。7月14日〜21日にかけて決着した主な論点は次の4点です。
食料品消費税は「8月上旬までを目途に方針決定」で決着
原案段階で「P(ペンディング)」扱いだった食料品の消費税減税は、閣議決定文書に「8月上旬までを目途に方針を決定する」と明記する形で決着しました。所得に連動した新たな給付制度とあわせて結論を出す方針で、超党派の社会保障国民会議で議論が続いています。政府は来年4月に食料品の消費税率を8%から1%に下げる方向で調整しているとの報道もあり、8月上旬の方針決定を待って中小企業(特に食品小売・飲食業)の実務対応も動き出します。
金融政策文言に日銀法第3条の趣旨を注釈で明記
原案の金融政策関連の文言は、市場で「骨太ショック」と呼ばれる長期金利急騰(1996年11月以来およそ29年8カ月ぶりの水準)を招いたため、閣議決定版では大きく修正されました。日銀の金融政策運営に触れた第1章の脚注に日銀法第3条(日銀の通貨及び金融調節における自主性は尊重されなければならない)の趣旨を明記し、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるとの考えを示しています。本文も「『安定的な物価上昇』の実現に資する適切な金融政策運営」という表現となり、政府が金融政策に強く介入する意図がないことが明確化されました。
70歳以上の医療費窓口負担は年末までに工程表策定へ
医療保険制度改革では、70歳以上の医療費の窓口負担について「年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直しを行い、改革工程表を年末までに策定する」との記述が加えられました。現在、医療費の窓口負担は現役世代らは原則3割、70〜74歳は原則2割、75歳以上は原則1割となっています。負担割合の判断基準となる所得額や年齢の見直しを2026年末までに工程表としてまとめる方針で、高齢者向け医療分野の事業者にも影響する内容です。
2027年度予算査定は「事業別フルコスト情報」で強化
補助金活用者にとって注目したいのが、令和9年度(2027年度)の予算編成に向けた既存事業の査定手法変更です。原案では「政策別」の情報を活用するとされていましたが、閣議決定版ではより細かい「事業別フルコスト情報」を活用する方針へと変更されました。これは補助金・基金の効果検証をより厳格に行うためのもので、単に補助金の予算枠が拡大するのではなく、効果の低い事業は事業単位で見直される可能性があることを意味します。予算措置の予見可能性が高まる一方で、進捗管理や効果検証はさらに厳しくなる方向です。
令和9年度予算に向けた今後のスケジュールは?
補助金・基金制度の抜本見直しは、本日(2026年7月21日)閣議決定された骨太の方針2026を経て、令和9年度(2027年度)予算で本格適用される見通しです。
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2026年6月24日 | 経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議で抜本改革の方針決定 |
| 2026年6月25日 | 経済財政諮問会議で骨太の方針2026の骨子案を提示 |
| 2026年6月30日 | 骨太の方針2026原案を公表(「強く豊かな日本」投資枠・補正予算依存からの脱却などを明記) |
| 2026年7月7日 | 自民党政調全体会議で修正案提示(70歳以上医療費窓口負担・金融政策文言、食料品消費税は「P」扱いで持ち越し) |
| 2026年7月14日 | 最終案が判明。日銀法第3条を脚注に明記、社会保障・安全保障の記述追加、予算査定を「事業別フルコスト情報」へ変更 |
| 2026年7月21日 | 持ち回り閣議で骨太の方針2026を正式決定 |
| 2026年8月上旬 | 食料品消費税の方針を政府決定(骨太で明記) |
| 2026年夏 | 令和9年度の概算要求基準(シーリング)の決定・公表、戦略産業クラスター計画正式版の順次策定 |
| 2026年8〜9月 | 各省庁が令和9年度概算要求を提出 |
| 2026年12月〜2027年3月 | 令和9年度予算(高市内閣として初めて概算要求基準から編成する予算)の編成・成立 |
特に注目すべきは、令和9年度概算要求とその後の予算編成過程で、『「強く豊かな日本」投資枠』を通じてどの補助金がどの程度拡充されるかです。半導体、次世代船舶、ロケット・射場などの戦略産業クラスター計画と、食品加工、水素、蓄電池などの地域産業クラスター計画が対象となるため、自社事業との関連性を早めに把握しておくことが重要です。
骨太の方針2026・経済財政諮問会議に関するよくある質問
経済財政諮問会議とはどのような機関ですか?
経済財政諮問会議は、内閣総理大臣の諮問に応じて、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針などについて調査審議する機関です。総理大臣を議長とし、内閣官房長官や経済財政政策担当大臣、関係閣僚、有識者議員で構成されます。骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)はこの会議での議論を経て閣議決定され、各省庁の概算要求や予算編成の基本的な方向性を定める役割を担っています。
骨太の方針2026はいつ閣議決定されましたか?
骨太の方針2026は、2026年7月21日午前の持ち回り閣議で正式に決定されました。当初は7月14日の閣議決定が想定されていましたが、食料品消費税をめぐる調整難航と長期金利急騰への対応のため後ろ倒しとなりました。前年(骨太の方針2025)が6月13日に閣議決定されたのと比較すると、約5週間遅れの日程です。閣議決定文書は内閣府の経済財政諮問会議公式サイトで公開されています。
骨太の方針2026と骨太の方針2025の最大の違いは何ですか?
最大の違いは、経済財政運営の基本思想そのものの転換です。骨太の方針2025(石破内閣)が「賃上げ」や「地方創生2.0」を前面に押し出していたのに対し、骨太の方針2026(高市内閣)は「責任ある積極財政」の下で官民連携投資・危機管理投資・成長投資の重点化を打ち出しました。財政運営の中核目標もPB黒字化から債務残高対GDP比の安定的低下へと移され、シーリング撤廃の『「強く豊かな日本」投資枠』の創設や補正予算依存からの脱却など、予算編成の在り方が抜本的に見直されています。
「骨太ショック」とは何を指しますか?
「骨太ショック」とは、2026年6月30日に公表された骨太の方針2026原案を受けて、財政規律の緩みや日銀への低金利誘導への懸念から長期金利が急騰した現象を指します。2026年7月上旬には長期金利が1996年11月以来およそ29年8カ月ぶりの水準を付けました。これを受けて閣議決定版では、日銀法第3条の趣旨を脚注に明記し、本文の表現も「『安定的な物価上昇』の実現に資する適切な金融政策運営」に修正するなど、日銀の独立性尊重を明示するバランス調整が行われました。
「強く豊かな日本」投資枠はいつから始まりますか?
『「強く豊かな日本」投資枠』は、令和9年度(2027年度)予算から本格的に適用される見込みです。2026年7月21日に閣議決定された骨太の方針2026にその考え方が明記され、夏に決定される概算要求基準(シーリング)、8〜9月の各省庁の概算要求、12月からの予算編成を経て、2027年3月頃の令和9年度予算成立で姿を現します。具体的な対象事業は、官民投資ロードマップに記載された17の戦略分野や分野横断的課題に対応する措置などが想定されています。
基金の「3年以内ルール」見直しでものづくり補助金や事業再構築補助金はどうなりますか?
ものづくり補助金、事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金、新事業進出補助金などは中小企業基盤整備機構などの基金から執行されており、3年以内ルールの不適用により、より長期的・計画的な公募運営が可能になる見込みです。ただし2027年度予算の査定は「事業別フルコスト情報」で厳格化される方針で、効果検証はむしろ強化される方向です。具体的な制度設計は令和9年度(2027年度)予算編成の中で詰められるため、各補助金の公募スケジュールや内容がただちに変わるわけではありません。最新情報は各補助金事務局の公式サイトで随時確認することをおすすめします。
「地域未来枠」とはどのような補助金枠ですか?
「地域未来枠」は、国の中堅・中小企業向け設備投資補助金や人材育成支援策の中に新設が検討されている枠組みです。地方自治体と連携して地域発のアイデアを積極的に後押しする目的で、地域未来戦略(石破政権下の地方創生2.0を再編したもの)の実行を支える役割を担います。骨太の方針2026本体では、この地域未来枠と併せて「地域未来交付金」を拡充し、成長資金の供給・企業支援・インフラ整備・規制改革・産業人材の育成を一体的に進める方針が示されました。現時点では検討段階であり、具体的な補助率・上限額・対象事業などは未確定ですが、令和9年度予算編成の過程で詳細が固められる見込みです。
補正予算が限定されると中小企業向け補助金は減りますか?
補正予算が限定される一方で、これまで補正予算に組み込まれてきた恒常的な施策は原則として当初予算で措置されます。つまり補助金の総額が減るわけではなく、措置されるタイミングが当初予算に前倒しされるイメージです。さらに『「強く豊かな日本」投資枠』ではシーリングが撤廃されるため、効果の高い投資支援策は必要額を適切に要求できるようになります。事業者にとっては年度当初から1年間の公募スケジュールを見通しやすくなるメリットがあります。
骨太の方針2026における「日本成長戦略」と「地域未来戦略」の関係は?
日本成長戦略は、17の戦略分野・62の主要な製品・技術等における官民累計370兆円超の投資を引き出し、日本全体の潜在成長率を引き上げる国家レベルの戦略です。一方の地域未来戦略は、その投資波及を地域単位に落とし込む枠組みで、戦略産業クラスター計画(知事等主体)・地域産業クラスター計画(同)・地場産業成長プラン(市町村または都道府県主体)の3類型で構成されます。両者は骨太の方針2026において「強い経済」を実現する車の両輪と位置づけられており、国の補助金と地方の交付金を連動させて重層的に投資を促す設計となっています。
17の戦略分野に該当しない中小企業は支援を受けられないのですか?
17の戦略分野に直接該当しない事業者でも、地域未来戦略の「地域産業クラスター計画」または「地場産業成長プラン」の対象として支援を受けられる仕組みが用意されています。地域産業クラスター計画は知事等主体、地場産業成長プランは市町村または都道府県主体で策定され、農林水産業、観光業、スポーツ産業、伝統的工芸品製造業、部品加工業など地域住民の生活を支える多様な産業の発展を促す内容です。自社が立地する自治体の計画策定動向にも注目しておきましょう。
「責任ある積極財政」とは従来の財政運営とどう違うのですか?
従来の財政運営が単年度のPB(プライマリーバランス)黒字化を最優先の目標として、歳出を抑制する傾向にあったのに対し、「責任ある積極財政」は債務残高対GDP比の安定的低下を中核目標に据えたうえで、投資誘発効果の高い分野には大胆に予算を投じる方針です。単なる財政拡張ではなく、行財政改革を進めた上で戦略的な財政出動を行うという建て付けで、租税特別措置・補助金・基金など既存施策を政策効果の観点から精査し、効果の低いものの廃止・縮減とセットで進められます。骨太の方針2026では令和9年度(2027年度)を「責任ある積極財政元年」と位置づけています。
補助金活用を検討している事業者が今すべき準備は何ですか?
補助金活用を検討している事業者がすべき準備は3つあります。1つ目は、自社事業と17の戦略分野・8つの分野横断的課題(新技術立国・スタートアップ・金融・人材育成・労働市場改革・家事等の負担軽減・賃上げ環境整備・サイバーセキュリティ)との関連性を整理することです。2つ目は、令和9年度の補助金活用を視野に、自社の中期経営計画と補助金スケジュールを照合しておくことです。3つ目は、8月上旬に方針決定される食料品消費税の扱い、夏に決定される概算要求基準、8〜9月の各省庁の概算要求、戦略産業クラスター計画正式版の公表など、閣議決定後の一連の動きを継続的にフォローすることです。補助金ポータルのメルマガでも随時情報をお届けしています。
まとめ|骨太の方針2026を踏まえて事業者がすべき準備
2026年7月21日に閣議決定された骨太の方針2026は、補助金・基金制度における予見可能性の向上と効果検証の厳格化を同時に進める大きな転換点です。中小企業向け補助金の「地域未来枠」新設検討、基金「3年以内ルール」の不適用を含む見直し、補正予算依存からの脱却という3つの構造改革は、いずれも事業者の経営計画に直接影響します。あわせて省力化投資促進プランの拡充、地域未来交付金の拡充、最低賃金1,500円に向けた生産性向上支援、PB黒字化目標を複数年管理へ位置づけ変更するなど、中小企業向け補助金・助成金に直結する具体策も明記されました。
食料品消費税の扱いは「8月上旬までを目途に方針決定」で決着し、金融政策文言は日銀法第3条の趣旨を注釈で明記する形でバランス調整が図られました。次の焦点は、夏に決定される概算要求基準と、8〜9月の各省庁の令和9年度概算要求、そして戦略産業クラスター計画正式版の順次公表です。令和9年度予算では既存事業を「事業別フルコスト情報」で査定する方針も示されており、投資誘発効果の薄い予算は柔軟に見直されるため、事業者は自社事業と戦略分野との関連性を整理し、中期経営計画と補助金スケジュールを照合しておくことが、令和9年度以降の補助金活用の成否を分けるポイントです。補助金ポータルでは関連する制度の最新情報を随時お届けしていますので、メルマガ登録や無料相談をぜひご活用ください。
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